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    日本を代表するセッション・ドラマーの60歳を祝福! ファン&弟子達がお祝いした村石雅行還暦祭り【Report】

    • Photo:Akito Takegawa

    2024.7.19
    村石雅行還暦祭り
    @東京・御茶ノ水RITTOR BASE

    観客の目の前に鎮座するパールMasterworks Maple Gumのキット、その隣に飾られた花、スクリーンには“Happy 60th Anniversary”の文字……7月19日、今年で還暦を迎える日本を代表するセッション・ドラマー、村石雅行の誕生日に、プレミアムなイベントが行われた。

    誕生日を祝う温かな雰囲気の中呼び込まれた村石は、艶やかなシンバル回しを披露すると、そのままの流れでまずは「Feel Like Makin’ Love」を演奏。しっとりとムーディーにアプローチしていく中で、時に手数やメトリック・モジュレーションなどを駆使した村石らしいフィルを入れ込みながら、静かに、かつエモーショナルに曲を展開させていく。フレーズは比較的シンプルなものが多く、本人もここでは澄まし顔で曲を終え、2曲目以降に「“闘魂”炸裂がくるのか?」と期待させるような予兆を感じた。

    トークが始まるとまずは観客から寄せられた「還暦を迎えてこれまでやってきてよかったこと、逆にやらなかった方が良かったことは?」という質問からスタート。やってよかったことは今も続けているという筋トレ。見た目の若々しさもさることながら、60を迎えてもなお楽器を鳴らしきるパワフルな演奏を続けられる所以がそこにあるのだろう。イベントは村石の初登場から始まり過去のインタビュー記事をスクリーンに投影し、当時の思い出やエピソードを振り返りながら進行。普段は誌面を通して文字で伝えられる情報が村石本人の口から語られ、当時誌面に入りきらなかった話や、インタビューの裏話など、お茶目に話す姿がとても微笑ましい。プログレ・バンドKENSO時代に故・菅沼孝三氏や小森啓資らと河原で練習していた話にも触れ、孝三氏のテクニックを目の当たりにし、技巧派で行くことは諦め、自分のスタイルを確立していく方向に舵を切ったことも語っていた。

    村石のキャリアを振り返っていく中で、話題は印象に残っている参加楽曲を3曲挙げてもらうコーナーへ。まず選んだのは荒井由実の「まちぶせ」。村石はハイハットとシンバルのみでの参加で、当時の荒井楽曲にはよくあったパターンだという。実際に聴いてみると、ふとしたウラや他の楽器が隙間を空けた瞬間に入るハイハットの細かなアクセントはまさに現在に通ずる“村石印”とも言えるアプローチ。村石にとって初めてのユーミンの現場で、ドラム・セットを使用してのレコーディングだったがシンバル類のバラ録りのため、タイコ類には布などを被せてミュートしていたというエピソードも聞くことができた。

    2曲目はポルノグラフィティの「Mugen」。選んだ理由を尋ねるとレコーディングがユーミンの『松任谷由実SURF & SNOW in Naeba』の翌日で、スタッフの運転で帰京してからスタジオに向かう予定だったが、打ち上げで出発が遅れ、結局徹夜でレコーディングに臨んだとのこと。極限状態のため“早く決めよう”と2〜3テイクほどでOKを出したそうで、そういった集中力と確実に決める本番力は、やはり日本を代表するセッション・ドラマーと評される所以だろう。「やっぱり焦ってるからか常にクリックの前にいますね(笑)」とは本人談。

    そして3曲目は中 孝介の「花」をセレクト。レコーディング当日にデモが上がり、一聴した瞬間に引き込まれ、“これは売れる!”と確信したのだそうだ。すぐにもう一度聴き直し、細かなニュアンスを詰めていったとのこと。ドラム的なポイントを聞かれると「アツいグルーヴ」と答えた村石。シグネチャーな細かいハイハット・ワークやゴースト・ノート、情感たっぷりに奏でられるタム回しなどは楽曲全体の熱量をさらに押し上げているようで、村石がこういった現場に呼ばれる理由の一端が感じられた。

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