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    プロ・ドラマー多数参加! “ドラパラ”充実のセミナー・イベントをレポート 【ドラマーズ・パラダイス2025 in 大阪】

    • 取材・文:西本 勲/リズム&ドラム・マガジン編集部 写真:編集部/ドラマーズ・パラダイス2025実行委員会

    Report ◼️ホール・イベント ◼️セミナー/デモンストレーション

    ドラパラ会場内で開催された
    充実のセミナー&デモンストレーションを
    一挙レポート!

    ドラムからパーカッション、エレドラまで、多数のメーカー/代理店が出展したドラパラでは、各ブースで実にさまざまなセミナーが開催。ここでは、3ヵ所のイベント・ルームとエレドラルームで行われたセミナー&デモンストレーションの全レポートをお届け! 各所の模様を詳細にレポートしていく。

    ■セミナー/ワークショップ

    あつまれ キッズドラマー
    ドラム初心者超入門セミナー

    出演:金澤佳幸(講師)、Riko(ゲスト) 主催:三木楽器ドラムセンター 開催日:5月24日

    ドラパラ・オープニングを飾った
    超ビギナーのためのドラム体験講座

    「ドラマーズ・パラダイス2025 in 大阪」のオープニングを飾ったのは、三木楽器ドラム・センター主催のミニ・セミナー「あつまれキッズドラマー」。三木楽器創業200周年を記念したパールのオリジナル・キッズ・セットをフィーチャーし、金澤佳幸氏が講師を務め、小学生ドラマーのRikoがゲスト参加。この超入門編セミナーには、多くの親子連れが来場し、会場は活気に満ちていた。

    セミナーのテーマは「8ビートを叩こう」。まず金澤氏がスティックの持ち方やペダルの踏み方など、ドラムの基礎を丁寧に解説。その後、Mrs.Green Appleの楽曲のサビに合わせて演奏するという実践的な内容へ。最初にRikoがお手本を披露し、続いて来場者が演奏にチャレンジ。経験者も多く、みなさん見事な8ビートを披露。中にはドラム初体験という超ビギナーもいたが、手拍子でサポートするなど、会場全体が温かいムードに包まれていた。

    一巡すると、フィルインの追加や16分音符の導入など、段階的に難易度がアップ。他の参加者の演奏を見ながら練習する子供たちの姿や、真剣な表情で子供たちの演奏を見守る保護者の姿も印象的であった。

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    つくって鳴らそう! 手作り楽器ワークショップ
    ドラマーズパラダイスpresents

    出演:ぽむ・るーじゅ/チームぽむ 主催:ドラマーズパラダイス実行委員会 開催日:5月24&25日

    夏休みの自由工作のような
    笑顔と楽しさ溢れる手作り打楽器講座

    1Fセミナールーム1行われていたのは、神戸、大阪を中心にドラム・サークル活動を推進する、野口明子氏と小池晶子氏の2人によるユニット“ぽむ・るーじゅ”と、音楽療法士の豊 雅子氏による手作り楽器ワークショップ。両日開催で、編集部が訪れたのは2日目。小学生以下が対象のセミナーということもあり、多くの子供達で賑わっていた。

    ペットボトルのキャップとビーズを組み合わせて作るミニ・シェイカーや、プラカップと風船で作る太鼓、紙皿にペットボトル・キャップを貼りつけて音を出す紙皿タンバリンなど、身近な素材で簡単に作れる打楽器は、さながら夏休みの自由工作のような楽しさで、終始笑顔が絶えなかったのも印象的。

    ぽむ・るーじゅ&豊氏による、軽快なトークと子供達1人ずつに向き合った丁寧なレクチャーもあり、“誰でも音を出せる”、“音が出るものなら身近なものを簡単に使える”という打楽器の原点であり最大の魅力を再認識できるようなワークショップであった。

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    衣笠智英 LUDWIG&ISTANBUL MEHMET ROADSHOW

