SPECIAL
UP
初来日のカーター・マクリーンが魅了した“Ludwig Roadshow”
- Report:Seiji Murata/Photo:Takashi Yashima(Gear)
ラディック・ドラムの魅力を、その年々の新製品紹介とラディック・アーティストによるデモンストレーションの2部構成で余すところなく伝えるイベント“Ludwig Raodshow”、その2024年最新版が、6月に大阪と東京の2ヵ所で開催された。
近年のコロナ禍の影響で開催は5年ぶり。さらに、近年ブロードウェイ・ミュージカル『ライオンキング』でもドラムを務める気鋭のテクニシャン、カーター・マクリーンのクリニックが開催されるということで、両日共にチケットは完売となった。ここでは、6月29日に東京国立音楽院KMAパラダイスホールにて行われた東京公演の模様を詳細にお伝えしよう。
Ludwigが誇る2024年のニュー・モデル
第1部は、ラディックの本国アメリカから来日したマーケティング & アーティストリレーション・マネージャーのウリ・サラザール氏による2024年ニュー・モデル紹介から。今回のリニューアルは下記の5項目。
①Classic Oakの新色
②NeuSonicシリーズのシェルパック新設と新色
③Bronze Phonicスネアの復活
④Universalシリーズ・スネア
⑤Breakbeatsの仕様アップデート
それぞれを簡単に解説しよう。
まず①Classic Oakは、もともと2011年にKEY STONEシリーズとして発表されていたモデルで、3プライ・メイプルをオークで挟んだ5プライ・シェルと山型のデュアル・エッジ45度(ヘッドに当たるのはコアのメイプル部分)の仕様により、これまでのラディック・サウンドよりロー指向で、短めのサステイン、そしてアタックが強調されたサウンドが特徴。今回は、ブルー/ブラウン/グリーンのバースト系フィニッシュが新たに追加された。
②NeuSonicは、ドラマーにさまざまな選択肢を提供すべく、同社看板モデルのClassic MapleやClassic Oakと同じ工場、同じプロセスで製造されながらも価格帯を抑えたモデルとして2018年に発表されたシリーズ。今回のアップデートで、チェリー3プライ(インナー)+メイプル4プライ(アウター)のコンポジット・シェルは5.5mmと従来より0.5mm厚くなった。Oakに比べ長めのサステインで明るめのサウンドが特徴だが、新設されたシェル・パック“RAPID MOD 2”では、22″×14″、10″×6″、12″×7″、16″×14″と、タム/フロア・タムが浅めの設定で、チューニングを上げてもロー・エンドが失われないのが特徴だという。
新色はサテン・ディアブロ・レッド/サテン・ロイヤル・ブルー/サテン・ゴールデン・スランバーズ/シルヴァー・シルク/バタースコッチ・パール/エボニー・パール/スティール・ブルー・パールの7色が追加され、新色でのシェル・パックも充実している。
③1981年に発表され、1.2mm厚ブロンズのシームレス&センタービード仕様で、深さ5″と6.5″をラインナップしていたBronze Phonic。いったん製造中止となったが、もともと80’s〜90’sロックに最適化されたモデルだっただけに、現在の音楽シーンも相まって復活のリクエストが多かったようだ。ただ今回は、単なる復活ではなくロウ(Raw)フィニッシュ=研磨していないシェルも採用。研磨しないことでダークになりつつ、一部周波数を減じたようなサウンドになるため、ミッド・レンジがかなり落ち着き、それがアーティストに評価を得ているという。カーターの試奏では、研磨したLB550やスープラフォニックLM400、ブラックビューティーLB416との比較実演があり、それぞれの良さや特徴を明確に聴き分けることができた。
④Universalシリーズは、ラディックのデザイン/品質はそのまま、広くドラム・シェルとして用いられてきた材質を採用しサウンドの幅を広げたシリーズ。シェルはブラス(ブラックニッケルメッキ/シームド)と、100%マホガニー/ビーチ+サペリ化粧板/100%チェリー/100%ウォルナットの4種類のウッドで、サイズは14″に対して、深さはブラスが5.5″、6.5″、7″、8″の4種、ウッドは6.5″のみのラインナップ。フープが、トリプル・フランジ(クローム)とダイキャスト(ブラックニッケル)から選択できるのもうれしい。
⑤クエスト・ラヴとの共同開発で、ヒップホップ・サウンドとポータビリティ(可搬性)を追求したお馴染みのBreakbeatsキットだが、今回アップデートで、タム/フロアのレッグ・ブラケットが新しくなり、バス・ドラムがウッド・フープ仕様に変更された。
最後にサラザール氏はこう締めくくった――「ラディック社は、ドラマーとしてのみなさんの“旅”をサポートできるようにさまざまな選択肢を用意したい。だからこそ、サウンドのバラエティ豊かな製品群が、どのシリーズ、どの価格帯でも安定した品質であることを常に心がけています」。
クリニック・レポートは次ページ