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初心者のためのイヤモニ入門! feat. 響[摩天楼オペラ]
- 試奏/レビュー/映像制作:響[摩天楼オペラ] 撮影:八島 崇 製品解説:竹内伸一
“初めてのイヤモニ”にも最適な
1万円台で手に入る4製品をチェック!
シーケンスを使った同期演奏スタイルの普及により、プロ/アマ問わずドラマーにとってすっかり身近な存在となったインイヤー・モニター=イヤモニ。ここでは、導入を検討しているビギナー向けの“入門編”として、1万円台という価格で入手できる4製品のレビュー&解説、そして、イヤモニの基礎知識を学べるコラムを2本立てでお届け。近年では、誌上ドラム・コンテストへの挑戦と共に導入するプレイヤーも増えてきているということで、ぜひ初めてのイヤモニ選びの参考にしてみてほしい!
Contents
■Chapter 1:イヤモニ4製品を徹底検証! feat. 響
SHURE – SE215
SENNHEISER – IE 100 PRO
Ambient Dynamics – AD-006 Lyndale
Acoustune – Monitor RS ONE
■Chapter 2:そもそもイヤモニってどういうもの?
今さら聞けないイヤモニのこと
ドラマーのための“SELF LISTENING”を考える
Chapter 1 イヤモニ4製品を徹底検証! feat. 響
まずは、1万円台で手に入るイヤモニの聴き比べレビューをお届け。V-ROCKバンド=摩天楼オペラでメカニカルなヘヴィ・ドラミングを聴かせる響が、定番&初心者にも手が届きやすいリーズナブルな4モデルの実力を検証!
お問い合わせ●完実電気株式会社(☎︎03-3261-2071)
■SE215
【Spec】●ドライバー:シングルダイナミックマイクロドライバー ●ケーブル長:1.6m(着脱式、ワイヤーフォームフィット機能) ●周波数特性:22〜17,500Hz ●感度:107dB ●インピーダンス:17Ω ●付属品:キャリングケース、フォーム・イヤパッド(S, M, L)、ソフト・フレックス・イヤパッド(S, M, L)
高い遮音性を誇るワイヤードイヤホン。ドライバーは、低音を強化しつつ、温かみのあるサウンドが特徴とされるシングルダイナミックドライバーを搭載。高遮音性設計により、周囲の騒音を最大37dbまでカットし、細部までしっかりと耳に届く鮮明なサウンドが楽しめる。ケブラー素材で強化されたケーブルは着脱式で、曲がり具合を保持するワイヤー付き。それを耳のうしろにかけることで、安定したフィット感を実現し、長時間のリスニングでも快適なモニタリング環境を提供している。3.5mmステレオ・ミニ・プラグ対応。ジッパー式のソフトキャリングケース、フォームイヤパッド3サイズおよびソフト・フレックス・イヤパッド3サイズが付属。
特徴とも言える薄型設計のシェルは
とても快適な装着感で、遮音性も非常に高い
響:“イヤモニのスタンダード”とも言われている機種で、発売から10年が経った現在でも多くのミュージシャンに愛用されているモデルです。聴いてみると、やはりフラットかつバランスの良い音で、モニター用として最適な印象を受けました。中低域が充実している分、楽曲などによっては、若干高域に物足りなさを感じるかもしれませんが、そのあたりはリスナーの好みが分かれるところかと思います。こちらの機種の特徴とも言える薄型設計のシェルは、とても快適な装着感で、遮音性も非常に高いです。また、コネクタ部分でケーブルが回転する仕様になっており、これは装着に多少の慣れが必要かなと思います。
お問い合わせ●ゼンハイザージャパン株式会社
■IE 100 PRO
【Spec】●ドライバー:シングルダイナミックマイクロドライバー ●ケーブル長:1.3m(着脱式) ●周波数特性:20〜18,000Hz ●感度:115dB ●インピーダンス:20Ω ●付属品:イヤー・フォーム・パッド(シリコン:S, M, L フォーム:M)、ソフト・ポーチ、クリーニング・ツール
次世代シングルダイナミックドライバー搭載で周波数帯域を分割することなく、調和のとれた豊かなサウンドを誇るインイヤー・モニター。ドライバーに特殊な振動板を用いることで、大音量でも歪まず、内耳の位相問題や不協和音の発生を防ぎ、ライヴ・パフォーマンスのための正確なアコースティック環境を提供する。多くの耳の形状を検証して設計されたコンパクトでフラットなデザインは、高い装着感を実現。長時間の使用でも重さを感じさせない。また、ケーブルダクトとの接続部から堅牢な構造を持ち、ステージでの使用にも支障をきたさない。なお、オプションのIE PRO BT Connectorを使用すれば、ワイヤレスでも使用可能に。
中高域の輪郭がはっきりと聴こえ
シンバルやハイハット・ワークを鮮明に聴き取れる
