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ドラムが変わる!My Mixerのススメ〜 押さえておきたい基礎知識〜
- 撮影:小原啓樹
発売中のドラム・マガジン2023年4月号では、ドラマガ初となる“ミキサー”にフォーカス!
かつてはプロのツールとされていたIEM(イヤモニ)と同じように、いま、モニター環境の大きな要因となるミキサーに注目が集まっています。そこで今回はメーカーがお勧めする4機種をサカナクションの江島啓一が本気レビュー!
まずは“My Mixer”導入にあたり、まずはミキサーに関する基礎知識をチェック!
My Mixer導入のその前に
押さえておきたい基礎知識!!
どんな場面で、何ができるようになるのか。今回の試奏のPAを担当し、さまざまなアーティストのバンドPAや、主宰レーベルkazakami recordsの作品のエンジニアリングを務めるNancy氏に話を聞いた。
1. ミキサーでできること
ドラマーがライヴなどで使う、いわゆるモニター用ミキサーは、自分の音や他の演奏者の音、クリックや同期などのバランスや音量を調整するために使われます。
ほとんどの場合、ドラムに立てたマイクの音や他の演奏者の音などをメインとなるPAミキサーに集約し、返してもらうことになるでしょう。そのミキサーにイヤモニ(IEM)をつなぐことにより、自分のドラムやメンバーの楽器の音をより細かくモニターしたり、クリックを聴いたりすることができます。
一長一短はありますが、いつも同じ環境でモニタリングしやすくなるのも利点で、マイクを通した自分の音を耳の近くで聴けるようになるのも魅力の1つです。
2. アナログ・ミキサーとデジタル・ミキサー
ミキサー導入にあたり、まずはアナログ・ミキサーとデジタル・ミキサーという2つの選択肢があると思
います。
アナログ・ミキサーは操作がわかりやすいのが特徴と言えるでしょう。1つのチャンネルに対してツマミやフェーダーなどのパーツが1つずつ用意されているので、音が大きいなと思ったらすぐ下げられるし、EQなどの音質の調整も直感的。
デジタルではそういった調整をより細かくすることができます。EQやコンプレッサー、エフェクトなどをセレクト・ボタンで選択し、調整したいチャンネルの設定を行います。設定したパラメーターを保存(ストア)して、素早く呼び出し(リコール)できる機能を搭載した機種もあります。「この曲はヴォーカルがもっと聴こえてほしい」、「こっちの曲はベースがもっと硬く聴こえてほしい」など、こだわりたい人や、DAWや宅録が好きな人はデジタルが向いていると思います。
3. 初めてにお勧めのミキサー・サイズ
モニターに使うミキサーと一言で言っても、持ち運びが簡単なコンパクトなものから、ドーム級のミュージシャンが使うような大型なものまで大きさもさまざま。
比較的小型のモデルは、チャンネル数が少ないため扱いやすく、ライヴ・ハウスの箱馬にも載せられるので、初めてのミキサーにはお勧めです(スタンドに取りつけられるパーカッション・トレイなどを持ち込んでも良いでしょう)。
まずは、2ミックスとクリックを返すくらいの、3チャンネルのミックスから始めてみてください。
4.ミキサーを導入したら
ミキサーを導入したら、さっそく使ってみましょう。ミキサーのインプットには大きく分けてマイク・インとライン・インという入力があります。マイク・インは基本的にマイクで集音した音のインプットで使用します。
ライヴで自分の音をモニターする場合においては、ライン・インを使うことがほとんどです。なぜならミキサーに返ってくる音というのは、PAさんによってすでに調整して増幅されている音だからです。
ライン・インの形状は標準プラグですが、現場ではキャノン・ケーブルを使っていることが多いので、キャノン(メス)→標準ジャックの変換アダプタも用意しておいた方がいいですね。またイヤモニの延長ケーブルもあった方が、プレイがしやすいでしょう。
結線が終わったら、インプットのレベルを「GAIN(ゲイン)」ノブで適切なレベルまであげ、アウトプットの音量を、レベル・メーターのピークが触れないくらいになるように調節しましょう。わからないときは、スタッフさんに聞いてもいいかもしれません。そこから自分の好きなバランスに微調整していくと良いでしょう。
5. ミキサーの導入で気をつけたいこと
ミキサーを導入するということは、イヤモニをすでに持っている、または同じタイミングで導入するという人も多いと思います。
自分の音を客観的に聴けるようになり、プレイにも変化が表れるようになると思いますが、気をつけてほしいのは“音量を上げすぎないこと”です。
ドラマーは普段からドラムの生音を聴いているため、イヤモニをすると音量や迫力が物足りなくなるなど、“叩いている感”が薄まってしまい、どんどん音量を上げていきがちです。そうすると耳は相当なダメージを受けてしまい、難聴の原因にもなります。そのために適切な音量を調節するというのもミキサーの大きな役割だと思います。音楽に長く向き合っていくためにも、耳に優しい使い方を心がけてくださいね。
※この記事はドラム・マガジン2023年4月号の内容を転載したものになります。
本誌ではさらに、プロ・ドラマーに現場でのミキサー事情をアンケート! 大会場や打ち込みを多用するジャンルのドラマーが、普段どのようなミキサーを、どのように使用しているのか聞いてみました!
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