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    JINO’s School of Musicで生きたGrooveを体得!〜岸田容男 × 日野“JINO”賢二スペシャル対談〜

    • Photo:Takashi Hoshino
    • Interview & Text:Seiji Murata

    Groovin’ Talk Session

    岸田容男 × 日野“JINO”賢二

    2019年春に開校し、グルーヴィン・ベース=日野“JINO”賢二を筆頭に、海外経験豊富なトップ・ミュージシャンが、本物のグルーヴとミュージシャンとしてのさまざまなスキルを伝授するJINO’s School of Music。今回は、本校のドラム科講師として迎えられ、ドリカムやA,I.、DA PUMP、西野カナ、三浦大知をはじめ、ダンス/ヒップホップ、ブラック・ミュージック、フュージョン界隈で極上のグルーヴを聴かせる岸田容男と校長“JINO”によるリズム体対談が実現。“生きたGrooveを体得するには?”をテーマに、海外活動も豊富なお二人に語り合ってもらった。その会話自体がまさにグルーヴ!

    それがグルーヴなんだよ! 
    ズレてるのが当たり前なんだよ!

    ●今回は“生きたGrooveを体得するためには”をメイン・テーマに、海外活動も豊富なお二人に語り合っていただきたいと思います。お二人は共演も豊富ですが、JINOさんから見て岸田さんはどんなドラマーですか?

    JINO 岸田君は周りの音をちゃんと聴いてるね。これはドラマーとして一番大事。周りを聴かないで音楽をやってるドラマーって余裕がない……練習が足りないのか、曲を知らないのか、それが音に絶対に出ちゃう。でも岸田君は、4小節とか8小節ごとにフィルを入れるようなタイプじゃなくて、スティーヴ・ジョーダンみたいに、自信満々で1つもフィルを入れずにグルーヴだけでもっていきながら、ソリストのこともちゃんと聴いていて何をやりたいかすぐにわかってくれる。俺にソロのスペースを空けてくれたり、ソロの間に俺の大好きなタイプのフィルを入れてくれたりね(笑)。そういう“謙虚さ”がある一方で、「ここは俺のモノだぜ!」って熱く燃え上がっていく部分もちゃんとある。俺みたいなバンド・リーダーとしては「ここで火が点いたから一緒に燃え上がっていこう!」っていうところで、水じゃなくて、もっと油を注いでほしいわけで、そこもちゃんとわかってくれてるよね。

    ●そういう部分は、岸田さんがまさに重要視しているところですか?

    岸田 そうですね。やっぱり周りとのアンサンブルを聴いて、どういうスペースを空けてどういうグルーヴでいくのかは、すごく大事にしてますね。例えばベースがガーッと盛り上がってるから、こっちはよりシンプルにパルスがわかるようにしつつ、たまにくっついたり、また離れたりっていうダイナミクスですよね。

    JINO しっかりしてるドラマーは、こっちがいっぱい“休符”を入れられるんだよね。しっかりしてないドラマーは、8ビートのフィールなのに「ここだよ、ここだよ」って16のフィールで弾かないと遅れたり速くなったり、「わかる? 感じる? じゃあリラックスして付いてきて!」って、ずっとドラマーのことが気になっちゃう。岸田君はたまに目が合うくらいで、合うといつも笑ってて、アイコンタクトで「今のカッコ良かったじゃ~ん!」って感じ(笑)。

    岸田 JINOはめちゃくちゃリズムが良いので、本当にこっちが自信を持って叩いてないとアンサンブルできないんですよ。

    JINO あと、この人は何よりもブラック・ミュージックを愛してるよね。初めて(デイヴィッド)サンボーンっぽいフュージョンのバンドで共演したとき「この人、サイコーにファンキーだな」と思った。やっぱりバック・ビートがファンキーなんだよ。

    ●バック・ビートがファンキーなんですね。

    JINO そうだね。シャッフル系ってジャズ(4ビート)もスネア(2拍4拍)がリードで、1、ニィ、3、シィって2と4がハシッて、1と3は安定してハシらないけど、ファンクって2と4がちょっと遅れる(たまる)んだよね。そこをメトロノームに合わせちゃうとどうしてもグルーヴしない。そう思ったのは俺のアルバムのレコーディングで、アシスタント・エンジニアが「JINOさん、バスドラとスネアを全部合わせておきました! デニス・チェンバース、クリックに合ってないですね」って言うから、「バカ! それがグルーヴなんだよ! ズレてるのが当たり前なんだよ!」って(笑)。

    岸田 グリッドに合わせちゃったんだ(笑)。

    ●そういうブラック・ミュージックのグルーヴを、お二人とも海外で直に体験してきたのが大きいのでしょうか?

    岸田 そうですね。(JINOのバンド)“JINO JAM”にもマーカス(ミラー/b)が飛び入りしたりして、1時間ずっと一緒に演奏したりもしましたけど、みんなタイムがものすごく良いので、その音楽のポイント、ドラムのポイントはどこにあるべきかがよくわかりますし、みんなプッシュ感、スピード感がものすごいので、ビートを“置いて”しまったらダメで、ちゃんとヴァイブスを感じてプッシュしないと「グルーヴしてないよ」ってことになってしまいますから。

    JINO ドラマーって一番難しいと思うのは、例えば1つのキメのフレーズをやるのに、四肢をどう組み合わせるのか? こっちはその組み合わせによって「次はどうやってくるんだろう?」ってワクワクしたりするんだよね。

    ●グルーヴもキメも、メンバー間のヴァイブスを感じながら“会話”するということなんですかね。

    JINO それは常に感じてるね。聴きながら演奏してるわけだから。音楽ってすべてソレでしょ! それによって立体感を作ったり、お互い(同じタイミングで演奏して)マスキングして緊張感を高めたりできる。

    ●岸田さんは、そうやって耳や身体をフレキシブルにしておくために普段から取り組んでいることはあるんですか?

    JINO そういえば岸田君、音楽番組の収録のとき、リハと本番の間に楽屋で筋トレとかやってるんだよね(笑)。

    ●筋トレもドラマーには大事?

    岸田 筋力があって脱力することが大事だと思っていて、やっぱり基本的な瞬発力とか踏み込んだときのアタック感とか、そもそも長時間叩けるスタミナのためには筋力は必要だと思います。共演者がエキサイトしているときに、こっちに体力がないと上半身で叩きにいっちゃうからラッシュしちゃうんです。

    JINO ドラマーはやっぱり“足”だもんね。

    岸田 長時間叩けるバネとスタミナと筋力は必要だと思います。

    JINO だからこの人のグルーヴは気持ちいいんだよ。