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Interview – moAi[Dizzy Sunfist]
- Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Tetsuro Sato
レゲエやスカ特有の
“繰り返す美学”がなさすぎて……
詰め込まないプレイ/イーヴンなプレイが
めちゃめちゃ難しかった
●最後に収録されている「Everything’s Gonna Be Alright」は、Dizzyの中でも過去にないほどレゲエ色の濃い曲なのではないですか?
moAi そうなんです。大阪のSUNSET BUSっていう先輩から影響を受けて、あやぺたからやってみたいって言われて。BPMが205なんですけど、今まで205になると、だいたい速い曲ばっかりだったんです。でもこの曲はこの速さで跳ねない、ゆったりした絶妙なラインを通るのがめちゃくちゃ難しいし、レゲエやスカ特有の“繰り返す美学”が自分になさすぎちゃって。AメロとBメロはフィルでつないでもずっと同じ刻みなんですけど、すごく我慢我慢っていう感じで。つい何か入れたくなっちゃうんですけど、詰め込まないプレイをすごく練りましたね。僕もこのジャンルはやったことがなくて、レゲエの良さ、イーヴンをプレイするっていうのは、考えるのがめちゃめちゃ難しかったです。
●ハーフ・フィールで刻んでるので意外とBPM=205に聴こえないですよね。
moAi 自分達もレコーディングのときに、実際「200超えは速すぎるっしょ」ってなって、BPMを落として試しに録ったりもしたんですけど、「なんか遅いな」って(笑)。おそらく感覚的な部分でも今までの音楽と違うんだなって思いましたね。
●逆に「No Biggie」はめちゃめちゃ速いですよね?
moAi めちゃくちゃ速い(笑)。今までで一番速いですね。実はCメロのハーフっぽくなるスカ・パートに焦点を当てて作ったんです。だからAメロの速いスカとかサビの2ビートは、そこに合わせたのでめちゃくちゃ速くなっちゃって。譜面上のBPMは133ですけど、2ビートは単純にその倍なので266くらいで、しかも(バス・ドラムの)ダブル入れちゃったんで、もう音量を出すのが大変で(笑)。この曲もある意味フィジカルな部分ですごく大変でした。
●昨年はドラムの日でフット・ワークのレクチャーをしていただいたmoAiさんですが、足の使い方のコツとかあったりしますか?
moAi やっぱり“力むと終わる”って感じです(笑)。“踏む!バスドラ鳴らす!”っていう気持ち100%でいくと、早々にふくらはぎが終わっちゃう。感覚的には、脱力・脱力ですね。足も踏み込むというよりは、落として体重を乗せるだけ。
腕(上半身)も同じような感覚で、ショットのアタック感は大事にしてるんですけど、いかに力を抜いて(スティックを)落として、ヘッドに当たる瞬間に100にできるかとか、削って削ってを意識して今やっと無意識というか、感覚的にできるようになってきたので楽になりました。力が入ってしまった日は、サウンドもライヴもやっぱり良くないんですよ。縦の線は決してズレてるし、音もフラットではなくて、嫌な抑揚というか、バラつきをすごく感じて、綺麗なドラムに聴こえないんですよね。速いからこそ、綺麗で繊細じゃないと駄目だなって思うようになりました。
●脱力で綺麗な音を出せるのが一番だと思いますけど、ひらすらに力んで、がむしゃらに演奏する経験も、やっぱり必要だと思いますか?
moAi 結局その部分は必要になってくると思うんですけど、僕の場合はただがむしゃらにやっててすごく遠回りしちゃったかなぁと思うんですよね。ゆっくりなテンポから練習するっていうのはすごく大事なんですけど、どっかのラインから、気合いじゃないとメロコアできないみたいなラインがあるので、そこまではすごく丁寧な練習をやっぱり推奨したいですね。
というのも、今鳴らしてるスネア/キック/シンバルの音、ちゃんと自分で聴けてるかっていう部分はすごく大事で、それがわからないのにがむしゃらにやってたら良くないなとは思いますね。それはモニターとかの話ではなくて、自分の身体で鳴らしてる音がどんなふうに出ているかっていうのを理解しつつ、それをビートに落とし込んでっていう、すごく繊細な部分の練習なんですけど、それをゆっくり積み重ねた後スピードを上げていくと、ある日突然“謎のライン”が出てくるので、そこから気合いで頑張るっていう(笑)。
●相当速いBPMを叩けるようになるには苦しい部分もありますけど、速さに身体が慣れてきた頃に、“脱力が大事”みたいなフェーズに入っていくような、そんな感じですかね。
moAi マラソンとかでもいきなり10キロは無理だけど、毎日2キロとか、そこから5キロに伸ばしていって、もっと走れるようになりたいって思ったときに、それもどこかでラインがあると思うんですよ。もちろん身体を慣らしていくことが大事なんですけど、ターニングポイントというか、メロディック・パンクでよくあるBPM=200超えの2ビートとかは、がむしゃら、というか勢いに身を乗せているうちに慣れがくるもんだなって、自分の過去を振り返るとそんな感じですかね。
●では最後に、今回のツアーに向けてメッセージをいただいてもよろしいでしょうか?
moAi 今回のツアーはサポート・ベースを迎えて、ツアー自体は自分達も何度もしてきたんですけど、心持ちも新鮮で緊張と不安と楽しみが今まで以上にいっぱいで。でも今は何度もリハを重ねて、サウンドももちろんですけど、3人の空気感とかもすごくいい感じだと思います。サポートとは言いつつも、自信満々のライヴをやっていこうと思うので、コロナ禍で、また情勢が読めないこともあると思うんですけど、遊びに来てほしいなと思っております。
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