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山野楽器 ロックイン新宿「ロックイン新宿ドラム・フロアが今アツい!!!」

  • Contents & Text:Rhythm & Drums Magazine
  • Photo:Takashi Yashima

土田“つっちー”嘉範×aspr×ROCK INN “Studio Cat’s”

Stduio Cat’sのラインナップ。
写真左より22″/20″/18″(バス・ドラム用)、14″(スネア・ドラム用)
Studio Cat’sはケブラー繊維を採用。バス・ドラムとスネア・ドラム用で繊維の細かさを変えているのがわかるだろうか。
強度とバウンド感を出すために装着されたドットは、バス・ドラムは表面、スネアは裏面に装着されている。

*アサプラ公式サイト

Comment〜スタッフ黒澤氏のコメント〜

もともとはスティックやスネアとか、各楽器ごとの当店オリジナル・モデルがずっと欲しいなと思っていまして……。その中にドラム・ヘッドも作りたいという気持ちがあったのでさっそくスタッフに話をしたら、真っ先にプロデュースしてほしい方として挙がったのがつっちーさんだったんです。

そんなこともあって、つっちーさんにご来店いただいたときに勢いでそのことをお話ししたら「こういうヘッドがあるよ」ってすぐにお返事をくれたんですよ。それがStudio Cat’sの元になった、ケブラー繊維素材のデュララインというヘッドで、ハル・ブレインがバス・ドラムに使っていたことでも知られるものです。

実際にヘッドを持って来ていただいて、そこからアサプラさんにコンタクトを取って(ヘッドを)お渡ししてアサプラさんに分析/検証していただき、いろいろなプロトタイプと試奏を通して1年くらいかかって今の形になったんです。

もともとはヴィンテージ・サウンドをねらった音だったんですが、実際に試してみるとすごく1周回って逆にモダンに感じたんです。こういうサウンドにマッチする今の音楽ってけっこうあると思いますし、数ある楽器の中の1つのチョイスとして、ぜひチェックしていただきたいです!

Special Message〜土田“つっちー”嘉範よりメッセージ!

黒澤君の感動的なストーリーを踏まえて僕の話を聞いてほしいんですけど(笑)、実際には僕がロックイン新宿にふらっと立ち寄ったら、彼がハイテンションで「今、ヘッドを作るとしたらどんなヘッドが作りたいですか!?」と聞いてきたので、「う〜ん、個人的に欲しいのはハル・ブレインが使っていたヘッドかな……」くらいに答えたんですよ。多分言葉だけじゃピンと来ないと思うので実物をお店に持ち込んで「これはケブラー繊維のヘッドで、ハル・ブレインはあのモンスター・キットのバス・ドラムにシングル・ヘッドとして張っていて……」と説明したんです。

実際にものすごくデッドな分離の良いヘッドでレコーディングにすごく良いし、個人的にも海外オークション・サイトなんかで探していたんですけど、まあ見つからないわけですよ。何とか見つけたのはSyndrum(シンドラム)っていうアナログ・シンセ・ドラムの純正ヘッドとして装着されていた8インチ仕様の4枚だけで。それを渡したら黒澤君はめちゃくちゃ盛り上がって「ぜひ作りたいです!!」って言うわけです(笑)。

僕としては、もちろん個人的に欲しいけど、商売としてはかなりマニアックなので“売れないんじゃないかな〜”と思っていたので「売れないよ?」って伝えたんですが「僕が絶対に売ります!」ということで、試作品ができてきて。もちろん僕は良いと思ったんですけど、価格帯は決して安くないですし、使い方は限られているし……いやいや売れませんよ(笑)。

ちなみにヘッドの名前は、黒澤君に“どうしましょう?”って聞かれたとき、スタジオに集まって日銭を稼いでその日暮らしの野良猫っていうような意味でLAのスタジオ・ミュージシャンのことをスラングでStudio Cat’sって言うんですけど、本当に思いつきで言ってみたら、黒澤君も木下さんもキャーキャー盛り上がって(笑)。イラストは僕がフリーの素材を見つけてデザインしたんです。そうしたら、それもそのまま採用。いや、いいんですけどね(笑)。

誰でも使えそうなヘッドだけど誰にも使えなさそうなヘッド……要はなんだかよくわからない用途のヘッドというのが僕の今の印象です(笑)。あまりにニッチなものなので、すぐ消えちゃうかもしれません。コレはと思った方は早めに押さえていただくことをオススメします。ていうか、やっぱ売れないと思うんだよなぁ……(笑)。

Review〜土田“つっちー”嘉範の試奏コメント〜

まずバス・ドラムですが、デュララインのヘッドとほぼ同じイメージだと思います。簡単に言うとまろやかで優しい感じ。カーペンターズの「Supestar」などで聴ける“あの音”ですね。シングル・ヘッド仕様にすることを推奨しますが、やっぱり繊維ヘッドなので音量は小さいんです。それから強度とバウンド感を出すために大きなドットを張っているんですが、例えばスネアに張るならレコーディングでちょっとミュートして叩くのも良いと思うし、今回の試奏では試せませんでしたが、マイクに乗ったサウンドはやっぱり個性があるので、ライヴでも使いたいと思うドラマーが出てくるんじゃないかなと思います。でも苦労はするかな(笑)。ちなみにシングル・ヘッドにしないでフロント・ヘッドを張ると(フロント・ヘッドの)キャラクターがすごくわかるんですよ。それはスネアも同じで、スネアサイドのキャラクターや個性がすごくわかると思います。つまり変化がすごくわかりやすいってことです。