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【連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品 ♯24〜TAMA S.L.P. Snare Drums〜
- Text:Takuya Yamamoto
- illustration:Yu Shiozaki
第24回:TAMA S.L.P. Snare Drums
ドラム博士=山本拓矢が、定番商品や埋もれた名器/名品など、今あらためて注目すべき楽器たちを、楽器ECサイトであるデジマート(https://www.digimart.net/)で見つけ、独断と偏見を交えて紹介する連載コラム。今回は2024年でブランド発足50周年を迎えるTAMAのスネア・ドラム・シリーズ=S.L.P.の豊富なラインナップから、博士が実際に試奏してセレクトした3台をフィーチャーします!
いつもお読みいただき、ありがとうございます! 昨年、5枚目のフル・アルバムをリリースしたこともあって、久々にツアーを計画し、各地を巡っております。旅先には主にシンバルを持参し、キットやスネアは現地でレンタルするということもあって、この連載でもドライ系シンバル、シンバル・ケースと、ツアーに関連する機材を取り上げてきました。
近場の公演では、細部まで把握できている自前の機材を持ち込みますが、各地で出会ったさまざまな状態のレンタル機材を通じて、楽器のコンディションの重要性をあらためて痛感しました。高価な上級グレードの楽器でも、故障していたり、適切なメンテナンスが施されていないと、真の実力は発揮できません。
デジマートをチェックしたところ、ちょうどTAMAブランド50周年ということで、TAMAからさまざまな限定品が登場していたので、ここ数年気になっていた、S.L.P.シリーズのいくつかを試してきました。
個性的なものから、シーンを選ばない万能タイプまで、豊富なラインナップでありながら、価格も控えめなモデルも充実しています。スネア・ワードローブの充実を目的とした方はもちろん、くたびれた楽器の買い替え、バックアップ機材の確保など、スネア・ドラムにトラブルを抱えている現場の皆様は、ぜひチェックしてみてください。
今月の逸品 ① 【S.L.P. Classic Maple/LMP1455-SMP】
広く勧められそうな楽器という観点で一覧をみて、一番気になったモデルが、このClassic Mapleでした。適度にフォーカスされた音の芯と、明るく広がる倍音が印象的です。チューブ・ラグには特有の剛性感がありますが、適度なタイトさの内巻きのプレス・フープによって、心地良い打感と響きが生まれています。メーカーに豊富なパーツ・ラインナップがあるからこそ実現できるもので、S.L.P.ならではのトーンが感じられる1台です。
今月の逸品 ② 【S.L.P. Classic Dry Aluminum/LAL1455】
Classic Dry Aluminumは、薄めのアルミ・シェル、8ホール、キャスト・ラグということで、”いかにも!”といったスペックです。想像通りの音色で、これが好きという方はかなり多いのではないかと思われます。
50周年で復刻されたMastercraft ”THE BELL BRASS“などもそうですが、ドラム・セットに対して、必要となるシーンがあるタイプの楽器なので、製品としてこれを用意してくれて助かっている、というエンドーサーも少なくないでしょう。
今月の逸品 ③ 【S.L.P. G-Walnut/LGW1465-MBW】
最後の1台がG-Walnutです。万人に勧めるタイプの楽器ではありませんが、私自身が必要とする表現力を備えた楽器だったので、取り上げるべきと判断したものです。立ち上がりの速さ、スネア・ワイヤーの応答性がポイントで、細かなフレーズや、拾って欲しいタッチの部分を正確に反映してくれます。
好みで言えば、もう少し明るいトーンを求めるので、個人的なベストというわけでは無いものの、もしレンタル機材にこれがあった場合、真っ先に指定するであろう楽器です。
ドラム・セットにおけるスネア・ドラムは、単品で演奏するわけではないため、キットとの相性も重要です。選び抜いた理想1台も、状況によって過不足が生じる場合があります。
限られた予算で楽器を探そうとした場合、中古品も重要なターゲットですが、定価に対して極端に安くなっているものには、それなりの理由が隠れていることもあります。もし、今までこのシリーズを見逃していたのであれば、実物や動画などで音を聴いてみてください。新たな発見があるかもしれません。
Profile
ヤマモトタクヤ●1987年生まれ。12歳でドラムに出会い、高校時代よりプレイヤーとして音楽活動を開始。卒業と同時に入学したヤマハ音楽院にて、さまざまなジャンルに触れ、演奏活動の中心をジャズとクラブ・ミュージックに据え、2013年、bohemianvoodooに加入。 音楽と楽器の知識・スキルを生かして、ドラム・チューナーとしてレコーディングをサポートしたり、インタビュー記事や論説などの執筆業を行うなど、音楽全般への貢献を使命として活動中。
Twitter:https://twitter.com/takuya_yamamoto
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