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    【アーティスト・ブック掲載】Anniversary Interview – ピエール中野[凛として時雨]

    • Interview & Text: Seiji Murata Photo:Taichi Nishimaki

    今までどっぷり好きだったものに
    新たな魅力が見えたときの喜びっていうのは
    自分にとってすごく大きいもの

    事前予約公表受付中、12月14日に発売となるピエール中野[凛として時雨]の公式アーティスト・ブック。いよいよ発売日が近づいてきたということで、本書掲載の最新インタビューをチラッとご紹介! 約25000文字以上に渡ってお届けする超ロング・インタビューでは、ピエールのルーツやドラマーとして歩んできた軌跡だけでなく、セルフ・プロデュース術にまで話を広げてうかがった。詳しくは、特設サイトをチェック!

    アーティスト・ブック掲載最新インタビュー

    時間を有効に使うとメリットがある
    何事にも“速度”は大事にしてます

    ●00年代前半から時雨での中野さんの活動を見てきましたが、このバンドとか自分をどう見せるか? 聴き手にどうやったら届けられるか?という、消費者に確実にリーチするためのいわばプロデュース視点が、それまでのドラマーとまったく違ったんですよね。それこそ音を立ててガラッと新時代が来たような記憶があります。そういう部分は自覚的だった?

    ピエール 自覚的でした、はっきりと。やっぱりTKがすごいんですよ。近い感覚は持っていたりするんで、それをお互い相乗効果ですごい高みに持っていくってことは昔からずっと考えてました。

    ●ライヴでの中野さんの“あの”MCコーナーも確信犯的?

    ピエール あれは初期の頃はやってなかったんですけど、目に見えて新しいお客さんが増えてきて、“どう楽しんでいいのかわからない”っていう人を置いていくのはどうか?と思って途中から始めたんです。“緊張と緩和”じゃないですけど、MCも何もないストイックなステージが続く中、僕が何か一言言えば、お客さんも「あ~すごかった~!」ってなれる。そういう空気をわかりやすく作ってあげたいなと。

    ●当時からSNSを使った発信の仕方が非常にうまかったのも印象的だし、DJをはじめ、若くして教則本&DVDを作ったり、テックをやったり、いろんな才能を実際に表現し始めたのも、とても新しかったですね。

    ピエール 1つのものを角度を変えて見たり、新しいコミュニティに入ることでそれまでと全然見え方が変わったりして、そういう発見とか驚きが好きなんですよ。しかも、それによって今までどっぷり好きだったものに新たな魅力が見えたときの喜びっていうのは、自分にとってすごく大きいものなので、DJやったりイヤホン作ったりするのもそこなんですよね──そこに留まっていたら見えない魅力が見える。意外と、イヤホンのチューニングしてるときの方がドラムのこと考えてたりして、今度ドラムいじるときにはこうしてみようとか、そういうことは相当やってる方だと思います。

    ●やっぱり多視点なんですよね。

    ピエール もちろん職人的に1つのことを極めた方がカッコいいんですよ。でも僕はそれができないし向いてなかったんで、その方法を仕方なく選んでるってこともあるんですけどね。

    ●向いてない? 1つのこともかなり追い込んでいくタイプじゃないですか。キンミヤ焼酎が好きすぎて“有線ピヤホン”の限定色(リスペクトブルー)にしちゃったり、そこまでやる人いませんよ(笑)。

    ピエール ハッハッハ! キンミヤ焼酎の話だけでも何時間もできますよ(笑)。

    ●(笑)。1つのことに集中する馬力を持ちつつ、コラボ的な関係性をつないだり、その先にある完成形なんかが先に“見えている”のかなと思ったりもします。職人的な在り方がいわゆる“不器用”だとすれば、関係性をつないだり回したりする“器用”な面があるのかなと。

    ピエール 実は1つのことを突き詰めることはやってるんですけど、他人から見ると、そんな短時間で1つのことそんなにわかるわけがない、みたいに映るんですよね。でも、いろんなことをやってるからこそ見えるものがあって、すごく速くそこに辿り着けるってことに、みんなあまり気づいてないと思うんです。

    ●そこに、けっこう早い時期から気づいてたんですね。

    ピエール だと思いますし、実際昔からやってたんだと思います。それを自覚したのは最近ですけど。

    ●限られた時間の中でどうやってそこに辿りつくかは、人生の大問題ですよね。

    ピエール ホントにそうなんですよ。時間はいくらあっても足りないんで、その中でどうするかは僕も悩みどころで、いつもマネージャーにいろいろ相談してます。そう考えると、何事にも“速度”は大事にしてますね。時間を有効に使うとすごくメリットがあるってことに、ここ最近やっと気がついたんですよ。意識的にうまく使いこなして価値を生み出せたらいいなとは思ってます。

    ●その分、睡眠を犠牲にするという人がよくいますけど。

    ピエール いや、僕は全然寝ますよ。睡眠時間とお酒飲む時間が欲しいんで頑張るんですよ(笑)。そのために仕事をどうすればいいかっていうのは、長年の経験により一応今のところは達成できてますね。もちろん、疲れたとか言って先送りしたり、ダラダラと集中できなかったりすることも全然ありますよ(笑)。僕もすべてが成功してるわけじゃないですし。でも、成功してるように見えてる人って、意外とみんなちゃんと失敗してるっていうのも調べるとわかるんですよね。……【『ピエール中野[凛として時雨]アーティスト・ブック』に続く

    12月14日発売の『ピエール中野[凛として時雨]アーティスト・ブック』では、このインタビューの続き&過去の掲載記事をまとめて読める! 過去の不調や大森靖子との出会いに関するエピソードなど、初告白も飛び出す本書は絶賛予約受付中です! お見逃しなく!

    詳細はこちら⬇︎

    本体2,500円+税
    128ページ
    2020.12.14発売予定
    ISBN:9784845635733

    絶賛予約受付中!

    Artist Book
    ピエール中野[凛として時雨]

    今年CDデビュー15周年を迎えた凛として時雨のドラマー、ピエール中野。ドラマーとしてはもちろん、プロデューサー、DJ、MC、ヘッドホン/イヤホンの監修など、その才能を多方面で発揮している。本書ではそんなピエールのマルチな魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。録り下ろしによる最新の超ロング・インタビューでは、そのルーツやドラマーの軌跡はもちろん、求められる自分になる方法や、セルフ・プロデュース術などにもフォーカス。ドラム・セット5台、スネア・ドラム24台を核とした膨大な機材コレクションや、愛用のイヤモニや監修したイヤホンも30ページ以上に渡って掲載! さらにリズム&ドラム・マガジンでこれまでに行ってきたインタビューを再収録する他、関係者によるコメントや撮り下ろし写真を駆使したプレイ・スタイル分析なども掲載。ドラマーとしての魅力を凝縮したアーティスト・ブックでありながら、“人生の歩き方”もわかる世界的にも類を見ない1冊です。

    -掲載予定コンテンツ-
    Special Interview
    Biography
    Gear
    Drumming Style
    Archive Interview
    Discography、etc.