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Archive Interview – テイラー・ホーキンス[フー・ファイターズ]
- Interpretation & Translation:Akira Sakamoto
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine
今年結成25周年を迎える彼らの10枚目のスタジオ・アルバム「メディスン・アット・ミッドナイト」が2月5日にリリース。ここでは、アルバムの発売を記念し、2017年に開催されたサマーソニックで、フー・ファイターズが大トリを務めたときのテイラー・ホーキンスのインタビューを一部公開!
いろいろなドラムを使って、いろいろなサウンドを作ったんだ
●新作『Concrete And Gold』を聴かせていただきましたが、素晴らしい作品で、ドラムのサウンドがものすごくカッコ良かったです。
テイラー 他にはないサウンドだろう?
●ええ。前作『Sonic Highways』は、アメリカの歴史的なスタジオを巡って録音するというテーマだったので、新作ではどのスタジオを使うのか興味があったのですが、今回はイーストウェスト・スタジオを使ったそうですね。一番広いスタジオ1を使ったのでしょうか?
テイラー 一番大きな部屋ともう1つ、レッチリ御用達の“カリフォルニア・ケイジ・ルーム”も使った。確かスタジオ2だったと思う。プロデューサーのリック・ルービンが愛用しているスタジオだよ。一番大きな部屋には常時セットされているドラム・セットがあって、それが素晴らしいサウンドなんだ。だから、アルバムでも半分ぐらいはそれを使ったと思う。スタジオ2にはLAでも最高のサウンドのドラムがあるから、それを使って「Run」と「The Sky Is A Neighborhood」なんかは録音したよ。どちらのスタジオも素晴らしいんだけれど、スタジオ1には小さめのサイド・ルームもあって、吸音処理をしてタイトなサウンドを作って、そこでもいろいろなパートを録音したよ。「Make It Right」とか、2曲目(「Run」)の“チッタカ、チッタカ、チッタカ、チッタカ”っていう、エコーのかかったドラムとかね。主に技術的な理由で部屋を選んだんだ。プロデューサーのグレッグ(カースティン)がLogic上でドラムスをいろいろと面白く加工してくれたしね。僕らがコンピューターでアルバムを作ったのは10年ぶりだよ。
●コンピューターをかなり駆使したんですか。
テイラー そう。ProToolsは使わずに、Logicを使ったんだ。ドラムスは基本的に録ったものをあまり修正しないようにしたから、主に録音用に使ったけれどね。
●そのグレッグ・カースティンですが、彼が手がける作品は打ち込みも含めてドラム・サウンドに重きを置いている印象がありますね。
テイラー うん、アデルのアルバムもそうだしね。彼は自分のプロデュース作品の多くでドラムも叩いていて、アデルの作品でも叩いている。ごくシンプルなプレイだけれど、素晴らしいフィールを持っているね。
●だからこそドラムのサウンドにもこだわりがあるんでしょうね。
テイラー こだわりもあるけれど、彼はとにかく気楽に接することのできる人なんだ。それに、エンジニアのダレル・ソープも素晴らしい耳の持ち主で、結果としてアルバムにはいろいろなドラム・サウンドが盛り込まれることになった。「Dirty Water」の前半は70年代風のドライなサウンド、「Run」は分厚いロック・ドラムのサウンド、「The Sky Is~」も分厚いロック・ドラムのサウンド、「Arrows」は汚れた感じのサウンドという具合にね。「La Dee Da」みたいな歪んで汚れたようなサウンドと、「Dirty Water」の前半部分みたいな70年代風の滑らかなサウンド、分厚いサウンドなど、いろいろなドラムを使っていろいろなサウンドを作ったんだ。
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