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    豪華アーティスト11組が打楽器の祭典”ドラパラ”で繰り広げた白熱のパフォーマンスをレポート!【ドラマーズ・パラダイス2025 in 大阪】

    • 取材/文/撮影:編集部 写真提供:ドラマーズ・パラダイス2025実行委員会

    国内最大の打楽器の祭典
    豪華ホール・イベントをレポート!

    打楽器の祭典“ドラマーズ・パラダイス” が、去る5月24日、25日の2日間に渡り、大阪市立青少年センターKOKOPLAZAで開催された。2014年にスタートした“ドラパラ” は、コロナ禍を経て、2023年に大阪で再始動。2024年は東京楽器博とのコラボレーション開催となったが、今回は大阪凱旋となり、過去最大規模となる23企業、総勢40以上のメーカー&ディーラーが出展。ブースには新製品や注目のモデル、メーカーのイチオシ品がズラリ! 気に入った楽器をその場で購入できるのも“ドラパラ”ならではだろう。2日間で800人を超える来場者が訪れ、新たな楽器との出会いを求め、思い思いに試打を楽しんでいた。

    さらに多岐に渡るイベントも実施され、新たに加わったパーカッションや電子ドラムのデモンストレーションから、キッズ/初心者向けの超入門講座、実践的なワークショップまで、ビギナーからプロを目指すプレイヤーまで、さまざまなレベルのドラマーに対応したセミナーが繰り広げられた。ここでは熱気に満ち溢れた“ドラパラ”で、特に注目を集めたホール・イベントのレポートをお届けする。

    MENU

    Day 1
    Zildjian showcase at ドラパラ2025
     feat. 影丸[-真天地開闢集団-ジグザグ]、Bunta[TOTALFAT]、yuri[Gacharic Spin]


    ドラパラスーパーセッション2025 Day1
     feat. CHARGEEEEEE…、志雄、仄雲


    Day 2
    Dafnis Prieto Drum Clinic
     feat. EVANS, SABIAN, VIC FIRTH and Yamaha


    大坂昌彦Jazzドラムセミナー

    ドラパラスーパーセッション2025 Day2
     feat. 今井義頼[CASIOPEA]、Yeongkwi Lee、中野虎成

    ■Day 1|5/24

    Zildjian showcase at ドラパラ2025
    feat. 影丸[-真天地開闢集団-ジグザグ]、Bunta[TOTALFAT]、yuri[Gacharic Spin]

    ドラパラ2025のホール・イベントは、影丸、Bunta、yuriがジルジャン・シンバルを叩き尽くす『Zildjian Showcase atドラパラ2025』で幕を開けた。ステージに登場した3名は、それぞれ個性が光るソロを披露。

    影丸はMr.HiHatを彷彿とさせるハイハット・ソロや超絶な足技、Buntaは意外にもシンバル・レガートを聴かせたと思いきや、セット全体でのエネルギッシュなプレイも炸裂。yuriはシンバルのハンド・ロールから始まり、スティックに持ち替えてパワフルなビートを叩き出す。

    トークでは、昨年復活した新生Z Customにもフォーカス。セッティングに組み込まれたシンバルの実演も交えつつ、Buntaは「以前のモデルより使いやすくなった」と述べ、特に右手側のハイハットを例に挙げ、Z Customは重すぎず好印象と語る。影丸は師匠・菅沼孝三氏のエピソードを交えながら現行モデルを絶賛。音程を変えるためにあえて同じシンバルのウェイト違いを選んでいるという。yuriはFXシリーズのスパイラルがお気に入りのようで、使い方や効果を熱弁していた。

    シリーズごとの特徴やラインナップに関するクイズ・コーナーでは、“利きZ Custom”などで大盛り上がり。ラストは3人からジルジャンへの熱い想いが語られ、400周年イベントのために山本真央樹が手がけた「Believers」を協奏。約1時間半に渡る濃密な時間は、大きな拍手の中で幕を閉じた。

    ドラパラスーパーセッション2025 Day1
    feat. CHARGEEEEEE…、志雄、仄雲

    ドラパラの目玉=スーパーセッションの1日目は、CHARGEEEEEE…、志雄、仄雲という3人のロック・ドラマーがメーカーの垣根を超えて集結。セッションは各々のソロ・パフォーマンスからスタート。

    テーマとなるキメを軸に、CHARGEEEEEE…と志雄は手数&足数で攻め、仄雲はビート主体で応酬。異種格闘技戦の様相を呈していた。

    演奏を終えると使用メーカーとの出会いについてのトーク・コーナーへ。志雄はアイアンコブラを機にTAMAへ、仄雲は真太郎[UVERworld]の影響でSAKAE OSAKA HERITAGEへ、CHARGEEEEEE…はパール・アーティストへの憧れから使い始め、カタログ掲載が実現したときの喜びを語っていた。

    そして話はこの日のセッティングの話題に。CHARGEEEEEE…はラックで組み上げた黄金セットにロケットタムを追加した変則仕様。志雄は2タム、1フロアというスタンダードな構成だが、高く掲げたシンバルやレッグを頂点で留めたフロアなどハイ・ポジションな設定。仄雲は逆にシンプルで低く揃えられたシンバルが印象的な3点セットと、プレイ・スタイルもセッティングも違うお互いの哲学に興味は尽きない。

