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【連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品 ♯19〜REMO POWERSTROKE 3〜

  • Text:Takuya Yamamoto
  • illustration:Yu Shiozaki

第19回REMO POWERSTROKE 3

ドラム博士=山本拓矢が、定番商品や埋もれた名器/名品など、今あらためて注目すべき楽器たちを、楽器ECサイトであるデジマート(https://www.digimart.net/)で見つけ、独断と偏見を交えて紹介する連載コラム。今回は愛用者も多いであろうバス・ドラム・ヘッドの超定番=レモのパワーストローク 3について考察します!

いつもお読みいただき、ありがとうございます! 今月の逸品は、前々から取り上げたいと考えていた超定番のアイテム、バス・ドラム・ヘッドとしてのREMOのPOWERSTROKE 3です。

近年登場したFELT TONE POWERSTROKE 3をはじめとして、さまざまなバリエーションが存在しているので、必要に応じて触れつつ、定番としてのClearとCoatedを中心に解説していきます。

今月の逸品 ① 【POWERSTROKE 3 Clear

P3-322B(22″)

まずはClearバージョンですが、これはおそらく一番普及している打面ヘッドです。ヘッドは、耐久性や、交換頻度、利用シーンなどがあるので、売り上げ順位のようなものはわかりかねますが、きちんとメンテナンスされている道具や商品としての楽器には、これが張られているケースが圧倒的に多い印象です。

ClearとCoatedの共通の仕様として、10milのシングル・フィルム(1ply)に対して、10milのリング・マフラーが内臓されています。リング・マフラーは、主に周辺部から生じる高域の倍音をカットするので、中低域が強調されたサウンドになっています。Clearには、特有の明瞭なアタックがあり、PAシステムと現代の音楽において、必要とされるケースが多い帯域の成分を引き出しやすい組み合わせになっています。

プロフェッショナル・ラインの新品ドラム・セットに張られているヘッドがこれ、というケースも多く、現代の楽器のチェックをする上でも、一種の標準として、このヘッドの音色を把握しておくことはさまざまなメリットがあるでしょう。

一例として、スタジオや会場の常設楽器など、普段利用している楽器に、叩き込まれたPinstripeやCoated Ambassadorが張られているような環境で演奏をしているとしましょう。そんな状態で新品のハイエンド・ドラムを試奏したときに、コンディションの良いPOWERSTROKE 3が張られていると、普段のドライなサウンドと比べて、くっきりとしたアタックがありつつ、豊かなローエンドのボディが感じられるリッチなサウンドが出てくるとしたら……。ヘッドの違いで、楽器の本質を見誤る可能性があることは、想像できると思います。

スネア・ドラムにおけるCoated Ambassadorのような立ち位置の、”とりあえずこれ”という意味でも、持ち運ぶ予備機材と一緒に持っておくと良いと思います。

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POWERSTROKE 3 Coated