    出演:衣笠智英
    主催:野中貿易株式会社
    開催日:5月24日

    ジョン・ロビンソン・シンバルをはじめ
    新製品の魅力も語られた超ボリュームのRoadshow

    アメリカを代表するドラム・メーカー、ラディックの魅力を余すことなく伝えるイベント=Ludwig Roadshowのドラパラ版ということで、伝統と革新のシンバルを生み出すイスタンブール・メメットもラディックと共に深掘りしていく本セミナーは、両ブランドのエンドーサーである衣笠智英が登壇。

    野中貿易のスタッフによる各ブランドの歴史的な解説からスタートし、衣笠はトークを交えながらステージにセッティングされた2台のキットをそれぞれ演奏、オープンで心地良いラディック・サウンドと多彩な音色が魅惑的なメメット・シンバルのポテンシャルを存分に引き出してくれた。

    今回使用された機材は、ステージ上にセットされていたのがニューソニック(ラディック)とIMC Darkシリーズ(メメット)、ステージの下にセットされていたのがクラシック・オーク(ラディック)とジョン“JR”ロビンソン・モデル(メメット)という組み合わせ。メメットのシンバルに関してはどちらも新製品で、名前の通りダークでモダンなサウンドが特徴的なIMC Darkは現代の音楽にばっちりハマりそうなイメージで、今年電撃移籍となったジョン“JR”ロビンソンのモデル一式は、各シンバル標準的なサイズよりも1回り大きい仕様だが、非常に扱いやすいバランスの取れたサウンドの印象であった。

    ラディックのキットも歯切れの良いニューソニック、中低音がフィーチャーされたクラシック・オークと、それぞれの特徴が明確。衣笠のタッチと相まって、ラディックのキットもメメットのシンバルも実に多彩で表情豊かなサウンドを奏でていたように思う。そして、今回のセミナーの大きなポイントは、各製品の紹介や解説だけでなく、衣笠が用意した練習譜面でエクササイズを行うという、教則的な内容も充実していたことだ。かなり実践的で難しい内容ではあったが、衣笠が実演を交えて丁寧に解説。超ボリュームのスペシャルなRoadshowになったのではないか。

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    Kegoi「ジストニアかな・・・?と思ったら」

    出演:Kegoi 主催:ドラマーズパラダイス実行委員会 開催日:5月24&25日

    ドラムを演奏する者であれば
    誰もが深く考えさせられる内容

    「ドラマーズ・パラダイス2025 in 大阪」では、演奏や楽器に特化したイベント/セミナーに加え、近年多くのドラマーが悩む“ジストニア”に焦点を当てた体験談も開催。自らの経験を交えて、わかりやすく丁寧にジストニアの情報を伝えてくれたのはKegoi。

    超絶/難解なフレーズを持ち前のテクニックとスピードで叩きこなす彼も、長きにわたってテーマの通り、「ジストニアかな……」に悩まされており、病院にてさまざまな診断を受け、さまざまな療法を試したそうだ。あくまで明るく優しいトーンで話してくれたが、その内容はドラムを演奏する者であれば誰もが深く考えさせられるものだったであろう。

    質問コーナーでは同じ悩みを抱える参加者の声を聞くこともでき、情報を共有し1人で抱え込まないこともまた非常に大切だということも痛感した。ラストにKegoiが披露してくれた演奏は、これまでに話してくれた症状などまったく感じさせない素晴らしいものだったが、彼の心の強さや努力、真摯でひたむきなドラムへの想いがあるからこそ、だったのではないか。

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    どらむ村直伝! ビギナーのための超ベーシック スネア チューニング講座

    出演:Drum Shop ACTどらむ村スタッフ 折井 主催:Drum Shop ACTどらむ村 開催日:5月25日

    観覧者が殺到!
    関心の高さがうかがえたスネア・チューニング・セミナー

    25日の夕方に多くの人が詰めかけていたのは、Drum Shop ACTどらむ村の店員、折井氏による「どらむ村直伝!ビギナーのための超ベーシック スネア チューニング講座」。その名の通りスネア・ドラムのチューニング方法について実際にスネアのチューニング・ボルトを回しながらサウンドの変化を確かめつつ、音作りのノウハウをレクチャーしていくという内容で、座りの席は満席、セミナールーム後方に立ち見が出るほどの人気ぶりだった。

