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【連載】博士 山本拓矢がデジマートで見つけた今月の逸品 ♯13 〜REMO 314SA〜
- Photo & Text:Takuya Yamamoto
- illustration:Yu Shiozaki
今月の逸品 【REMO 314SA】
REMOのベース・フィルムにはClear、Smooth White、Ebony、Hazyなど、いろいろな種類が存在していますが、さまざまな事情により曖昧な部分があります。機会があればさらに掘り下げてお話しできるかもしれませんが、ここでは314SAが“Clearフィルム&ノーカラー(フラット)”という仕様で流通していて、この仕様が重要なポイントです。
おそらく、最も一般的に使用されているスネアサイド・ヘッドは、REMOの114SAと呼ばれるモデルで、3milのAmbassadorという厚みの、薄く霞のかかったような色合いのHazyフィルムが用いられたもので、低域から高域まで優れたバランスの、汎用性の高いヘッドです。
311SAは114SAと同じ厚みですが、さらに透明度の高いClearフィルムが使用されており、このフィルムはHazyに比べるとパリパリとした感触で、わずかに硬さが感じられます。
フィルム自体の音がそのまま音色に現れていて、シャキッとした中高域が特徴とも言えますが、適度な柔軟性もあるので、伸びきって消耗した114SAから張り替えた場合は、相乗効果となって、鮮烈な反応の鋭さが感じられることでしょう。
ノーカラーのヘッドはやや楽器を選ぶ面があり、個人的に所有しているDynamicx社のスネアでは、テンション・ボルトの長さがギリギリで、そのままではマウントが難しいというケースもあります。
一方で、フィルムそのものも含め、LudwigのWeather Masterのスネアサイドに近い仕様なので、VintageのDownbeatやJazz Comboなど、Weather Master前提で設計された古いスネアにマウントすると、ラグやバッジの位置が中央に来て、音だけではなく見た目の収まりもよく感じられるようなケースもあります。
カラー形状により、ハイテンションになりやすい上、フープとストレイナーの位置関係が変化することから、スネアワイヤーのテンションとプレッシャーにも影響があり、音色の変化はフィルムだけの違いによるものではありませんが、フィルムのキャラクターとの組み合わせは、ニーズへのアンサーとしては妥当なものかと思います。
あくまで標準の範囲のヘッドなので、汎用性はありますが、タッチに敏感に反応してほしい状況(や楽器)にフィットしやすいという認識で、使い分けています。
ヘッドの仕様は、歴史を含め非常にややこしい背景があるので、しっかりと裏を取りつつ、紹介できる状態にして、まとめてみたいですね。
来年も引き続きよろしくお願いいたします。
Profile
ヤマモトタクヤ●1987年生まれ。12歳でドラムに出会い、高校時代よりプレイヤーとして音楽活動を開始。卒業と同時に入学したヤマハ音楽院にて、さまざまなジャンルに触れ、演奏活動の中心をジャズとクラブ・ミュージックに据え、2013年、bohemianvoodooに加入。 音楽と楽器の知識・スキルを生かして、ドラム・チューナーとしてレコーディングをサポートしたり、インタビュー記事や論説などの執筆業を行うなど、音楽全般への貢献を使命として活動中。
Twitter:https://twitter.com/takuya_yamamoto
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