響:比較的フラットな音作りとなっていて、モニターライクなイヤモニでした。それに加えて非常にクリアなサウンドが印象的で、この価格帯でここまでの解像度の高さと音の分離感を表現していることに驚かされました。特に中高域の輪郭がはっきりと聴こえるため、ドラムのシンバル系や、細かいハイハット・ワークなどを鮮明に聴き取ることが可能です。その解像度の高さゆえに、若干高域が耳に刺さるように感じる方もいるかと思われますが、今まで聴こえていなかった音が聴こえるようになる感覚を味わえるので、ぜひ一度体験してみてほしいです。つけ心地も良く、本体が小さく軽い設計のため、長時間の装着でも快適です。
お問い合わせ●株式会社サウンドハウス(☎︎0570-02-8888)
■AD-006 Lyndale
【Spec】●ドライバー:10mm径PU+TI複合振動板ダイナミック型ドライバー、バランスドアーマチュア型ドライバー ●周波数特性:20〜20,000Hz ●感度:109dB ●インピーダンス:12Ω ●付属品:キャリングケース、イヤー・パッド(S, M, L)
最新の音響技術、優れた耐久性、こだわり抜いたクラフトマンシップ、安定したフィット感と遮音性を表現したリスニング用カナル型イヤホン。10mm径のPU+TI複合振動板ダイナミック型ドライバーと、バランスド・アーマチュア型ドライバーで構成されたデュアル・ドライバーシステムを搭載し、ダイナミックで情報量の多いサウンドに加えて、どんな音楽にも適応するバランスの良さにも長けている。ケーブルには8芯無酸素銅リッツ線を採用し、原音を忠実に耳に届ける。また、筐体はすべて手作業で丁寧に組み立てられており、優れた品質を保持。ライヴ・パフォーマンスやダンス、ランニングといった激しい動きを要する状況でも快適に使用できる。
この価格帯でありながらデュアル・ドライバーを搭載
普段使いのリスニング用にも最適なモデル
響:今回紹介する4機種の中では、唯一デュアル・ドライバーを採用したモデルで、特に中低域が充実している印象です。その分、高域が若干控えめな音作りになっているように感じました。解像度は高すぎることなく程良い感じで、先述した中低域の強さと相まって、イヤモニとしての使用はもちろん、普段使いのリスニング用としても向いていると思います。また、大きめの造りとなっているシェルや、8芯のケーブルなど、外見的にもカスタムしたイヤモニに近い仕様となっています。そのために慣れるまでは少し重量感を感じるかもしれませんが、耳へのフィット感はかなり良く、見た目も非常にカッコ良く仕上がっています。
お問い合わせ●株式会社ピクセル
■Monitor RS ONE
【Spec】●ドライバー:9.2mm径密閉ダイナミック型ドライバー(ミリンクスELドライバー) ●ケーブル長:1.2m(着脱式) ●周波数特性:20〜40,000Hz ●感度:108dB ●インピーダンス:32Ω ●質量:26g ●付属品:イヤーピース(AET07:S, M, L AET02:フリーサイズ)、キャリングケース
プロユースを想定して開発されたブランド初のステージ・モニター・イヤホン。超高機能樹脂を使用した“ミリンクスELドライバー”を採用することで、余計な付帯音を軽減し、正確なモニタリングを実現。瞬間的なハウリングでも壊れにくい耐久性も併せ持つ。また、的確なインピーダンスマッチングを断行。ワイヤレス・イヤモニ・システムとの相性によるイヤホンのモニタリング性能低下など、不具合発生を抑えている。さらに、着脱が容易ながら堅牢さも併せ持つコネクタ“Pentaconn Ear Long-Type”、断線しにくく取り回しの良さを目指したケーブル“ARM011”など、各パーツにもステージ上での使いやすさを追求した工夫が施されている。
メタルやラウドなど、手数足数が多く
アタックの強い音作りのジャンルを気持ち良く聴ける
響:解像度は高めで、音の分離が非常に良いイヤモニでした。音作り自体はフラット過ぎず、低域が若干強く出る印象です。個人的にはかなり好みな音で、メタルやラウドなどの手数足数多め、アタック強めの音作りをしているジャンルにおいては、解像度の高さと低域の強さのおかげで非常に気持ち良く聴くことができました。こちらの機種も、イヤモニとしてはもちろん、リスニング用イヤホンとしてもオススメできます。また、イヤモニというと、運搬中やライヴ中の汗などによる故障が多いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、この機種はシェル本体の堅牢性が非常に高く、そういった点においても安心感があります。
Review // 響[摩天楼オペラ]
Profile●ひびき:2014年より本格的な音楽活動をスタートし、2019年にV-ROCKバンド、摩天楼オペラに正式メンバーとして加入。同年2月に初参加したアルバムでメジャー・デビューを果たす。自身のバンド活動以外にも、BREAKERZを筆頭としたさまざまなアーティストのライヴ・サポートやドラム・セミナーの他、YouTubeへの動画投稿も精力的に展開している。パール/ジルジャンのエンドーサー。
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