    前方には折井氏とスネア1台という潔さで、編集部が訪れた時間帯は打面とスネアサイドのチューニングの違いによるサウンドの変化についてレクチャーされていた。打面に比べスネアサイドを低くチューニングすると、スナッピーの残り具合いやサウンド自体のサステインの伸びなどが気になる場合があり、その際にはスネアサイド側を少し張り気味にするなど、ベーシックながら知識と経験として確実に必要なノウハウを解説。チューニング中は観客とのトークも弾み、大阪開催であることの強みを見たような気がした。セミナー中、フルで動画を回している観客も見られ、チューニングに対する関心の高さがうかがえた。

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    SUNE ドラム・チューニング&ライブ・レコーディングの心得

    出演:SUNE 主催:パール楽器製造株式会社 開催日:5月24日

    身近なメロディを基準に
    ドラムのチューニングを巧みに解説

    セミナー・ルームで行われたパール主催による「ドラム・チューニング&ライブ・レコーディングの心得」。元GOOD4NOTHINGのドラマーで、ドラムテックとしてもライヴ/レコーディング現場で活躍中のSUNEを講師に迎え、Masters Mapleのスタンダードな4点セットを使用し、好みの音に近づける方法が基礎から伝授された。

    誰もが知るメロディに合わせる形で、まずは最も口径の小さい10インチ・タムからチューニングを開始。セットからタムを外し、台に乗せて指の感触を頼りにヘッドをほぐすようにチューニングを進めていく。演奏ではなく音作りを主眼としたセミナーのため、ともすれば動きが少なく単調になりがちだが、SUNEは巧みなトーク術で来場者を引きつけ、「基本ができるまではヘッドにこだわる必要はない」、「身近な音を基準にしてみる」、「ファットな音にするなら裏をより張り目にする」など、具体的なチューニングのポイントをアドバイス。ゆっくりと丁寧なレクチャーにより、ドラムの音が徐々に伸びやかになっていくのが実感できた。

    そしてチューニングが完了したドラムは、何とファミリーマートの入店音のメロディと同じ音階に! “身近な音を基準にしてみる”というアドバイスを実践する形で、難解なイメージのあるドラム・チューニングが面白く、わかりやすく感じられる充実のセミナーとなった。

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    笹本恭平 KORG MPS-10セミナー

    出演:笹本恭平 主催:株式会社コルグ 開催日:5月24&25日

    実践的かつディープな内容を展開
    多機能なMPS-10の活用法を凝縮

    2023年に発表されたKORGのハイエンド・サンプラー・ドラム/パーカッション・パッド=MPS-10。高品質な打楽器のサンプリング音源はもちろん、ソロ・パフォーマンスにも使える多彩な機能を備えた本機の活用法を、ドラマー/パーカッショニストの笹本恭平がユーモアを交えながら実践的かつディープな内容で伝えてくれた。

    ドラマーだけでなくパーカッショニストにも、さまざまな活用法を提示できるMPS-10の魅力を余すことなく紹介した本セミナー。普段より生音が気持ち良いカフェ/バーから大人数を収容できるホールでの演奏まで、多用な環境でドラム/パーカッションの音色を操る笹本ならではのセンスがMPS-10のポテンシャルを最大限引き出しており、1台のパッドから生み出されているとは思えないサウンドとビートを次々と構築していく。

    豊富な音色やサンプリング機能はもちろんのこと、ループ機能なども駆使した複雑なビートを生み出していく様子は会場全体を大きな渦に引き込んでいくようでもあり、そのディープ過ぎる濃いパフォーマンスに終始圧倒。それとは対照的(?)に、軽快でわかりやすいトークは親しみがあり、笹本の持ち味が存分に発揮されていたように思う。多機能なMPS-10の実践的な活用法が凝縮された、非常に有意義な時間となった。

