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    【連載】山本拓矢が島村楽器ドラムショー2024で見つけた逸品たちを試打&レポート〜特別編〜

    • Text:Takuya Yamamoto
    • illustration:Yu Shiozaki

    British Drum Co. Bluebird

    2015年にイギリスで創業され、洗練されたルックスと個性的なサウンドで注目を浴びるBritish Drum Co.。熱を加えずにシェル成形する独自の“コールド・プレス・モールディング”製法や、オリジナル・デザインのラグやストレイナーなど、細部に至るまでこだわりが満載。今回試奏していただいたのはメタル・シェルのBlueBird。

    クローム・メッキ仕上げによる1.2mm厚のブラス・シェルを採用した王道のメタル・スネアで、サイズは14”×6”。10テンションのトリプル・フランジ・フープに、スナッピーはブラス製の20本タイプを装備。 鳥のさえずるような歌声から響き渡る大音量のシャウトまでドラマーが思うような表現が可能とのこと。

    徹底的に作り込まれた
    メタル・シェル王道のスペック

    British Drum Co.はシェルの内側を見ないとわからないような、細部のパーツにまでこだわってデザインされています。ドラムは楽器本体を構成する要素はもちろん、接触するスタンド、床、反響を返してくる壁や天井など、その空間に存在するすべてが音色に影響するので、安価な汎用品に頼らず、徹底的に作り込んでゆく姿勢には好感が持てます。1.2mm厚、クローム・オーバー・ブラスといえば、メタル・シェルの超定番、王道のスペックですが、上下のエッジ付近に施された象徴的なダブル・ビードや、前述の細かな積み重ねによって、この楽器らしさが形作られていると見られます。

    輸入元の采配によって、メーカー純正ではない、厚手のパワフルなヘッドがマウントされている状態で試しましたが、程良く倍音が抑制されていて、太く芯のはっきりとしたアタックが印象的でした。決して重くはないシェルで、標準的なサイズのダブル・エンド・ラグでしたが、ビードによる剛性アップが、しっかりと機能しているのでしょうか。

    Ludwig LC662SPC

    創業115周年を迎えたアメリカを代表するドラム・ブランド、Ludwig(ラディック)。今回試奏したのは2015年に発表されたCOPPER PHONIC LC662をベースに、島村楽器がオーダーした特別仕様のスネア・ドラム、LC662SPC。

    Ludwigが誇るティンパニの製造技術を応用した、継ぎ目のないシームレス1.2mm厚コパー・シェルを採用。もともとトリプル・フランジ・フープ+インペリアル・ラグという組み合わせだったモデルを、LC662SPCではカッパー・メッキを施したダイキャスト・フープ+チューブ・ラグという組み合わせに変更。カッパー・ピンクで統一された存在感抜群のルックスはもちろん、サウンド面も強化したという1台で、サイズは14×6.5”。

    唯一無二のルックスと
    温かみを感じるダークなトーンが特徴的

    シェイプだけを見ると、シンプルでトラディショナルな楽器ですが、フープ、ラグ、スローオフといったパーツ類が、シェル材と同じカラーのカッパー・フィニッシュとなっており、唯一無二のルックスです。1.2mmのカッパー・シェルは、適度な重量がありますが、素材の柔らかさもあってか、温かみを感じるダークなトーンが特徴的です。立ち上がりが速く、ドライでキレの良いRAWタイプも人気ですが、磨き上げることで、伸びやかさや華やかさを強調できるので、他の要素との組み合わせが重要です。ブラス・チューブ・ラグは、質量が大きく、剛性があり、テンション・ボルトやフープと強力に一体化します。引き締まった音像と明るさを感じることが多く、この楽器も例外ではありません。

    チューニングやダイナミクスのレンジ、タッチによる音色のコントロール性、高い汎用性を感じました。クローム・フィニッシュと比べると、高域の鋭さがまろやかなので、スネア・ワイヤーの音色を強調するようなセッティングにしてもその帯域に余裕があり、エッジ付近から生じる甲高いトーンも積極的に使いやすいかもしれません。

    Yamaha Steve Gadd Signature YSS1455SG

    Yamaha Drumsの“顔役”であり、世界中のドラマーに影響を与え続けるドラムの神様、スティーヴ・ガッドが2020年に発表したシグネチャー・スネア=YSS1455SG。「スティーヴ氏が現代に求めサウンドを最大限に引き出すこと」をコンセプトに、長い時間をかけて完成した逸品。世界800台限定だった本モデルの発掘在庫がDRUMS SHOWで販売。

    ブラック・フィニッシュの1.2mm厚スティール。10テンション仕様で、フープは3mm厚のアルミ製ダイキャスト・フープ。ポイントはこのスネアのために開発されたというスナッピーで、2本×5ブロックの10本線タイプで、このスナッピーとの相性を考慮して、スネア・ベッドは3.5mmと深めに削られているのも特徴です。打面ヘッドにREMOのパワーストローク3コーテッドが標準装備されている点もスティーヴのこだわりです。

    新生Recording Customに合わせて再設計された
    スティーヴ・ガッド・シグネチャー・モデルの第四弾

    私の記憶によると、市販されたスティーヴ・ガッドのシグネチャー・モデルとしては、プレス・フープで3素材6型の初代、ウッド・フープの二代目、30th Anniversary Kitに付属していた三代目に続く、四代目に当たります。登場の都度、入念なチューンが行われるため、それぞれに個性がありましたが、最も大きな違いは2016年に登場した、新生Recording Customで再設計された、ダブル・エンドのラグが搭載されている点でしょうか。ブラックのフィニッシュ、打面に張られたパワーストローク3、スティール特有の鳴きをコントロールする方向の組み合わせの中で、このラグが担う役割は大きいと思われます。

    タイトな音像は、演奏そのものの解像度を高めやすい傾向があり、倍音が整理されたトーンは、混ざり過ぎずに存在感を発揮します。耳障りがいいので、演奏者本人はもちろん、共演者にも優しい性質と感じられるかもしれません。純正ヘッドで運用する場合、スネアのキャラクターに合わせて、タム類やベース・ドラムにも適度なマフリング/ミュートを施すことで、この楽器の真価が感じられるでしょう。

    TAMA、SAKAE OSAKA HERITAGE、DIXONは
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