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    【Report】ヴィデオ&変異生黒ミサツアー『悪チン集団接種』東京公演(d:ライデン湯澤殿下[聖飢魔II])

    • 文:竹内伸一
    • 写真:山田“あるまじろ”晋也

    実際に目の前でライヴが行われていると
    錯覚するほど生々しいサウンド

    地球デビュー35周年を迎え、魔暦22年(2020年)に期間限定再集結を果たした聖飢魔Ⅱ。ところが、コロナ禍により、黒ミサ(ライヴのような催し)の予定を大変更。事前収録した黒ミサ映像の上映と生トークという構成での全国ツアーを余儀なくされた。生かと見紛うほどの迫力のライヴ映像と、良い意味で脱力したトークショーを組み合わせた黒ミサは、それはそれで楽しいものだったが、構成員にも信者にも不完全燃焼の思いがあったことも事実だろう。聖飢魔Ⅱは、魔暦23年以降の活動継続を表明し、リヴェンジの機会をうかがっていた……だがしかし、世界的なパンデミックはなかなか終息とはいかず、23年もヴィデオ黒ミサ形式での全国ツアーを行うこととなった。今回は、11月6日、東京ガーデンシアター(夜の部)の模様を振り返ることで、ツアー“ヴィデオ&変異生黒ミサツアー『悪チン集団接種』”の内容を伝えたい。

    会場が暗転すると、場内に恒例の“陰アナウンス”が流れ出す。この日の担当はライデン湯澤殿下で、「上野のふたごちゃんにやられっぱなし。パンダの着ぐるみでライヴをやりたい(笑)」などと近況を報告しつつ、ライヴに関する諸注意を告げる。そして「ヴィデオ黒ミサには、16年ぶりにあのお方が帰還!」とエース清水長官の登場を予告し、「準備はできているか!?」と煽ると、オープニングの映像が流れ出し、構成員が1名ずつ紹介されていく。長官が紹介されるとひと際大きな拍手が巻き起こり、「Winner!」の演奏シーンへと突入し、ヴィデオ黒ミサがスタートした。

    殿下はここ数年使い続けているDWのキットでプレイ。前回のヴィデオ黒ミサでも感じたことだが、まずはその迫力あるサウンドに驚かされた。力強いバス・ドラムが身体に響き、バック・ビートが強烈に会場を突き抜けていく。その生々しいサウンドは、実際に目の前でライヴが行われているのではと錯覚するほどだった。「GOBLIN’S SCALE」では、映像内のライティングに併せて会場のライティングも点滅し、臨場感も抜群。そんな中、殿下はリフに呼応した自在なドラミングを聴かせ、かと思えば、アコースティック・ギターが印象的なバラード「世界一のくちづけを」では、力強いビートを打ち鳴らし、熱唱するデーモン閣下を盛り立てていく。アップテンポの「有害」では、観客が悪魔物品(いわゆる販売グッズのようなもの)のダンベルを打ち振り、会場の一体感も増していった。ちなみに、エンディングでは閣下が“Hey! Tokyo!”とシャウト!! なんと全会場分、この煽りパートを収録したそうで、最高のミサを作り上げるためには妥協しない彼らの姿勢に頭が下がる思いである(後のエース清水長官の煽りも“Tokyo!”であった)。

    ライデン湯澤殿下

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