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    今井義頼 ヤマハ電子ドラムDTXセミナー

    出演:今井義頼 主催:株式会社ヤマハミュージックジャパン 開催日:5月25日

    最新のDTXによるパフォーマンス
    デモや解説、練習法まで盛りだくさん

    5月にリリースされたばかりのDTXシリーズの新製品=DTX6K5-MUPS。スネアに12″、タムに10″と大型のパッドを採用し、さらにメッシュ・ヘッドが搭載された話題のニュー・モデルを今井義頼が徹底解説するイベントが“セミナールーム2”で行われた。

    まずは挨拶代わりにCASIOPEAの「HOUR OF THE RAINBOW」を演奏。ダイナミクスを駆使した白熱のパフォーマンスに圧倒される。続く解説コーナーでは、メッシュ・ヘッドを絶賛。今井は発売前からDTX6K5-MUPSを試してきたそうで、アップデートされたモジュールに内蔵された音源とヘッドの相性、パッドのサイズ感、距離感がリアルで、エレドラであることを忘れると、その“没入感”を力説。

    さらに電子ドラムの機能を使った練習方法として、メトロノームに合わせて叩かないと音が鳴らない“リズムゲート機能”にフォーカス。今井は実際にこの機能を使ってリズム感を強化したそうで、クリックを3連で鳴らしながら叩くという難題にも挑戦。その他にも新しい音色を紹介するパフォーマンスや、川口千里とDTXでレコーディングしたという「Tribulation Force」のデモ演奏など、盛りだくさんの内容で、来場者にとっても充実したセミナーとなったことだろう。

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    MEINL Sonic Energy 「音風呂」 に浸かるSOUNDBATH体験セミナー

    出演:akira∞ikeda 主催:株式会社キョーリツコーポレーション 開催日:5月25日

    新感覚の音体験
    “音風呂”で心身スッキリ

    Sonic Energyは、MEINLの幅広いパーカッション・ラインナップの中で、瞑想やマインドフルネスの助けになるようデザインされたシリーズ。そのデモンストレーションとして行われたのが、“SOUNDBATH(サウンドバス)”と呼ばれる心と体のリラックス体験だ。京都在住のサウンド・セラピストakira∞ikedaを参加者達が輪になって囲み、軽く身体をほぐしてから寝転ぶと“音風呂”がスタート。

    自然の振動や宇宙のリズムに共鳴する周波数であるA=432Hzを基準にチューニングされたクリスタル・ボウル、バンブー・チャイムなどのSonic Energy製品と、自作楽器によって奏でられる音が空間を満たしていく。取材班はその様子を写真を撮りながら見ていたが、途中で目を閉じると、さまざまな音が1つの生き物のようにウネりながら身体と同化していくような、不思議な感覚が訪れた。そんなakira∞ikedaの“演奏”が続いたのは約1時間。そして、終わったころには心身スッキリ。これが“音風呂”の効果なのかと驚かされた。大勢の来場者で賑わうドラパラ会場で、ここだけまったく違う時間が流れたひとときだった。

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    ~初心者のための~Yamaha EAD10のトリセツ

    出演:八田頼樹(司会)、Yamahaの中の人(インストラクター)  主催:Mokison Drum School 開催日:5月25日

    「どう使えばいいの?」を解説
    EAD10の使い方と魅力をレクチャー

    Yamahaから発売されている“エレクトロニック・アコースティック・ドラム・モジュール”ことEAD10は、プロ/アマチュアを問わず多くのドラマーに愛用される一方で、「どう使えばいいの?」という人は今も少なくない。そんな問題意識のもと、兵庫県姫路市でMokison Drum Schoolを運営するドラム講師/ドラマーの八田頼樹氏が企画したのがこのセミナー。

    Yamahaのスタッフとの掛け合い形式で、セッティングから音出し、参加者に叩いてもらいながらの動画撮影までを、実演販売のごとく繰り広げていく。程良い関西ノリを交えたトークも楽しく、リアル・イベントならではのライヴ感でEAD10の使い方と魅力をわかりやすく伝えてくれる内容だった。なお、Mokison Drum Schoolは今回のドラパラにブースも出展しており、そこではEAD10を使った動画撮影を実際に体験することができた。メーカーでもショップでもない八田氏がこのような形でドラパラに参加した背景には、注目すべきストーリーがある。興味のある人は同スクールのサイトにあるブログを見てみよう。

