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    【Set Up】福岡たかし (Takashi Fukuoka)

    パーカッション・マガジンVol.10 SUMMER 2024」では、福岡たかしを動画連動でフィーチャー!

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    • Photo:Yosuke Kamiyama(gear)、Takashi Yashima(portrait)

    DRUM KIT 

    [PERCUSSION KIT]藤井 風の多様な楽曲に対応する用途別マルチ・セッティング

    山下洋輔、adieu(上白石萌歌)、ALIなど、ジャンルを問わずさまざまなアーティストのライヴ/レコーディングに参加し、自身がメンバーとして活動している熱狂打楽器集団 LA SEÑASでも、コンガを中心にアグレッシヴなプレイを展開している福岡たかし。ここでは、8月24、25日にかけて開催された藤井 風のワンマン・ライヴ「Fujii Kaze Stadium Live “Feelin’ Good” [Nissan Stadium]」で使用された福岡のパーカッション・セットを紹介していく。

    2日間で14万人を動員した圧巻のスタジアム・ライヴに相応しい迫力の大ステージに鎮座する福岡のパーカッション・キット。

    藤井 風の多様な楽曲に対応するために実にさまざまな打楽器が並んでいるが、ステージ正面奏者右手側よりLPパタート・ファイバーグラス・コンガと同マタドール・ボンゴ、TRIBAL BEATのアフリカン・ジェンベがセットされた“皮モノ・エリア”、

    そして、奏者中央〜左手側にはRMVのヘピニキ、Reverie DrumsのFlame Drum Percussion Kitの16"ベース・タム(シンバル・スタンドからアタッチメント)に加え、LP/マイネル/Rhythm Techなとのタンバリンやマイネルのターボクラッシャー、Creative PercussionのHex Stax(6"×3枚+8"×2枚)、LA SEÑASのメンバー板倉啓介によるシンバルの端材を活用したハンドメイド・スタック、ピートエンゲルハートのヘコヘコ、LPチャチャベル、メーカー不明のカウベル、LPジャム・ブロック(赤/オレンジ/青)、KMKの10"スプラッシュ(同じものを2枚重ね)、クラッシュ、スタック・シンバル(3枚重ね)+Creative Percussion Hex Hub、穴空きシンバルなどがセットされた“低音&刻みエリア”、

    さらにその左側にはALESISのSTRIKE MULTI PAD(サンプリング・パッド)、ZENN(現PLAYTECH)のオーシャンドラム(スネア・スタンドにセット)、当り鉦(チャンチキ)そして浅野太鼓の桶胴太鼓がセットされた“パッド&和太鼓エリア”、

    奏者真後ろにセットされたTree WorksのInfiniTree(ウィンドチャイム)+ピンチャイム、96本の鍵を使ったキーチャイム、廃材で作ったクラスターチャイム、釘チャイム、LPクラスターチャイム、詳細不明の民族ベルといったチャイム系や、パーカッション・テーブルにはマイネル/サウンドキングのスレイベル、サウンドキングのアンクル・ベル、プレイウッドのメタルラチェット(カエル・イラスト)、サウンドキング/Rhythm Techのカバサ、メーカー不明のトライアングル、LPのKING Klave、Rhythm Tech/メーカー不明のヘッドレス・タンバリン、プレイウッドのベジタブル・シェイカー(ゴーヤ)、ガムランボール(楽器仕様にしたもの)が載っている“アンビエント&小物エリア”と、楽器のサウンドや特性ごとに分けた機能的なセッティングとなっていた。

    続いて各曲における楽器の使い方だが、すべてを網羅することはできないが、特に印象的だったセクションを先述した“エリアごと”に紹介していく。まず“皮モノ・エリア”は主に「Feelin' Go(o)d」や「特にない」のサビなどで使用。また「風よ」では、ジェンベとシェイカーで、楽曲前半部分が藤井 風の歌/ピアノ、ベース、パーカッションでのトリオで演奏していた。

    その隣りの“低音&刻みエリア”は、打ち込みのようなインダストリアルなビートを人力で再現するシチュエーションで活躍しており、「死ぬのがいいわ」、「さよならべいべ」、「キリがないから」などで使用。楽曲の合間を埋めるようにインダストリアルなビートを入れて絶妙なアクセントを加えていた。また、ドラムが完全に叩いていないタイミングでは打ち込み的なマシン・ビートを入れていた。そして、Reverie DrumsのFlame Drum Percussion Kitの16"ベース・タムは、「Workin' Hard」のアンビエントからの本編スタート時に(ドラムの)バス・ドラムに合わせて4部を叩いていた他、サビでの合間にフィル的に入れたり、「燃えよ」のフィルなどでも活用。

    続く“パッド&和太鼓エリア”は、ALESISのSTRIKE MULTI PADが大活躍。さまざまな楽曲で使用したそうで、「Feelin' Go(o)d」の冒頭のベース・パターンもパッドにアサインした音だったとのこと。そして今回驚きだったのが、いわゆるリズムにまつわる“同期モノ”は使っておらず、原曲に入っている打ち込みサウンドをこのサンプリング・パッドに取り込んで再現していた模様。さらに和太鼓や当り鉦はラストの「まつり」で使用。ライヴ・アレンジによってイントロや曲の要所要所で太鼓をフィーチャーしており、モニターでも福岡の姿が多く映っていた。当り鉦も原曲にはなかった楽器となる。

    最後に“アンビエント&小物エリア”だが、なかなかこういった類の繊細な小物系パーカッションはスタジアムでは難しいものの、PAとの綿密な連携はもちろん、福岡ならではの経験と工夫を凝らし楽曲の良いアクセントとなっていた。最も印象的だったのは「Workin' Hard」の冒頭、バンド・メンバーで鳴らすアンビエント系サウンドのセクションで、福岡はさまざまな楽器を駆使してバンド・サウンドの構築に貢献。アンクル・ビーズを足ではなく手で鳴らしたり、数種類のチャイムなどを効果的に使いながら浮遊感のある音を作り上げていた。ちなみに自作の鍵チャイムは「さよならべいべ」でも使用。

    トライアングルは「花」、サウンドキングのカバサは「特にない」で擦りながら皮モノ・エリアにあるRhythm Techの赤いタンバリンを鳴らす形で演奏。まずスレイベルは「ロンリーラプソディ」の4拍目に鳴らしていた。楽曲に忠実な音やフレーズもありつつ、ハッとさせられるライヴ・アレンジが秀逸で、ライヴ全編を通してパーカッションによる“彩り”が感じられる素晴らしい機材のチョイス、そして演奏だった。