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    【Interview】 重鎮ドラマー、ジョン“JR”ロビンソンが始動させた新たなトリオ=SRTの全貌に迫る!

    • Interpretation & Translation:Akira Sakamoto
    • Photo:Takashi Hoshino
    • Special Thanks:Billboard Live Tokyo
    • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine

    ドラマーはとにかく、みんなを躍らせて
    演奏を楽しむことが肝腎だよ!

    ●それぞれの曲のドラム・パートは、どのようにして考えますか?
    ジョン
     例えばアンドリューの「Burn That Bridge」はファンキーな曲で、あのギター・リフを聴けばすぐに、どんなグルーヴを加えれば良いかがわかった。「Tal Shia」はよりフュージョン風の曲で、アンドリューのメロディーを元に、少し慌ただしい感じのグルーヴを考えた。僕の「Liquid Office」はちょっとエルヴィン・ジョーンズっぽい、スウィングする感じの6/8拍子にしている。

    ●「Burn That Bridge」は、ちょっとセカンドラインっぽいスウィング感のある8分のグルーヴですよね?
    ジョン 
    この曲のグルーヴはモロにセカンドラインというわけじゃないけれど、僕のソロ・アルバム(『Platinum』)ではセカンドラインを叩いているよ。セカンドラインは大好きなグルーヴだからね。

    ●あなたのグルーヴはいつも、質感が見事にコントロールされている印象で、「Tal Shia」などはその好例の1つだと思いますが、質感をコントロールするにあたってはどんな点に注意しているのでしょうか?
    ジョン
     「Tal Shia」で言えば、穴の開いたパイステの16インチと18インチのスイス・クラッシュを組み合わせて、ハイハットとして使ったよ。これがものすごく荒っぽいサウンドを創り出しているんだ。

    ●曲ごとに最適なドラムやシンバルを選んだというわけですね?
    ジョン
     そうなんだ。1万枚ものレコーディングに参加していて、同じことをやっていると飽きちゃうからね(笑)。それに曲に見合った演奏をすることが肝腎だから、曲自体が求めるサウンドに合わせて楽器を選ぶ必要がある。だからハイハットも、15インチのプロトタイプよりも小さくて薄いもののほうが良いかなとか、静かな曲なら大きなクラッシュも僕のシグネチャーのライドもダメで、ライドかフラット・ライドを使おうとかね。そうやって最適な楽器を選ぶわけだけど、それを使いこなすというときには、多少のテクニックが必要になるんだ。

    ●「Tal Shia」や「Goin’ Uptown」はエネルギッシュなサウンドで、疾走感と安定感を兼ね備えたグルーヴが印象的ですが、この2つの要素を両立させるためには、どんな点に注意する必要がありますか。
    ジョン
     それは歳を取るにつれて難しくなってくるけれど(笑)、まだまだ大丈夫。肝腎なのはメディテーションというか、頭の中できちんと練習しておくことなんだ。僕の場合、眠れない夜なんかには、頭の中でずっと練習していて、何か問題が見つかったらそれを修正するようにしている。そうすることで、ウォームアップして実際に演奏する段階には、すでに頭の中でリハーサルを済ませた状態でいられるわけ。ドラムを叩くためには多くの情報を処理する必要があるから、これは大事なことだと思うよ。

    ●それに対して、「Long Road」や「Alta Vista」のプレイはとても繊細で、無駄がまったくありません。この叩く/叩かないという選択は、どのように見極めているのでしょうか?
    ジョン
     繊細な演奏にはブラシの選択も大事で、普通のジャズ用のブラシは合わないから、イノヴェイティヴ・パーカッションに作ってもらった赤いナイロン製のブラシを使っている。音符の選択については、やはり頭の中でのリハーサルが大事なんだ。これはあらゆるドラマーに対しても言えることだけれどね。ちなみに、アルバムでは「The Experience」をスウィング・グルーヴでやっているけれど、今回のライヴではテキサス・シャッフルでやるつもりなんだ。

    ●「Burn That Bridge」や「Liquid Office」は左足を踏んで刻むハイハットがグルーヴの肝になっていると思いますが、グルーヴ・メイクにおける左足のに役割については、どのように考えていますか?
    ジョン
     僕にとってハイハットのビートは心臓の鼓動のようなものなんだ。特にポピュラー音楽においてはね。そんなわけで、北アメリカの音楽ではベース・ドラムが土台になるから、正確なビートで踏む一方、ハイハットで“動き”を生み出すようにしている。同じ目的でライドを使うこともあるけれど、ごくシンプルにプレイするときでも、ハイハットで動きを出しているんだ。具体的にどうするかは、曲の調子やサウンド創りによって変わってくるけれどね。

    ●アルバムでは基本的にキックとスネア、ハイハット、ライドを使ったシンプルなアプローチが多いですが、最小限の点数で多彩な表現を生み出すために最も大切なのは、どんなことだと思いますか?
    ジョン
     もちろん経験は大事だけれど、叩きすぎないでいられるようにすることも大事だよ。ドラマーはキックとスネアとハイハットで表現する必要があるのはもちろんだけれど、それに加えて他のミュージシャン達の演奏やシンガーの歌をよく聴いて、それにふさわしいグルーヴやドラム・パートを提供することが肝腎なんだ。大切なのは自分の表現じゃなくて、曲だからね。

    ●ありがとうございます。では最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。
    ジョン
     日本には30回以上も来ていて、親しい友達もたくさんいる。日本には素晴らしいドラマーがいることを知っているし、昨夜は双子姉妹のドラマーと出会って、ものすごく刺激を受けたよ。2人には、ドラムを演奏するときには、自分がダンスしているような感覚でやることが大切だとアドヴァイスした。僕らドラマーの役割は、観客をダンス・フロアに誘い出すことだからね。僕自身、誰も踊っていないライヴに飛び入りして、観客をダンス・フロアに引っぱり出したことが何度もある。ドラマーはとにかく、みんなを躍らせて、演奏を楽しむことが肝腎だよ!

    JRによるレクチャー動画はこちら!

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