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    JUNNA流 ツインペダル奏法

    出演:JUNNA  主催:パール楽器製造株式会社 開催日:5月25日

    HAGANEのJUNNAが明かす
    ツイン・ペダルの真髄

    十代の頃からSNSや動画サイトで注目を集め、2024年にはガールズ・メタル・バンドHAGANEに加入したことでも話題のJUNNAが、トレードマークの1つであるツイン・ペダル・プレイに特化したセミナーを開催。

    セミナー・ルームの中でも大きめの部屋が満員の来場者で埋まる中、まずは力強いデモ演奏で来場者の目と耳を奪う。テクニカルなリックを随所に盛り込みながらも、そこだけがビートの中で浮いてしまうことのないドラミングが見事だ。奏法に関するトークへ移ると、「脚が手のように思い通りに動かないのはなぜ?」、「連打するとスネが痛くなるのを防ぐには?」といったテーマに実践的な答えを出していくJUNNA。言葉選びが明解でわかりやすく、話を聞いているだけでツイン・ペダルが上達したような気分になるから不思議だ。ここ半年くらいはドラム・スローンの座面が動くように固定ネジを緩め、より両脚を動かしやすくなったという。彼女の探究心はまだまだ進化を続けているようだ。

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    だれでも参加OK! はじめてのドラムサークル

    出演:TAKAFUMI  主催:ドラマーズパラダイス実行委員会 開催日:5月24&25日

    緊張気味の参加者が少しずつ
    楽しんでいく様はドラムサークルの醍醐味

    今年、初の著書である教則本『“楽器・奏法・セッティング”が一通りわかる!はじめてのパーカッション』を上梓したマルチパーカッショニスト/打楽器YouTuberのTAKAFUMIがドラパラ2025に登場!

    カホン、コンガのワークショップを開催したほか、2日間の両日にわたって行ったのが「だれでも参加OK!ドラムサークル」だ。“ファシリテーター”と呼ばれるガイド役のリードに従い、参加者が輪になって打楽器を叩いて楽しむドラムサークルは、全国各地にコミュニティがあり、年齢や経験を問わず参加できるのが魅力。それを気軽に体験してもらおうというのが今回の趣向である。

    ジェンベやカウベル、身振り手振りも交えてリズムの基準を打ち出すTAKAFUMIを前に、初めは緊張気味だった参加者達も、少しずつ打楽器の楽しさを感じていく様子はまさにドラムサークルの醍醐味。取材班が見た2日目の回ではキッズ層の姿も目立ち、世代を超えた打楽器の輪が生まれていた。

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    チーチョ西野 大人のパーカッション・アンサンブル

    出演:チーチョ西野 主催:パール楽器製造株式会社 開催日:5月25日

    超満員のパーカッション・ワークショップ
    初心者からプロまで一体となったアンサンブル

    パーカッションの醍醐味の1つである合奏=アンサンブルの楽しさを伝えてくれたのが、パール主催で行われた「大人のパーカッション・アンサンブル」。パーカッション・ルームにたくさんの打楽器を広げて、来場者に叩いてもらう参加型のワークショップだ。

    部屋いっぱいに詰めかけた来場者を前に、ラテン・パーカッショニスト/ドラマーのチーチョ西野がハンド・サインで指揮をとり、全員でのユニゾン、ソロ、コール&レスポンスなど、いろいろな形のアンサンブルをその場で作り上げる。持ち前の明るいキャラクターで「難しいことはしなくていいですよ~」、「誰かのソロのときは自分の音を下げて、ソロの人が目立つように。“大人のアンサンブル”ですからね(笑)」などと和ませながら、リズムの難度を少しずつ上げていく。おそらく楽器経験は少ないだろうと思われる人から、ふらりと訪れたプロ・ミュージシャンまでが入り混じって、最後にはダイナミックで一体感のあるアンサンブルが生まれていた。

