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    【Interview】KOUHEI[04 Limited Sazabys]『Harvest』リリース・インタビュー

    • 文:編集部 撮影:藤井 拓

    メンバー全員が同じ方向を向いて
    一番安定したアルバム制作でした

    04 Limited Sazabys(フォーリミ)が“04”年ぶりとなる“04”枚目のアルバム『Harvest』をリリース! 今作でもKOUHEIの豊富なリズム・アプローチが光り、楽曲のバラエティ豊かな、まさに“通常運転”といった印象を受ける1枚に仕上がった。楽曲制作の土台を担うKOUHEIに、その制作方法からドラム・アプローチの構築法まで詳しく話を聞いてみた。

    これが俺らのベストなんだって
    自分を貫く強さが身についたからこそ
    できたアルバムだと思います

    ●コロナ禍でこれまでと違った曲調や制作手法を取り入れているバンドもいる一方で、『Harvest』は確固たる“フォーリミらしさ”を感じました。大袈裟に言ってしまうとコロナ禍を感じさせないような、これぞフォーリミという印象を受けました。

    ○コロナ禍になってから、おっしゃる通り大きく変わったバンドもいると思うんですけど、2020年のYON EXPOで、待っているお客さんはちゃんといるんだなという実感を得られたんです。制限の中で少しずつライヴができるようになってきてからもそういう思いが感じられて、だからこそ俺達は俺達でいいんだ、フォーリミはフォーリミでいいんだというアルバムが結果としてできたんだと思います。

    ●自分達の信じる道を貫きつつ、同時に聴いてくれる人のためっていうのは今まで以上に大きかったですか?

    ○めちゃくちゃ大きかったですね。それこそ今までのアルバムも、“こういう曲あったらいいのかな”とかいろんなことを考えながら作ったんですけど、今回は“もう俺達でいいや”って振り切ることができたので、“ねらった”ような曲を作ろうというのはまったくなくて。ライヴのことしか考えずに、そのまま出てきたものを出した感じなので、メンバー全員のベクトルが同じ方向を向いてた感じがあって、メンタル的にもアルバム制作で一番安定していた気がします。

    ●KOUHEIさん自身はこの4年間やコロナ禍で意識の変化や葛藤なんかもありました?

    ○もちろんありました。“それ矛盾してるじゃん”とか“こっちは良くてこっちが駄目なのはなんで?”とか、いろいろ考えることはありましたし、マイナスなことが振りかかり続けてる状態で……音楽じゃないにしろ、SNSを開けばいろんな意見が飛び交うような時代になったじゃないですか。もちろんどれが正しいとか間違いかではなくて、俺達も別に正義を振りかざすわけではなく、これが一番俺らのベストなんだって、自分を貫く強さみたいなのは身についたかもしれないですね。だからこそできたアルバムだと思います。

    04 Limited Sazabys
    (L→R)RYU-TA(g、cho)、GEN(vo、b)、KOUHEI(d、cho)、HIROKAZ(g)

    ドラムは下手になってましたが
    マイナスな感情はまったくありませんでした

    ●なかなかライヴができなかった期間、KOUHEIさんはどうドラムとの向き合っていましたか?

    ○公表もしたんですけどジストニアが発症しちゃって、2019年は症状が本当に酷かったので、2020年のYON FESが終わったら休むって決めてたんです。実際は中止になってしまったんでけど、その期間にまず1回リセットしようと思って、ドラムに一切触らんとこうと思ったんですよ。2ヶ月くらい……ちょっと怖くなっちゃってた部分もあったんですけど、身体に染みついたものを、いったん下手になってもいいから忘れさせるという意味もあって、だからずっとゲームしてましたね(笑)。

    ●そこから今はまたドラムに戻ってきたわけですが、久々の演奏ってどうでした?

    ○もちろんまずは下手になってるなというのと、そのときはメンバーとスタジオに入ったんですけど、久しぶりに生を叩くわけですよ。「ドラムうるさ、あれ、こんなんだったっけ?」ってなって(笑)。初めてスタジオに入ったときのような感覚で、なんかワクワクしましたね。プレイは下手くそだったけど、感情的にはマイナスになってなかった、“やっぱバンドってこれだな”みたいな感じでしたね。

    ●現在の症状はいかがですか?

    ○ほぼ克服したんじゃないかなとは思ってます。結構いろんな人とも話したんですよ。

    ●ドラマガでも、慶応の藤井先生と、RADWIMPSの山口智史さんの対談はとても反響がありました。

    ○まさにその企画きっかけで智史君から連絡をもらって話して、「俺はこういうふうに切り抜けられそうでこういうふうにやってきた」って言ったら、「今のところ研究結果で一番正しい方向で成功してるかもしれない」と言われて。俺の経験上の話ですけど、やっぱりタスクが増えると駄目なんだなって思ったんです。結局メンタルに負荷がかかるんですよね。そうなると駄目だったときの自分に対して許せない自分が出てきちゃって、余計に硬くなっちゃうのかなって。だからとりあえず自分を許すことから始めたら、俺の場合は大丈夫でした。

    突き詰めれば突き詰めるほど細かいところって気になるじゃないですか。それって大事なことだと思うんですけど、逆を言えばそれができなかったときの自分に対して駄目ですよって提示しちゃうことになるから、それが一番避けるべきなのかなと。自分との向き合い方がうまくできれば抜け出せるのかなっていうのは思いました。

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