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    DW Drums 50th Anniversary – Part 2 製品から探る技術革新の足跡

    • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine
    • Text:Takuya Yamamoto(②)

    今年で創業50周年を迎えたDW(Drum Workshop)。カリフォルニア・サンタモニカの小さなドラム・ショップからスタートした同社は、試行錯誤を重ね、現在ではドラムからハードウェアまでを自社で手がけるアメリカを代表するメーカーへと発展を遂げた。ドラム・マガジン2022年10月号ではDWの半世紀に渡る歴史に焦点を当てた特集記事を展開。ドラマガWebでは、その一部を抜粋し、全4回に分けてお届け! Part.2では製品からその技術革新の足跡を辿っていく。

    Part 2:History of DW Innovations〜製品から探る技術革新の足跡〜

    スタンダードとなったフット・ペダル

    1972年、Don Lombardi(ドン・ロンバルディ)によって、カリフォルニア州サンタモニカに設立されたドラム教室、”The Drum Workshop”が同社の始まりでした。Donは「作ったり発明したりすることが好きだった」と語っており、初期の傑作として、1974年に発売された高さ調整が可能なキャニスター・スローンが挙げられます。このスローンは6000シリーズで後継品が販売されています。

    キャニスター・スローン
    5000シリーズのフット・ペダル

    1977年から1978年にかけて、5000シリーズのペダルが誕生します。Gretschのフローティング・アクション・ペダルなどを手がけていた、Camco Drum Co.から購入した機材によって作られました。5000の名称は、前身となるカムコデラックスペダルのカタログ品番に由来します。2022年現在の最新機種はDelta 4ですが、この5000シリーズは長きに渡り改良が続けられています。

    最初期はストラップ式(いわゆるベルト・ドライヴ/NX)に始まり、1980年にチェーン・ペダルが登場、1984年アンダープレート仕様が登場。1992年アクセラレーターが発表され、1995年にはデルタボールベアリングヒンジの特許を取得。1999年Delta 2、2002年Delta 3、2012年Delta 4と、アップデートを重ねてきました。ツイン・ペダルやソリッド・ボード仕様、ヒールレス仕様などを含めると、数え切れないほどのバリエーションが存在しており、DWの顔とも呼べる重要なプロダクト群に成長しています。

    デルタボールベアリングヒンジ
    9000シリーズのフット・ペダル

    2003年、現代のDWを象徴すると言っても過言ではない、DW9000ペダルが登場します。パワフルながら軽やかなアクションが特徴的で、カムの形状を無段階で変更できる仕組みが備わっています。発売当時、DWの主力ペダルであったDelta2、3は、初期の5000から比べると、ヒンジの幅が増して、フット・ボードも大きく肉厚に変化したことで、重い部類のペダルになっていました。原点に立ち返ったかのようなアクションと、特徴的な構造、斬新なルックス、多彩な調整機構は、大きな話題となりましたが、現在はそれぞれの魅力が広く知れ渡り、どちらも定番のペダルになっています。

    ドラム・シェルの革新

    2000年代の後半に入ると、シェルに関する革新が続きます。2007年、現在はDW傘下にあるGretschを彷彿とさせる、メイプルとガムを組み合わせたジャズ・シリーズが登場します。John Good(ジョン・グッド)の探究心と感性が遺憾無く発揮された傑作で、同社が扱うさまざまな木材とガム材との組み合わせが試されて、メイプル、チェリー、マホガニーの3種類が製品化されています。80〜90年代以降は、メイプルやバーチを用いた単一材の楽器が人気を集めていましたが、近年は各社で複合材を用いたドラムの発表が続いており、ヴィンテージ・ドラムの再解釈が行われた時期の優れたプロダクトだと言えるでしょう。

    ジャズ・シリーズ

    コンポジット、ハイブリッドと呼ばれる、複数の木材を用いたドラム・メーカー全体の動きに対して、2008年のX-shellテクノロジーと、2010年のSSC(Specialized Shell Configuration)の導入は、他に類を見ない1つの革命でした。一般的に合板で製造されるドラム・シェルは、縦目と横目を組み合わせて強度を確保します。薄くスライスした木材は、木目の向きでテンションが異なり、そのテンションは音色に影響します。DWは斜めに切り出した材同士で合板にすることで、従来のような十字のクロスではなく、まったく新しいXのクロスを作り出し、シェルの剛性を確保しつつ、テンションを低く保つ方法を発見したのです。この発見によって、より充実した低域をもつ楽器の製造が可能となり、ティンバー・マッチングで解決していた個体差の問題を、設計の段階で解決できるようになりました。

    スーパーソリッド・スネア・ドラム

    なお、2009年には、伝統的なスチーム・ベンディングではなく、特殊な薬品処理を行うことで、より分厚い木材を曲げる方法を導入した、スーパーソリッド・スネア・ドラムを製品化しています。これも、技術の限界を突破し続ける姿勢が垣間見える楽器の1つです。

    Part 3 愛用者が語るDWを使う“理由”〜海外ドラマー編〜 へ続く

    DW Drums 50周年記念特集のフル・バージョンは本誌をチェック!

    リズム&ドラム・マガジン2022年10月号

    Ⅰ Inside the DW
    副社長=ジョン・グッドが語るDW革新と進化の歴史

    Ⅱ History of DW Innovations
    製品から探る“技術革新”の足跡

    Ⅲ We Love DW
    愛用ドラマーが語るDWを使う“理由”
    チャド・スミス/ジム・ケルトナー/BOBO/Tomonori[Fear, and Loathing in Las Vegas]

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