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    ■デモンストレーション at エレドラルーム

    ATV aDrums artist
    aDrums artistを拡張した
    フルセットと呼ぶに相応しい多点のSP仕様

    出演:松本 冴/鬼束大我 主催:ATV株式会社 開催日:5月24&25日

    5Fのエレドラ・ルームで行われた、ATVのaDrums artistを拡張した多点セッティングの“SP仕様”を用いたデモンストレーション。まさに“フルセット”と呼ぶに相応しい多点のSP仕様でプレイしてくれたのは、川崎を拠点に活動する3ピース・ベースレス・ロック・バンド、RUBBER CUPのドラマーである松本 冴。

    ATVスタッフの機能解説と彼女の演奏を通じてaDrums artistの表現力や自由度の高さを感じることができたのだが、とりわけ強く感じられたのは、バンド・アンサンブルに即使えそうなロック・キットからレコーディングには持って来いのヴィンテージ・ライクな音色といった幅広いサウンド・バリエーションや叩き手のタッチをそのままに引き出すリアルなパッドの感度で、彼女の叩く絶妙なニュアンスをこの上なく表現していたように思う。加えて彼女の高いテクニックと相まってaDrums artistのポテンシャルがより発揮されていたように感じた。

    デモンストレーションの締め括りには、RUBBER CUPのヴォーカルである八代哲幣が飛び入り参加し、ヴォーカルとドラムという編成で1曲披露。迫力のパフォーマンスでデモンストレーションは終了となった。

    2日目のデモンストレーションを担当したのは、京都を拠点に活動するジャズ・ドラマー鬼束大我。ロックに寄せた内容の1日目とは対照的な人選で、aDrums artistの幅広い対応力をアピールする内容となった。

    9歳でメジャー・デビューを果たし、世界最年少プロ・ドラマーとしてギネス認定された経歴を持つ鬼束の演奏は、ジャズを出自とする彼ならではの豊かなダイナミクスが印象的。チャイナ、スプラッシュ、穴あきクラッシュを含む全種類のシンバル・パッドを並べたセッティングを存分に駆使したプレイは、エレドラを叩いていることを忘れさせる瞬間が何度もあったほどだった。現在、鬼束は国内外で演奏活動を展開する傍ら、出身校である京都ミュージックラボでドラム講師を務めている。そこではエレドラも活用しており、だからこそ引き出せるエレドラとしてのaDrums artistの魅力もしっかり盛り込まれた約30分のデモンストレーションだった。

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    Pearl e/MERGE PRO
    両日で趣向を変えて実感した
    e/MERGE PROの無限の可能性

    出演:森谷亮太/スズキトモヒサ a.k.a. Soopy 主催:パール楽器製造株式会社 開催日:5月24&25日

    アコースティック・ドラムのルックスを踏襲したパールの新しい電子ドラム、e/MERGE PRO。1日目はドラム・インストラクターとして多くの教則本を執筆している森谷亮太が、このモデルを用いたセミナーをエレドラ・ルームで開催。

    森谷はe/MERGE PROについて「生ドラムに近づけることを主眼に置いたエレドラ」と述べ、電子ドラムのセミナーではめずらしいサウンド・メイク術をテーマに展開。デモンストレーションではPerfumeの「チョコレート・ディスコ」をデジタル色の強いサウンドで披露。観客が四方を取り囲む中で演奏できるのも、電子ドラムならではと言えるだろう。

    セミナーはテーマであるサウンド・メイク術へと進み、森谷が実践しているという3つのポイントを紹介。1つ目は音を知ること、2つ目は音を決めること、そして3つ目は音を作ること。森谷は特に1つ目の「音を知ること」が難しいと解説。スネアの音色に注目して聴いてみるように促し、あいみょんの「マリーゴールド」の音源を流す。このようにスネアを意識させることで、求める音色のイメージを明確化。これがまさに1つ目のポイント。

