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【ジェフ・ポーカロ生誕記念】極上サウンドを支えたスネア/ペダル/スティック ジェフがレコーディングで愛用した楽器たち
- Text:Yusuke Nagano Photo:Masao Sekigawa/Takashi Hoshino (stick)
- Photo:Shoji Ide(Jeff Porcaro)
ジェフ・ポーカロの生誕を記念し、これまでドラム・マガジンに掲載してきた膨大なアーカイヴ記事の中から、今回はレコーディングで使用された楽器に焦点を当てた2014年6月号のコラム記事を公開。スタジオでの使用機材として知られるスネア・ドラム、フット・ペダル、スティックに着目し、ジェフのサウンドの一端を探る。

【スネア・ドラム】ラディック ブラック・ビューティー
メタル・シェルの鋭さと
ダイキャスト・フープによる図太い芯
まずはスネア・ドラム。「僕はスタジオではメタル・スネアを使っているけど、ロード(ライヴ)ではいつも古い(Slingerland)ラジオ・キングだ」(2005年5月号)と語っていたというジェフ。スタジオで使用していたスネア・ドラムの1つが、70年代後期に発売されていたLudwigのブラック・ビューティー。フープをプレス・フープからダイキャスト・フープに変更しているのが特徴で、硬質なアタック感と共に低域が豊かな図太く芯のある音色を得ていた。ミュートは、粘着成分を外側にして円柱状にしたガムテープを、リムに近い部分に1〜2箇所ほど貼りつけていた。
Ludwig 1970s Black Beauty
【フット・ペダル】DW-5000CX
機械的アシストを排した足元へのこだわり
ペダルはDW-5000のチェーン・ドライヴのアンダー・プレートなしを愛用。写真は最初に使用していた初期型タイプで、素直で滑らかな踏み心地が特徴的。特にスプリングの柔らかさが現行品とは大きく異なるが、ジェフはパワーやスピードに関しても必要以上の機械的なアシストを求めず、あくまで自分の足の動きを自然に伝える道具を望んでいたと想像できる。

またビーターの角度を浅めに設定するのもジェフ流で、上写真は4段階のタイプの固定位置を2つ目に設定した状態。ジェフ自身も1990年のインタビューで「スプリングの固定位置を1か2にする」と語っている。ビーターはRogersの2ウェイ・ビーターを樹脂面にして使用。これは重量が82gと、DW純正の100g前後と比べて軽く、それがRogers製ビーターにこだわり続けた理由でもあると考えられる。

【スティック】リーガル・ティップ/カラート ジェフ・ポーカロ・モデル
カースケ氏所有の実物を検証
市販品とは異なる”しっとりとした手触り”
スティックはRigal Tipのシグネチャー・モデルを使っていたことで知られるジェフ。今回は河村“カースケ”智康氏が所有する、ジェフが実際に使用したというスティックを触らせていただいた。これは鍵盤奏者の片山敦夫氏が、かつてレコーディングでジェフと一緒になった際にもらってきたという貴重なもの。
形は現在市販されているモデルとほとんど変わらないが、誤差の範疇で微妙に細めな気もする。また現在のシグネチャー・モデルはラッカーを塗らない仕上げであるが、こちらはわずかに特殊な塗装が施されているようで、しっとりと手に吸いつくような感触があった。そして最も気になる重さは49g。スティックのピッチは“コンコン!”という素直な響きであるが、高域が特に良くヌケるという印象ではなかった。木目はグリップからチップまで真っすぐに綺麗に通っている。スティック中央のオープン・リム・ショットによる痕と、ショルダーについたハイハットの極繊細な傷からタッチの違いも推し量れる。
*本記事は2014年5月号の記事に編集を加えた内容です。先に公開したグルーヴの分析記事と併せて読むことで、真似できないジェフのグルーヴ、サウンドをより立体的に理解できるはず。

ここで紹介した楽器以外にも、ジェフ・ポーカロに関するさまざまなアーカイヴ記事がドラマガWebのサブスク会員サービス「バックナンバー読み放題」で公開中。2014年6月号のジェフ・ポーカロ特集では、世界を魅了したジェフのグルーヴ&テクニックにフォーカスした内容で、彼が実践していたというウォーミングアップ方法や、セッティングのレシピ、DAWを用いたシャッフル・グルーヴの解析など、20ページに渡る濃密な特集です。併せてチェックしてほしい。