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Interview – ウィル・ハント[エヴァネッセンス]
- Interview & Text:Takahide “THUNDER” Okami(METAL HAMMER JAPAN) Translation:Tommy Morly
リズムはリスナーが感知する最初の要素
フィーリングやグルーヴを生み出しているのもドラムさ
今年デビュー18周年を迎え、今もなおシーンのパイオニアとして光を放ち続けるエヴァネッセンス。去る3月24日には、オリジナル・スタジオ・フル作としては、実に10年ぶりとなる『ザ・ビター・トゥルース』をリリースした。METAL HAMMER JAPAN Vol.5では、“ヘヴィ・ロック×女性ヴォーカル”という新たなスタイルを築き上げた先駆者=エイミー・リーと、その壮大な世界観のボトムを担うウィル・ハントにコンタクト。最新インタビューを掲載している。ドラマガWebではその中からウィルのパートの一部をお届けしよう。
●さっそくですが、オープニング的「アートファクト/ザ・ターン」から「ブロークン・ピーセズ・シャイン」は、フロア+ロー・タムとスネアでのスケールの大きいドラミングによって、楽曲の壮大さがよりアップしていると感じますね!
ウィル・ハント それはありがとう!
●ミックス具合いも含め、ドラムが近く感じられます。プロデューサーのニックとは、どのようなサウンドを目指したのでしょう?
ウィル 俺らはニックと作業ができて、とても満足しているんだ。だって彼は何よりも音楽ファンだからさ。2011 年にアルバム(『エヴァネッセンス』)を作った頃の話に戻るけど、実は俺とニックはラウドネスの大ファンで。
●おぉ、そうだったんですか!
ウィル 常にラウドネスのことばかり話していたし、他のスタッフが帰ったあと俺がドラム・キットに座ってニックはギターを取り、お遊びで彼らの曲をいくつもプレイしていたんだよ。それに限らず俺らは共通して好きなバンドや音楽がたくさんあって、同じ理解や感覚が身体に流れている。
●そうなると、純粋に話が早くなりますよね。
ウィル 今回のアルバムを作るとき、俺にはやってみたいアイディアがいくつかあって。それを1人でやってもよかったんだけど、ニックみたいに素晴らしい人が側にいてくれたことで作業はよりはかどったよ。スタジオにPAシステムを組んで実際のライヴ音源サンプルを流し、俺が叩いたドラムとミックスしながら聴いてあらためてプレイしてみたんだ。
●あの臨場感の演出には、そんな秘密の方法があったんですね。
ウィル たいていはシンバルとスネアがラウドだから細かい音作りがしづらいんだけど、この方法だと自由にバランス調節ができて、ユニークなサウンドに仕上げることができたよ。だからドラム・サウンドの中の何かに気づいてくれたのはとても光栄なことだし、俺らはとにかく徹底的に追及していった。俺の方からニックに何か提案をすると“じゃあこういうのは? これもやってみよう”と、どんどんフィードバックがあって、それはリスナーからしても気づきやすいポイントだったのかもしれないね。
●「イェー・ライト」はエレクトリックも多く、生楽器であるドラムはそこに馴染ませること自体が難しくもあり、意識しなければいけないことも多かったのでは?
ウィル サンプルをはじめとしたバックグラウンドで流す音楽は、主にアンビエントや空気感を作るためのものなんだ。そもそもドラムってかなり基礎的な楽器で、特にリズムはリスナーがまず感知する最初の要素だよね。それにドラムによって特定のフィーリングやエモーションを表現することが可能だし、そもそもフィーリングやグルーヴを生み出しているのもドラムさ。
この曲のヴァースはポップな要素もあって、ポップ・ソングで鳴らすべきドラムってどんなものかと考えるようなところがあった。俺らは自分達を何かの形にはめることなく、クリエイティヴに感じたことをプレイしている。その結果、この曲が持つべき雰囲気をしっかりと作り出すことができたんだ。俺にとってエレクトロニックな要素と共にドラムをプレイするというのは、ある意味パレットの中の色を増やしておくようなものだね。
このインタビューの続きは現在発売中のMETAL HAMMER JAPAN Vol.5で!
◎Special Feature
エヴァネッセンス最新インタビュー
●エイミー・リー
●ウィル・ハント
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