    そして豊富なプリセットが内蔵されたe/MERGEのモジュールから音を決めていくのが、2つ目のポイント。実例を挙げながらテーマを具現化していく森谷の話の進め方は実に見事で、その百戦錬磨の経験値を実感。あらためてドラムにおける音色の重要性をあらためて感じさせる内容であった。

    2日目を担当した“Soopy”ことスズキトモヒサは、メロディックな多点キットを駆使したソロ・ドラム・パフォーマンス動画をYouTubeで発信している打楽器奏者/作曲家/インストラクター。そんな彼だけに、製品のデモンストレーションに留まらず、じっと耳を傾けたくなる“演奏”を前面に出したセミナーとなった。 アコースティック/エレクトロニックともに豊かな表現力を備えたe/MERGE PROのサウンドが、まさにセミナーのタイトル通り“ソロ・ドラミングの世界観”を創出する。セミナーの終盤では、豊富なレッスン経験から発想したという、すべてのパッドを同じ音色にして行う練習方法も紹介。今回はe/MERGE内蔵のマーチング・ドラム音色に統一し、手足のコンビネーションやダブル・ストロークを叩いてみせたが、確かにわずかなバラつきも聴き取りやすくなった。電子ドラムならではの練習法として、覚えておきたくなる一例だった。

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    Roland VAD716 & DW DWe
    フルサイズのウッド・シェルを備えた
    エレドラを牽引するモデルを間近で体感!

    出演:柳原勇作 主催:ローランド株式会社 開催日:5月24&25日

    Rolandコーナーでは、V-Drumsのフラッグシップ・モデルVAD716と、世界初のアコースティック/電子両用ドラムとして話題のDWeによるデモンストレーションが2日間に渡り行われた。どちらもアコースティック・ドラムと同様のフルサイズ・ウッド・シェルを備えた製品で、現在のエレドラ・シーンを牽引する存在と言ってもよく、強い関心を寄せる来場者が多かったようだ。

    インストラクターは、これまでV-Drumsのイベント/セミナーに数多く出演しているドラマー柳原勇作。まずDWeのキットでリアルなアコースティック音色のデモ演奏を披露した後、音源ソフトウェアDW Soundworksの画面を大型モニターに映しながら操作性について解説。シンバルはDWeのパッドに加えて、RolandのV-Cymbalと新開発のワイヤレス・トリガーWT-10がセットされ、新たな接続スタイルを提案した。一方、VAD716のキットでは主に打点位置による音色変化を駆使した豊かな表現力をアピール。それぞれのアプローチで、電子ドラムの可能性を広げた両製品の魅力を目の前で体感できる貴重な機会となった。

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    Yamaha DTX10
    DTXフラッグシップの魅力を
    存分に伝えるデモンストレーション

    出演:岩尾達樹 主催:株式会社ヤマハミュージックジャパン 開催日:5月24&25日

    Yamahaの電子ドラム・シリーズDTXのフラッグシップ・モデル、DTX10を使ったデモンストレーション・イベントがエレドラ・ルームで2日間ともに開催。デモンストレーターを務めるのは、本誌ドラム・コンテストでグランプリ受賞経験のある岩尾達樹。

    イベントは岩尾が参加する「じどうくらぶ」の楽曲に合わせたパフォーマンスで幕開け。ダイナミクスを駆使した表現豊かな演奏で、来場者はその音に引き込まれた。

    続く解説コーナーでは、岩尾が電子ドラムの利点として「静粛性」と「音色の変更が可能であること」を説明。その上で、DTX10は生ドラムでの演奏を想定して設計されていると語り、生ドラムと共通のラックが装備されている点や、Yamaha独自のTCSヘッドがもたらすリアルな打感など、その魅力を強調。

    さらに岩尾流電子ドラムの楽しみ方として、パッドにさまざまな音色を割り当てる方法をレクチャー。昨年アップデートされた音源モジュールにジルジャンのスタックシンバルが追加されたことに触れ、その音色をタムの位置にアサインしてデモ演奏を披露。これは電子ドラムだからこそ可能なことであり、その魅力を存分にアピールする絶好の機会となったと言えるだろう。

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