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    Cornelius &くるりもキャリアを祝う 幸福感に満ち溢れたあらきゆうこ生誕50周年ライヴ【Report】

    • レポート:木暮栄一[the band apart]
    • 撮影:福政良治

    奏でる音から人肌の温かさが失われることはなく
    楽曲が纏う俯瞰的なクールネスにライヴ感を付与

    ソールド・アウトの恵比寿 LIQUID ROOM に到着したのは開演の30分前。Cornelius、くるりという90年代から活躍を続ける2アーティストの競演という音楽好きには堪らないラインナップに加え、そのリズムを支え続けるあらきゆうこ氏の生誕50周年を祝うために駆けつけた人々で、すでにフロアは満員に近い状態だった。

    ステージ前に設置されたスクリーンには羽ばたき続ける鳥のCGが映し出され、スピーカーからはオノ・ヨーコやCIBO MATTO、ジョン・レノンが聴こえてくる。そんな選曲の後ろにうっすらと幽玄な音色(ビブラフォン?)が重なって流れており、普段のライヴ・ハウスとはまた違った心地良いムードを作り上げていた。

    開演時刻、ファンにはお馴染みのサンプル・フレーズが流れ始め、「あ、あ、あ、マイクチェック」というリフレインに鋭く差し込まれるドラム・フィルを合図に1曲目「MIC CHECK」がスタート。スクリーンにはあらき氏のシルエットが投影され、そこへ“Yuko Araki”の文字が重なる粋な演出。幕が落ちてメンバーの姿が現れると、フロアは大きな歓声に包まれた。

    そんな客席の興奮を、タイトなリズムとウネるベースで胸奥に燻る熾火へとクールに変換させるような2曲目「火花」、さらに映像と音楽のリズム的同期が見事な「Audio Architecture」が終わる頃には、会場はすっかりCorneliusの世界観に染まっている。

    小節ごとに8分ウラだったり16分ウラだったりするリムやハイハットのアクセント位置が、メンバーの背後に流れる映像とリンクしているため、ミスの許されないプレッシャーは一般的な同期を使った演奏の比にならないと思うのだが、あらき氏のプレイはそういった緊張感をまったく感じさせない。むしろグリッドに正確でありながら、人肌の温度も同居した素晴らしい音色を最初の一音から奏で続けている。

    ナチュラルなタイコ類のチューニングと、整然としたアンサンブルの対比が心地良い「Another View Point」の終盤、エディットされた映像に数々のサポートをこなしてきたあらき氏自身の姿が挿入され、会場からは再び大きな歓声が上がった。

    特にMCなどは挟まず、6/4と4/4を行ったり来たりする「COUNT FIVE OR SIX」、プログレとグラインド・コアをショート・チューンに再編集したかのような「I Hate Hate」、4小節を奇数で分割していく「いつか / どこか」など、リズミックなアイディアに溢れた曲が次々と演奏される。

    どんなリズムを叩いていても、あらき氏の奏でる音から上述した人肌の温かさが失われることはなく、Corneliusの楽曲が纏う俯瞰的なクールネスに絶妙なライヴ感を付与する役割を担っていた。

    あらき氏自身がリクエストしたという名曲「STAR FRUITS SURF RIDER」(間奏のテルミンが素敵でした)、ラストに「あなたがいるなら」を披露した後、小山田圭吾氏による「お誕生日おめでとうございます」というシンプルな祝辞でCorneliusのライヴは終了。

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    有機的なプレイを披露したくるりのステージ