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Archive Interview – ピエール中野[凛として時雨]2011年11月号
- Interview & Text: Rhythm & Drums Magazine Photo:Yoshika Horita
ピエール中野[凛として時雨]のアーティスト・ブック発売を記念し、ドラマガWebでは本書の特設サイトを公開中! ここでは試し読みコンテンツとして、書籍に再収録予定の本誌掲載インタビューをピックアップ。ここでは第4弾として、ピエールが自身初の教則本「Chaotic Vibes Drumming(入門編)」、「Chaotic Vibes Drumming(実践編)」を発表した際に登場していただいた、2011年11月号のインタビュー記事を一部紹介!
リズム&ドラム・マガジン2011年11月号掲載インタビュー
ドラムの楽しさや魅力を
もっといろんな人に伝えたい
●そもそもドラムの教則を作ろうと思ったきっかけ、そういうモチベーションは、いつから、またどういうところにあったのでしょうか?
ピエール もともと教則ビデオとか教則本が好きで、ドラムを始めたときにそういうもので育ってきましたし、自分のドラムにすごく役に立ったなっていう瞬間がいっぱいあったんです。
当時から、興味のあるドラマーの教則ビデオが出たら必ず観るようにしていて、それがすごく大きな刺激になったりモチベーションにつながったり、新しい発見もあったりして、自分のドラムにわかりやすく反映されてましたから。だからまず、それくらい教則ものが好きだったっていうのがありますね。
で、超人的な人……例えば神保 彰さんとか、もう凄すぎて観てるだけで笑っちゃうような、そういう要素もすごく好きなんですけど、それってドラマーにしか知られないし、ドラムやっていないと触れる世界ではないから、これがもっと広がっていったら面白いのになって、ずっと昔から何となく思ってたんです。で、自分だったらどんなものを創るかな?とかっていうのはずぅーっと、何となくぼんやりは考えてました……ドラム始めた頃から。
それから時が経って、山村牧人さんから誘っていただいてドラム・マガジンで『PHOTOドラム』っていう連載をやらせてもらって、初心者向けのセミナーで初めて“教える側”になったんですけど、そこで自分の教え方とか伝え方っていうもの−−これはアリなんだ、でもこれはナシなんだ、とか、そういうことがだんだんわかってきたり、パートナーとしてナビゲーターを務めてた木島(弘平)君の説明の仕方も、自分にはない伝え方だったりしてすごく勉強になって。それを毎月、しっかりミーティングして決めていたんで、“教則”とか“教える”ってことに関して、1つ自分なりに、どうすればちゃんと伝えることができるかっていうアプローチが見えてきたんです。
そうこうしている内に、自分のバンドの状況も良くなってきたり、ドラマーとしての自分も評価してもらったり、だんだん状況も良くなってきて、さらに時期的にもちょうどアルバム制作もなく、ツアーもないというタイミングだったし、ちょうど同時期に、シグネチャーのスネアとかドラム・セットの企画もあったりしたので、これも良い機会だからその流れを汲んでやってみようと。それで今年の初旬から取り組み始めたんですよね。
●“教える”という点では、その前から公開のドラム・セミナーもやっていましたしね。
ピエール そう、その経験もあって、そのときの手応えもすごく良かったし、全国からいろんな楽器店やファンの人からもっとやってほしいってオファーも多かったので、これは、僕が考えていることとか、僕がやっていることをもっと知りたいと思ってくれてる人がたくさんいるんだなと思って、これはひとつ、作品としてキチンと形にしてみたいと。
●公開のセミナーでのお客さんとのやりとりというのも、伝えるという意味では、また誌面とは違った手ごたえがあったんじゃないですか?
ピエール そうですね。どうやったら充実感を得てもらえるか? 刺激的な体験になるか? モチベーションにつながるか?ってことが、目の前でリアクションを見ているので手に取るようにわかりますし。
●それこそ、中野さん自身が学生時代に受けてきた刺激だったりモチベーションなわけですよね。
ピエール それが自分にとっても大きかったですね。やっぱりいろんな人のセミナーを見に行って、実際に同じような刺激を受けたりしてましたから。とにかくプロの演奏を間近で見て自分と全然違うっていう(笑)、圧倒的な差ですよね。叩く音の説得力が全然、比べものにならない。それって何なんだろう?って、そのときはわからなかったんです。今となれば、経験を積んできてるから1つ1つだんだんわかってきましたけど。
やっぱり僕は、経験することによって出るサウンドって変わってくるって思ってるんです。経験で音が変わる、じゃあその経験って?って言われても、例えばツアーだったりレコーディングだったり、どんな練習をしてきたかとか、飲み屋での会話だったり、細かく言ったらキリがないけど、そういう経験をたくさんしている人は出る音が全然違う……って、今だったら言えるんですけど、当時はわからなかった。だからこそ、ただ練習するしか方法がなかったんです。その経験を埋めるくらい練習すればきっと追いつけるんだろうって、そんな感覚で、とにかく他人が経験して得たサウンドやプレイをマネしてましたね。
Review 〜当時のインタビューを振り返って〜
ピエール中野「教則を作るタイミングは必然的だったのを思い出しました。実はバンドとしての活動はお休みしている期間で、右足の不調が理由で、ダメになってしまう前にドラマーとして教えられることや、演奏をしっかりと見せる作品を残しておきたいという気持ちが強かったです。真似をするのは大切で、とにかくたくさんの経験と練習が必要。ただし、質を意識するのが大事です。Twitterでのリサーチはこの頃から続けてますね。ドラムを知ることで音楽の聴こえ方が変わる体験はもっと伝えていきたいところでもあります。ドラマガで下ネタとか、まじで怖いものがなかった時代です。チューニングは音作りって呼べばいいという話は本当に良い話。カオティックスピードキングも久しぶりにやりたくなりました。あらためて良い教則作品を作ったと感じさせるインタビューです」。
12月14日発売の『ピエール中野[凛として時雨]アーティスト・ブック』では、このインタビューの続き&過去の掲載記事をまとめて読める!
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Artist Book
ピエール中野[凛として時雨]
今年CDデビュー15周年を迎えた凛として時雨のドラマー、ピエール中野。ドラマーとしてはもちろん、プロデューサー、DJ、MC、ヘッドホン/イヤホンの監修など、その才能を多方面で発揮している。本書ではそんなピエールのマルチな魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。録り下ろしによる最新の超ロング・インタビューでは、そのルーツやドラマーの軌跡はもちろん、求められる自分になる方法や、セルフ・プロデュース術などにもフォーカス。ドラム・セット5台、スネア・ドラム24台を核とした膨大な機材コレクションや、愛用のイヤモニや監修したイヤホンも30ページ以上に渡って掲載! さらにリズム&ドラム・マガジンでこれまでに行ってきたインタビューを再収録する他、関係者によるコメントや撮り下ろし写真を駆使したプレイ・スタイル分析なども掲載。ドラマーとしての魅力を凝縮したアーティスト・ブックでありながら、“人生の歩き方”もわかる世界的にも類を見ない1冊です。
-掲載予定コンテンツ-
Special Interview
Biography
Gear
Drumming Style
Archive Interview
Discography、etc.