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新生活からエレドラ・デビュー! 5〜6万円で買えるエントリー・モデル活用術!! feat. Roland TD-02K
- 文:長野祐亮/撮影:星野 俊
Ⅱ.Roland TD-02Kの練習機能を使い倒す!
打点のタイミングを正確に検出して、ショットやリズムの精度を教えてくれるコーチ・モードは、電子ドラムにしかない独自の練習機能です。TD-02に搭載されたコーチ・モードは、TIME CHECK、QUIET COUNT、AUTO UP/DOWN、CHANGE UPの4種類。
LCDディスプレイを介して、視覚的に自分のリズム感を判別することが可能で、さらに練習の最後にはその結果を点数として表示。ゲーム感覚で楽しみながらスキル・アップすることができます。ここではその1つ1つのメニューを考察していきましょう!
TIME CHECK
叩いた音符の正確さを目で見て確認しながら練習できるTIME CHECK(写真1)。メトロノームに合わせてパッドを叩くと、ディスプレイに4分音符に対する打点のタイミングがリアルタイムで示されます。点線の中央に示された枠内に矢印が表示されると“GOOD!”の文字が出現(ど真ん中がジャスト・タイミング/写真2)。タイミングが後ろにズレると矢印が枠よりも左側に、早いと右側に現れます。
狙う枠の大きさは、広めの“EASY”と、狭くてジャッジが厳しい“HARD”の2タイプから選ぶことができ、チェックする小節数の範囲は4~32まで設定可能。判定対象は指定したパッドの4分音符のタイミング。デフォルトはSNR(スネア)で、写真1の画面から「▶ボタン」で[PAD]を選択。−/+ボタンで評価に使用するパッドを選択できます。タムは一度にすべて判定されるので、Ex-1a、1bのようなタム移動フレーズで、苦手なパーツを把握するのも効果的です(判定対象は2拍目以降のタム・フレーズ)。
他にも8ビートにおけるスネアやバス・ドラム、ハイハットのタイミングを個別に知ることもできます(Ex-2)。特にバス・ドラムは、初心者ならずとも、演奏中はタイミングの判断が難しいもの。この機能を使ってチェックすると、自分では気づかない微妙なタイミングのズレや、苦手なテンポにおけるリズムの違和感を解消できるでしょう。
QUIET COUNT
メトロノームを使って練習していると、知らないうちにその音に頼って演奏してしまいがちですが、それでは自立したリズム感は養えません。QUIET COUNTは、メトロノームを一定区間だけ聴こえないように設定する機能で、自分の感覚でテンポをキープする能力を鍛えることができます(写真3)。
具体的にはトータルの繰り返しの長さを2~16小節の範囲で決め、その中でメトロノームを何小節消すかを設定。QUIET区間の1小節前では、“READY.”、QUIET区間では“QUIET!!”とガイドが表示され、最後に採点が出ます(写真4)。
この機能を使った定番練習は、メトロノームの発音を3小節+QUIET区間1小節という設定で、4小節目に好みのフィルインを叩くというもの(Ex-3)。判定基準は、QUIET区間における4分音符の正確さで、これは実際のアンサンブルでも重要です。
オススメはリズムを一旦止めてブレイクするエクササイズ。8小節のサイクルの中で、QUIET区間を2小節に設定。QUIET区間となる7小節目でリズムを止めて、最後の2拍で4分音符か、フィルインを叩きます(Ex-4)。ドラムを叩く“動”の状態から、ブレイクの“静”に移行しても一貫したリズムを保てることが目標ですが、遅い〜早いという、自分の癖を知ることもできます。
AUTO UP/DOWN
このAUTO UP/DOWNは、テンポの下/上限値と、練習の所要時間を設定し、その時間中でメトロノームのテンポが自動的に上下していく機能です(写真5/6)。例えば8ビートのハイハットの刻みや、シングル・ストロークのスピードを上げたいとき、少し余裕のあるテンポから、限界をほんの少し超えたくらいのテンポの振り幅を設定して練習を行うと効果的です。16分音符の♩=160が限界値の人は、♩=140くらいを下限値に設定し、MAX値を♩=164くらいに設定してみるとよいでしょう。
ちなみにメトロノームの値は、2拍ごとに1メモリ上下する設定になっているので、この場合は♩=140からスタートすると約20秒程度で上限値に到達して、そこからは下限値に向かってスロー・ダウンし、その後はその上下幅を繰り返します(Ex-5)。練習時間も1分~15分の間で段階的に設定でき、その日に達成した上限値がわかるので、毎日の練習の目標設定も明確にできます。判定ポイントは、拍アタマのタイミングになりますので、いかにメトロノームに追従できるかが高得点の鍵。これはテンポに対する柔軟な対応力も同時に鍛えることができるのでオススメです。
CHANGE UP
チェンジアップは音符の細かさを一定のサイクルで段階的に変化させ、さまざまな音符の精度や対応力を鍛える基礎練習の定番メニューです。このCHANGE UPの機能は、メトロノームのリズムの音形が、Ex-6のように“2分音符→4分音符→8分音符→3連符→16分音符”という具合いに2小節サイクルで段階的に細かくなっていき、16分音符からは逆に同じサイクルで2分音符まで戻ってくるリズム変化を繰り返します(写真7)。ディスプレイには、鳴っているメトロノームの音符と、次に叩く音符が順番に表示され(写真8/9)、それをガイドにしながらメトロノームに自分の音を重ねることで、精度の高い練習ができます。
オススメは1巡目にメトロノームのリズム変化を聴きながら、Ex-6の上段のような、右左交互打ちの4分音符のみを一定に叩く手法。まずはメトロノームを聴きながら4分音符を叩いて、正確な音符のイメージを掴みます。その後、2巡目からチェンジ・アップを叩く練習に移行すると効果てき面。採点基準は、4分音符のタイミングが正確に取れていること(2分音符で鳴っているときは2分音符のタイミング)。これも全パッドが判定基準になりますので、タムを指定し、移動ショットの正確さを磨く練習もオススメです。
Total Impression
コーチ・モードを体験してみて感じたことは、自分の聴覚上、もしくは体感上で精度良く決まったと思ったショットでも、数値上では意外にズレがあるということ。そして自分の感覚と実際のタイミングの違いをリアルな数字で確認し、それを修正して狙ったタイミングに近づけていく練習は非常に有益だと感じました。各エクササイズは、時間や小節数を設定できるので、限られた時間の中での練習メニューの配分にも非常に役立つと思いました。
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本記事は2023年4月号掲載の記事を転載したものになります。