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移転&リニューアルを果たした大阪の個性派ショップ=“SERAKU DRUM GARAGE”を直撃!

  • Text&Photo:Isao Nishimoto

2021年にオープンし、独自の存在感を築いてきた大阪のドラム専門店“SERAKU DRUM GARAGE(瀬楽ドラムガレージ)”が今年3月に移転&リニューアル。フロア面積が大幅に広がり、ホールとリハーサルスタジオも併設された西日本最大級の総合打楽器ショップに生まれ変わった。

ホールとリハスタが併設された
ドラム・ショップとして新生!

店舗フロア全景。ドラム・セット、シンバル、パーカッション、スティック、周辺アイテムなどが豊富に揃った様子は圧巻だ。

新店舗があるのは大阪市西成区津守。電車で行く場合は、南海電鉄高野線(汐見橋線)の津守駅か、地下鉄四つ橋線の花園町駅が最寄駅となる。店舗の向かい側には格安のコインパーキングがあり、車での利用も便利だ(店での購入金額に応じて駐車券のサービスも用意)。

津守駅からは徒歩6~7分で、駅前には公園があり、店への行き帰りに一息つくのも良さそう。花園町駅からは15分ほど。ちなみに、筆者は花園町駅から歩いて向かったが、新しくなったドラムガレージへの期待感で実際よりも短い道のりに感じた。さらに、取材を終えた帰り道は(一度通った道だからか?)もっと短く感じたことを書き添えておきたい。

前置きが長くなったが、新しいドラムガレージは、とても特徴的な雰囲気の建物にある。入り口の前にドラム・セットがなければ、そこが音楽に関係する場所だとは気づかないだろう(思い返せば、カスタムバイク店の2階にあった旧店舗もそうだった)。以前は教会として使われていた建物だそうで、リフォームを施したブルックリン調のレンガ仕立てにも納得がいく。

店舗の外観。大きな三角屋根と縦に長い窓ガラスが、教会であった名残りを感じさせる。
旧店舗の前にディスプレイされていたパールのクリスタルビートが、現在の店舗でも目印として鎮座。写真奥の階段を上がると店舗の入り口がある。

店舗入口は外の階段を上がった2階にあり、1階はリハーサルスタジオ、3階がホールになっている。最初に“西日本最大級の総合打楽器ショップ”と書いたが、このような複合施設は全国的に見てもめずらしい。その背景には、ドラムガレージの母体となる株式会社瀬楽の存在がある。

株式会社瀬楽は、クラシック/吹奏楽向けの打楽器常設スタジオ(瀬楽スタジオ)と楽器レンタル業務を運営している。同社の代表取締役・一瀬知史氏は、「以前、クラシックの打楽器奏者として活動していた時期があって、ティンパニのような大型の楽器を置ける場所が欲しいというところからスタートしたんです」と創業のきっかけを説明する。

一瀬「特に打楽器を演奏する人が一番困っているであろう練習場所を提供することを1つの志とすることで、自分が育ててもらった打楽器の業界に対して恩返しができるのではないか。そんな気持ちで瀬楽スタジオを作りました。主なターゲットは吹奏楽団やオーケストラで、最大で50人くらい入れます」。

そんな瀬楽スタジオに対して、利用者から“大きな楽団が使えるように、もっと広い場所も欲しい”という声があり、現在の物件が売りに出されることを知った一瀬氏は次の一歩に乗り出す。

一瀬「ドラムガレージの旧店舗にかかっていたコストに少し上乗せすれば今の形にできることがわかったので、この建物を購入したんです。3階をさらに広い練習場所として使えるだけでなく、コンサートやイベントもできて、2階を店舗にすることで販売とイベントの両方を行える。これは大きな強みになると思いました」。

フロア面積は大きく広がったが、カウンター周りのレイアウトは旧店舗のイメージも思い出させる。
リペア/調整のためのスペースも設けられたカウンター側から、店舗フロアを見たところ。展示された楽器はすべてその場で音を出して試せるのも旧店舗と同様だ。
3階は、礼拝堂として使われていたスペースを“瀬楽ホール”として運用。4階部分までつながった高い天井が特徴で、楽器の音がナチュラルに響く心地良い空間だ。ライヴ、映像撮影、演劇、ワークショップなど幅広い活用を想定している。

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