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岩瀬立飛がドラム・セットで叩く“世界のリズム” #4 – キューバ系のリズム④
世界中のリズムを研究する名手=岩瀬立飛が、各国のリズムをモチーフとしたパターンをドラム・セットで演奏&解説した、ドラマガ2011年10月号の特集“世界のリズム”。ドラマガ Webではその一部を、演奏音源つきで地域ごとに紹介していく! 今回も「キューバ系のリズム」を深掘り! ラスト3種類ももれなく習得して、さらなるリズムの深みへ!
“キューバ系のリズム①”、“キューバ系のリズム②”、“キューバ系のリズム③”もおさらいしておこう。
# キューバ系のリズム④
キューバ系リズム その10 – モザンビーケ・コンパルサ・コンガ
キューバのカーニバル音楽のリズムです。コンガはもともとリズムの名前で“コンゴ風”の意味。コンバルサとモザンビーケは音型が近いのですが、若干編成が異なるようです。ガッドがティンバレスのパターンをドラムに取り入れたことで有名ですね。
なお、ここで紹介はしていませんが、コンガのパターンも有名です。2小節パターンになっていて、アレックス・アクーニャ、ヴィニー・カリウタなどが、そのままドラム・セットに置き換えて、ソロ・フレーズとして使用しています。
▼Ex-1〜3までまとめて聴いてみよう!
キューバ系リズム その11 – ダンソン
優雅で宮廷音楽っぽく、かなり歴史のある古いリズム。あくまで軽い感じで演奏すると良いです。時折訛ったり、“バカテオ”というフィルインが入るのが特徴的です。
本来はあり得ませんが、スネアのスナッピーを入れての演奏も入れてみました(Ex-5)。こうすると少しタンゴ風やマーチ風になって面白いですね。もっとヘヴィにやってみても面白いリズムが生まれるかもしれません。
▼Ex-4〜5までまとめて聴いてみよう!
キューバ系リズム その12 – ベンベ・アバクア・ナニーゴ
キューバの6/8のリズム、ベンベ・アバクア・ナニーゴ、名称が違うだけでほぼ同じと思ってよいのですが、ベンべはルンバ(ワワンコー)に近く、ダブル・パラディドルの応用例としても有名です。アバクアは、より4拍3連の性格が強く、大きな3拍子に聴こえることがあります。もちろんすべてイン2で、そのパルスを軸にルンバ、マンボ、ソンゴなどに移行したり、戻ってきたりすることが可能。
そして、さらにすごいのはすべて同時に存在できることです。譜面上では3連符と16分音符が同時に存在するという究極のポリリズムです。そこで聴こえるリズムはルンバであり、ベンベであり、アバクアであるわけで、実際はこれらをひっくるめた総称をルンバと言っています。ちなみにルンバは西アフリカの民族、ヨルバ族が起源で、西アフリカにはこのようなリズムが豊富です。
▼Ex-6〜10までまとめて聴いてみよう!
岩瀬立飛がドラム・セットで叩く“世界のリズム” – BACK NUMBER
■#1:キューバ系のリズム①
■#2:キューバ系のリズム②
■#3:キューバ系のリズム③
◎Profile
岩瀬立飛(Tappi Iwase):愛知県出身。14歳でドラムを始め、日野元彦、坂田 稔に師事。高校では吹奏楽部でパーカッションを担当。その後、1988年に渡米。ピーター・アースキンやデヴィッド・ガリバルディに教えを受けながら、現地でライヴ、レコーディング活動を展開。帰国後、現在に至るまで自身のバンドである。Nervioや宴での活動の他、エリック宮城バンドをはじめ、さまざまなセッションで活躍中。
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