    メーカーへの感謝や楽器への思い入れを語ると、各々の代表曲と共に、あらためて楽器の音を体感するパフォーマンスへ。CHARGEEEEEE…は全身全霊の魂のドラミング、志雄はブラスト・ビートを織り込んだ音数満載のパフォーマンス、仄雲は大規模会場での経験に裏打ちされた説得力あるビートで観客を魅了。最後は3人のドラム・アンサンブルがあまりに盛り上がり、お互いのセットを移動し合って叩く場面も! ドラパラ1日目を盛大に締め括った。

    ■Day 2|5/25

    Dafnis Prieto Drum Clinic
    feat. EVANS, SABIAN, VIC FIRTH and Yamaha

    2日目のホール・イベントは、日本国内初開催となるキューバの才人=ダフニス・プリエトのドラム・クリニックでスタート。ステージには各社協力のもと、彼が愛用するYamaha、セイビアン、エヴァンス、ヴィック・ファースの機材を用意されているのも、国内メーカー/代理店が一堂に会するドラパラならではの光景。

    客席がダフニスを半円状に囲んだ状態から、クリニックはいきなり10分を超えるロング・ソロで開幕! タムを中心に、緩急をつけたトライバルなアプローチから徐々に激しさを増していき、熱量を高めていく。ティンバレスのようにカンカンに張られたタムによるメロディックなフレーズを絡めつつ、両手と右足はフリーに叩いているように見えるが、左足のハイハットだけは確実に一定のパルスを刻み続けており、彼の中でどのようなメトリック・モジュレーションが描かれているのか、異次元のパフォーマンスが至近距離で繰り広げられていく。

    ▲ダフニス・プリエト

    ソロが終わり観客からの質問コーナーに入ると、1つ1つ丁寧に実演を交えながら回答。特に、「ソンゴはリズムではなくスタイル。ソンゴの中にたくさんのリズムがある」と熱弁する姿が印象的だった。最後はダフニスが用意したオリジナルのトラックに乗せてパフォーマンスし、大満足のクリニックは終了。1時間半もの間、片時も目の離せない内容だった。

    大坂昌彦Jazzドラムセミナー

    続くイベントは、2025年7月号よりドラマガ本誌での連載セミナーが始まった、大坂昌彦によるジャズ・ドラム・セミナー。ベースに千北祐輔、鍵盤に矢藤亜沙巳を迎えたトリオによる演奏を交えながら、大坂の明るく優しく、そして的確な解説力もあり、終始和やかな雰囲気で進行した。序盤ではジャズ・ブルースがテーマ。

    セッション経験のある観客(ドラマー)をステージに上げ、「Now the Time」を即興で演奏させ、そこからジャズの基礎やマナー、そして楽しさを語る場面も。さらにジャズに欠かせない“レガート”について、英語には“ッ”の発音がないことから、シンバルだけでなくすべてをレガート(滑らか)に演奏することの重要性を強調。その他にもフェザリングの意義やドラム・ソロの終止感など、初心者にも非常にわかりやすい解説を交えながら会は朗らかに進んでいく。

    ▲大坂昌彦

    途中、大坂のドラミングを支える機材の話題となり、Yamahaドラムがジャズに適している理由やFP9フットペダル、HHS9Dハイハット・スタンド、ライトウェイトハードウェアへの愛着も語られた。最後はスタンダード曲との向き合い方として「Impressions」を3拍子にアレンジするなど、自分のモチベーションを保つ方法を紹介。そのままトリオでの演奏に入りセミナーは終了。これまでジャズに触れたことのない、またはジャズに苦手意識のあるドラマーにもぜひ体感してほしい、濃密で充実した時間となった。

    ドラパラスーパーセッション2025 Day2
    feat. 今井義頼[CASIOPEA]、Yeongkwi Lee、中野虎成

    ドラパラ2025の大トリは今井義頼、Yeongkwi Lee、中野虎成によるスーパーセッション Day 2! 3人がステージに上がると、今井がこの日のために考案したというセッションから開幕。単なるソロ回しにとどまらない、テーマが連続した内容で、3人の連打が時間差で連なるフレージングは圧巻の美しさ。三つ巴のセッションが終わると、1人ずつのパフォーマンス・タイムに突入。

    トップ・バッターの中野は雨をイメージしたトラックに合わせたインプロヴィゼーションと、自身が所属するインスト・バンドの楽曲からギター・ロックとブラス・ナンバーの2曲を演奏。表現の振れ幅で魅せてくれた。

    続いてはYeongkwi Lee。軽快な語り口調で会場の笑いを誘い、飄々とした印象を受ける彼だが、パフォーマンスでは一変。彼のInstagramからもわかる通り、安定した体幹で難度の高い技を次々と繰り出し、涼しい顔をしながらテクニカルな2曲を叩き上げてみせた。

    ラストは満を持して今井が登場。「白昼夢の閃き」、「ウィークエンダーの憂鬱」、「Blessing Road」の3曲を披露。通常運転というべきか、その1発1発の熱量と速さが脳内で処理が追いつかないほど、“速いのに爆音”のドラムが終始会場を圧倒していた。

    そしてまさに大トリの大トリ、3人で奏でる山本真央樹作曲による本誌コンテスト課題曲「Symbiosis」で今年のドラパラは大団円。三者三様、ドラムで人の心を動かすという気概に満ちた、素晴らしいステージだった。