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Interview – AKANE[BAND-MAID]

  • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Masanori Fujikawa

自分の成長を感じられたこともあって
チャレンジ精神もより強くなった
“逃げなかった”という達成感もあります

可愛らしいメイド服を身にまとい、テクニカルなハード・ロックを展開する5人組バンド=BAND-MAID。“世界征服”をコンセプトに掲げ、文字通り国境を越えて支持を集める彼女達が、前作から1年ぶりとなるフル・アルバム『Unseen World』をリリースした。AKANEが繰り出すパワフルなドラミングにはより磨きがかかり、バンド全体に迫力をもたらしている。ここでは今作を軸に、コロナ禍で実践したという練習や、配信形式で届けた“お給仕(=ライヴ)”に至るまで、存分に語ってもらった。

全員一致で
“地獄”が選ばれました

●今作『Unseen World』は、レーベル移籍後、初のアルバムということで、前作からは1年ぶりのリリースですね。世界を股にかけて活躍しているBAND-MAIDにとって、この1年は、新型コロナウイルスの影響もさまざまな面であったことと思います。

AKANE はい。2020年は本来ならツアーを回っているはずだったのが、残念ながら延期になってしまって。今回の収録曲は去年の頭から作り始めたので、コロナ禍で作った曲がほとんどです。これまではバタバタした中で作っていくことも多かったんですけど、今回は自分の練習に時間を全部充てられたところもあったので、そういう意味では自粛期間も前向きに捉えられました。

New Album『Unseen World』
ポニーキャニオン PCCA-04993

●自粛期間中は、どういう練習をしていたのですか?

AKANE フィンガー・トレーニングをしたり、叩いている姿をビデオで撮って確認しながら、フォームを見直したりもしましたね。スティックの振り幅や手首の角度、足の踏み分け方だとか、細かいところまで自分のプレイと向き合うことができたと思います。ずっと前から気になっていたヤマハのEAD10を新しく取り入れたんですけど、操作も録り方も簡単だし、ドラム・レスの音源で自分の録り音を聴いて、ズレているところなんかも細かく確認できたので、練習にすごく役立ちました。

あとは、セッティングも少し調節しました。ツーバスじゃなくツイン・ペダルだと、どうしてもシャフト分の重さが左足の方にかかってくるので、左右対称になるように、右足側のビーター部分に少しだけ重りをつけて踏みやすくしたりとか……。これまではバタバタしていてなかなか試す機会がなかったことに挑戦できたので、自粛中も学びと発見がありましたね。

●なるほど。今作の収録曲は、持ち味のハード・ロック色全開で、アグレッシヴに絡み合うバンド・サウンドと突き抜けるような勢いを感じさせる楽曲が印象的です。AKANEさんのドラミングの存在感もより強まって、箔がついたというか……。

AKANE 挑戦的な曲しかないですよね(笑)。今作では基礎を見直す時間が取れたからこそ、その成果を出せたんだなって実感しています。

▲『Unseen World』収録曲ティーザー映像

●収録曲の「H-G-K」は、ギター・リフと絡み合うような激しいドラミングと展開の多さが印象的です。ドラム・アレンジはどのように進めていったんですか?

AKANE 本当に休憩ポイントのない曲ですね(苦笑)。曲調は激しいんですけど、アレンジでは他のパートをちゃんと引き立たせることを意識して、ヴォーカルのメロディを歌いながらフレーズを作っていったりしましたね。レコーディングでは、KANAMI(g)から「Bメロでは、ツイン・ペダルを踏みつつ、ハイハットも閉じて叩いてほしい」というリクエストがあって……その場のアイディアで、ハイハットは手を使って押さえながら“ドコドコチッドン”と叩くようにして録りました。

●とっさの対応力ですね。リード曲の「Manners」はそういった激しい曲とは対照的に、シンプルなプレイで、ループするように展開していきますよね。

AKANE 今作で一番苦戦した曲ですね。手癖でついハネたくなる曲なんですけど、ちょっと重めにいかないといけなくて……バスドラがウラ側に入っていて、踏む位置を間違えると一気にバラバラになっちゃうんですよ。タッドタッドタッドタッドっていう本当にシンプルなパターンだから譜面で見れば簡単なんですけど、このノリを出すのがすごく難しかったです。ハネて音が軽くなってしまわないように楽器の倍音も重視して“ちゃんとボトムまで鳴らして響かせる!”っていうところを強く意識しましたね。

▲リード曲「Manners」MV

●なるほど。テンポが速く、2ビート主体で怒涛の展開を見せていく「BLACK HOLE」では爆発力のあるドラミングが印象的ですが、ドラマーとしてはかなりチャレンジングな曲だったのではないでしょうか。

AKANE BPM=220で、BAND-MAIDの中でも一番テンポが速い曲なんですよ。一番挑戦になったし、レコーディングも印象に残っている曲ですね。ハイハットとスネアのどちらが遅れてもダメだし、バランスがすごく難しくて……メタルとか、メロコア系のドラマーさんのライヴ映像を観たりして、速いテンポの2ビートでの力の入れ方とか、リズムの取り方をあらためて研究しました。この曲の足のフレーズをメンバーに提案するときに“楽勝/普通/頑張ればできそう/鬼/地獄”みたいな感じで、レベル別に7パターンくらい用意したんですけど、全員一致で“地獄”のパターンが選ばれました(笑)。

●(笑)。それにしても、ご自身で“地獄”級を用意されるところにストイックさを感じます。

AKANE 長年ストイックなメンバーの中で鍛えられているので、提示しちゃいました(笑)。自分の成長を感じられたこともあって、チャレンジ精神もより強くなったんです。それに、みんなが自分のパートを難しくしていっているぶん、私も自分に試練を与えようと思って……だから、“逃げなかった”という達成感もありますね。こうしてメンバー内で刺激をし合えているのは、とても良いことだと思うんです。

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