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    TOSHI NAGAIが検証! ユニバーサルIEM=qdc SUPERIOR【Product Review】

    • Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Takashi Yashima

    #2…TOSHI NAGAIがqdc SUPERIORの実力を検証!

    #2ではqdc SUPERIOR Azure BlueをTOSHI NAGAIがレビュー! 過去にイヤホンをプロデュースした経験を基にサウンドをチェックしていただくと共に、Yamaha EAD10を仕様した試奏や、イヤーピースを付け替えたときの装着感、ドラム練習への活用やライヴでの使用など、多角的なアングルで検証してもらった。

    EQでのごまかしもなく
    レンジが綺麗に出るようになっている
    自然で素直な音ですね

    僕は普段、GLAYの現場などでは完全密閉式のイヤモニを使っています。僕の場合、極力イヤモニの中は静かな状態……例えば、電車の中のようなちょっとうるさい環境で、音楽をイヤホンで聴いているぐらいの音量で、クリックや音源を聴きながら演奏できるのが理想なんです。

    ドラムの生音を遮音できていないと、イヤモニの中のボリュームを上げることになるので、耳に負担がかかるんですよね。それを避けるためにも、できるだけ密閉された状態で演奏したくて。ただ、そうすると自分の叩くドラムの生音のハイの部分がマスキングされやすくなるので、シンバルを叩くときだけ力が入ってしまうという弊害もあって……ドラマーとしては、バランスを取らないといけないところですね。

    その上で、SUPERIORを実際に使わせてもらった印象として、ちょうど良い密閉感だと思いました。イヤーピース(qdcTips Soft-fit)のフィット感も良いですね。いろいろ試してみましたが、Lサイズでダブルになっているものが僕には合いました。外の生音はある程度遮音されつつ、レンジとしてはハイの部分まで聴こえるので、カット感のバランスも良いと思います。イヤモニを外した直後にドラムを叩くと、生音のハイがうるさく感じられるので、そのぶん耳が守られているという印象も受けました。

    ピンボケしている写真をいくら引き伸ばしても解像度は上がらないのと一緒で、もともとボケた音を出す製品では、いくらボリュームを上げてもクリアな音にはならないんですよね。以前、自分でイヤホンをプロデュースしたことがあるんですけど、当時はすべてのレンジがクリアに聴こえる製品を目指して作ったんです。このSUPERIORもそういうところに注目しながら試したんですけど、レンジの広がりはバッチリですね。

    ドラム・サウンドは、生音と比べると、ハイがカットされて、ミッド・ローはちょっと増幅されて聴こえてくる印象です。僕がいつも聴いているジャズとか、自分の音がわかっているGLAYの曲を聴いてみたら、EQでのごまかしもなく、すごくレンジが綺麗に出るようになっているので感動しました。自然で、素直な音ですね。多分、ドライバーがすごく良いんだと思うんですけど、これで14,300円(税込)という価格はリーズナブルですよね。

    今回、Yamaha EAD10でモニターしながら試奏したんですけど、とても気持ち良くて、まったく問題なく演奏できました。この製品を使って叩くと、生音の残響や倍音がカットされて、ドラムの打点がちゃんと聴こえてくるので、音源やメトロノームに合わせてリズムを矯正するような練習にも向いていると思います。ちゃんとモニターできるので、ドラムもうまくなるでしょうね。

    ライヴ演奏で使う場合、ドラマーにとってイヤモニは命とも言えるくらいのツールだと思っています。ギターのちょっとしたコード感をきっかけに次の展開に行くような曲があったとして、全体のレンジが聴こえるEQであれば問題ないんですけど、偏ったEQ……例えばクリックや自分のボリュームを上げすぎていたりすると、そのコードがわからないということが起こるんです。ドラムって、楽曲の中では基本的に同じビートの繰り返しなので、楽曲の構成やコード感の変化がわからなくなったりしたら終わりなんですよね。そういう意味でも、素直な音が聴けるこのSUPERIORは、理に適っている製品だと思います。

    製品HPはこちら→https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_4660.php