音の強さの秘訣はタイミング
目指すところは今も幸宏さんのドラム

●AKiさんのライヴのサポートもされていますが、長年やってきて変化は感じますか？

元克　ずっと同じメンバーでやっていて、ツアーも毎年のようにやっているので、だいぶバンドのグルーヴ感が出てきたように思いますね。最初はイヤモニしてみんなでクリックを聴きながらやってたんですけど、今は僕だけクリックを聴いて、みんなはドラムに合わせるやり方に変わりました。

それぞれがクリックを聴いてたときの方がズレちゃって、あまり良くなかったんですよね。一緒に音を出す時間が長くなったこともありますけど、今の方が断然まとまっていると思います。

●AKiさんのライヴは、どういう意識で支えているんですか？

元克　バンドの基準になるように意識しているというか、ドラムに合わせてくれれば間違いないくらいの気持ちでやっています。だから他の楽器の音にあまり左右されないというか、イヤモニの返しもクリックと打ち込みがメインで、他の楽器の音は曲がわかる程度に返してもらっています。それはMADのときもそうで、他の楽器の音はほとんど返してなかったですね。

●それくらいクリックとシビアに向き合ってきたわけですよね。ちなみにクリックの音にこだわりはありますか？

元克　僕はずっと（クローズド）リム・ショットの音ですね。昔からレコーディングもライヴもそれで、20年以上ずっと同じ音を使っています。カウベルとかは苦手で、余韻があると何かズレてしまうというか。”カツッカツッ”ていうリム・ショットの方が、プレイバックしたときにズレとかもわかりやすいですし、クリックにちょうど重なると気持ち良いんですよね。

その音のサンプルを現場に持っていくのを忘れて、別の音をクリックで流してもらったことがあるんですけど、やっぱり調子が悪くて。それ以来、クリックとして使うリム・ショットの音は携帯からダウンロードできるようにしているんです。リハのときも必ずマニピュレーターの人に、リム・ショットの音を送って、”これを全部貼ってください”って頼んでいます。

●そのクリックは、元克さんのグルーヴの肝なのかもしれないですね。

元克　そうかもしれないですね。自分の経験から言ってもクリックは一貫した方が絶対にいいと思います。

●MADの頃から現在までストロングなビートは一貫されていますが、その音の強さの秘訣はどこにあるのでしょうか？

元克　やっぱりタイミングが重要だと思います。すごいパワーで叩いてもめっちゃ軽く聴こえる人もいれば、（高橋）幸宏さんみたいにリラックスした状態で軽く叩いても、すごく重く聴こえる人もいるし……僕が目指してるのは、幸宏さんがマッチョになったような感じというか（笑）。

三つ子の魂百までじゃないけど、今でもYMO聴くと“カッコいい……！”って思うんですよね。音も良いですし、目指すところは今も幸宏さんのドラムなんですよね。

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◎Profile
みやがみもとかつ：1969年生まれ。10歳からドラムを始め、90年にTHE MAD CAPSULE MARKETSの前身バンドに加入。パンク・ロックに留まらず、デジタルも取り入れた幅広いサウンドで人気を集める。バンドの活動休止後も、EXILEのTAKAHIROを擁するACE OF SPADESをはじめ、数々のバンド・プロジェクトに参加。セッション・ワークでの呼び声も高く、SUGIZO［LUNA SEA］や布袋寅泰など名だたるミュージシャンのバックを務める。影響を受けたドラマーは、YMOの高橋幸宏。

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◎Information
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ACE OF SPADES　HP