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イタリア生まれの魅惑の音色! UFiPシンバルをドラム博士=山本拓矢がレビュー!!
- Review:Takuya Yamamoto
- Photo:Takashi Yashima
90年以上の歴史を誇るイタリア発シンバル・メーカー、UFiP。熟練の職人の手によって仕上げられる精巧な造りと、魅惑のサウンドで、数々のトップ・ドラマー達を魅了している。その豊富なラインナップの中から、高い人気を誇るClassシリーズとNaturalシリーズの2モデルをシンバルにも造詣の深いドラム博士=山本拓矢にチェックしてもらった。
CLASS Series
CLASS is UFIP!といういことで、同社のラインナップの中でも、王道のベーシック・ラインにあたるのが、このClass Seriesです。まず14″ハイハット、16″、18″クラッシュ、20″ライドというサイズを並べて鳴らした第一印象は、「しっかりした個性がありつつ、きちんとシンバルである」というものでした。
UFiPはシンバル作成の最も重要なプロセスと言っても過言ではないキャスティングにおいて、Rotocastingと呼ばれる独自の遠心鋳造法を用いており、この製法がその個性の源泉にあるとみられます。具体例としては、ベルとボウのバランスに特徴があり、サイズや個体を問わず、深みを備えた明瞭なカップ・サウンドが得られる傾向が挙げられます。ボウの音色に対するベルの成分の割合もあってか、扱いが難しいピッチ差になることが少ないようで、ハット、クラッシュ、ライドといったカテゴリにかかわらず、ベルを活用しやすそうだと感じました。
また、新品シンバル特有のボディ感・コシのようなものが強力で、これも独自のキャスティング法に由来する特性だと思われます。このような未分化のシンバル・サウンドは、ともすると新品にありがちなトーンということで、敬遠されてしまう場合もあるかもしれませんが、耐久性に優れ、奏者によって異なるサウンドへ熟成されていく余地の大きさを示しているとも言えます。
試奏によって他のサイズよりも少しだけ叩き込まていたと思われる22″の印象からも、ライドらしいタイトさと、落ち着いて欲しい成分の少なさが感じられたので、育て甲斐のあるシンバルであることは、ほぼ間違いないでしょう。育成・熟成は、シンバルの醍醐味です。
UFiPオーナー=アルベルト氏の認定書つき
Classシリーズ厳選シンバル・セット
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