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スティーリー・ダン、ボズ・スキャッグス、マイケル・ジャクソンなど数々の傑作にセッション・ドラマーとしてその名を刻み、TOTOのメンバーとしても大成功を収めた伝説のグルーヴ・マスター、ジェフ・ポーカロ。明日4月1日は彼の生誕記念日。その功績を語り継ぐべく、生前ジェフとも親交のあった沼澤 尚が選んだ“ジェフの名盤100”を10日間に渡って紹介! Vol.01では初レコーディング作品を含む10作品を公開!!
『Jack Daugherty and the class of nineteen hundred and seventy one』/Jack Daugherty(1971年発表)
スター・セッション・ミュージシャンが大集合していたジャック・ドーティのリハーサル・バンドに、ハル・ブレインの後釜を探すオーディションで来た、運転免許もまだ所有していない17歳の高校生が見事にそのドラムのポジションを獲得して、ジム・ケルトナーとツイン・ドラムを務めた記念すべき初レコーディング作品。(沼澤 尚)
『Katy Lied』/Steely Dan (1975年発表)
ノース・ハリウッドの老舗ジャズ・クラブ、“Donte’s”でラリー・カールトンと演奏中に噂を聞きつけてチェックしに来たドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーがライヴ後、週400ドルで“プリッツェル・ロジック・ツアー”に誘い、その直後に全面的に参加した20歳のジェフ……奇跡のレコーディング。(沼澤 尚)
『Teaser』/Tommy Bolin(1975年発表)
トミー・ボーリンがディープ・パープルに加入する直前に製作された作品で、ジェフはタイトル曲を含め、9曲中4曲に参加。ロック・テイストに満ちたヘヴィな16ビートでファンク・ロック系の楽曲を快演。そのウネりに満ちたハイハット・ワークは非常に印象的だ。ドラム全体の音色も迫力があり、ミックスも大きめなのがうれしい。(長野祐亮)
『Silk Degrees』/Boz Scaggs(1976年発表)
スティーヴ・ミラー・バンドからソロ・アーティストになり、優れたブルース・ロック〜R&Bアルバムをリリースしながらも、なかなか大ヒットには結びつかず、これで売れなかったらCBSをクビになるはずだったボズが、ジェフ、ペイチ、ハンゲイトなど若手ミュージシャンを起用して、いきなりミリオン・セラーを記録した大傑作。(沼澤 尚)
『Les Dudek』/Les Dudek(1976年発表)
オールマン・ブラザーズ・バンドやボズ・スキャッグスとのセッションで活躍したギタリスト、レス・デューデックの1stソロ・アルバム。軽快で勢いのあるテンポ感の曲が多く、M1「City Magic」やM3「Don’t Stop Now」でのハイハットの16分シンコペーションを絡めたシャープなリズム・ワークは特に印象的。若き日の血気盛んなジェフを堪能できる1枚だ。(長野祐亮)
『Jaye P.Morgan』/Jaye P.Morgan(1976年発表)
若き日のデヴィッド・フォスターが手がけたアルバムとして、長い間“幻”と言われていた作品で、CD化によってようやく日の目を見た作品。ジェフは4曲参加で、フレキシブルな作風に見事に対応している。このあたりはプロデューサーとしてのデヴィッドと、まさに以心伝心と言ったところだろうか。コンテンポラリーなグルーヴを説得力いっぱいに提供している。(菅沼道昭)
『Some People Can Do What They Like』/Robert Palmer(1976年発表)
いわゆるR&B好きのイギリス人=ブルー・アイド・ソウル・シンガーとして、70年代前半からいろんな意味でセンスの良さが光り輝いていたロバート・パーマーの3作目。デビュー・アルバムからのミーターズ、リトル・フィートを始めとしたキャスティングに惹かれたが、ここでキレまくってる22歳のジェフがとんでもない。(沼澤 尚)
『Down Two Then Left』/Boz Scaggs(1977年発表)
前作で大成功を収めたボズがそのままの感じをミュージシャン達と共に、さらに音楽的にもパフォーマンス的にもギアをグッと上げた、これまた大傑作。彼らの技術と音楽性の高さのおかげで、どんなタイプの楽曲も自分が思う形にすることができるようになったと語る、ボズ本人の言葉通りに、クオリティの高さが際立っている。(沼澤 尚)
『Superman』/Barbra Streisand(1977年発表)
70年代ポップスらしいバリエーション豊かな楽曲が並び、AOR畑のニック・デカロのストリングス・アレンジも効いている。具体的なクレジットが明記されていないので、ジェフが何曲参加しているかは不明だが、ハーヴィー・メイソン、エド・グリーンも参加した当時のラインナップ。ラリー・カールトンやエアプレイのコンビも含む豪華なセッションである。(菅沼道昭)
『Mr.Lucky』/Fools Gold(1977年発表)
美しいコーラスとポップなメロディが魅力のフールズ・ゴールド。冒頭「Sweet Country Air」のシャッフル・チューンからジェフ節が全開。その後の楽曲でもトレードマーク・フィルを連発しており、ジェフの気合いが伝わってくる作品だ。ラスト・ナンバー「CAPTAIN」のエンディングでのダイナミクス溢れるプレイも名演。(長野祐亮)
※本記事はリズム&ドラム・マガジン2014年5月号、6月号の記事を転載したものになります。
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