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    Interview – ゆーまお[ヒトリエ]

    • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine Photo:Taichi Nishimaki

    “強いドラム”をベースに置きながら
    いろいろな表情/音色が出せるような
    ドラムになっていくと思います

    3人体制となったヒトリエがアルバム『REAMP』を完成。本日2月17日に発売となった。ヴォーカル&ギターとなったシノダを筆頭に、ベースのイガラシ、ドラムのゆーまおも作曲に参加。メンバーそれぞれの個性を反映したバラエティ豊かなナンバーが揃う、まさに現在のバンドを体現した1枚という印象で、楽曲の幅広い世界観に対応した音色やプレイを繰り出すゆーまおのドラミングも見逃せない。3人での新たなスタートに、彼はどう向き合っていったのか。語ってもらった。

    健康的に音楽活動を続けたり
    wowakaの曲と向き合うためにも
    アルバムやライヴが必要不可欠

    ●『REAMP』は3ピース体制として初のアルバムになりますが、制作に向き合えるようになったのはいつくらいだったんでしょうか?

    ゆーまお 2019年の4月にwowakaが亡くなって、どうしようと。ツアー中の出来事だったので、ツアーも途中で中止になり、ファイナル公演になるはずだった6月1日の新木場Coastで追悼会を行い、そこでシノダ(vo、g)が歌ったんです。それを機に行けなかったところも含めて3人で回ったんです。それで、やっぱりべスト・アルバム出したいよねって話にもなって。

    いろんなプロセスを経ていく中で、“こうしなきゃいけないし、これも次はやんなきゃいけないね、こんなことも考えなきゃいけないね”っていうことがたくさんあったんですけど、特に「3人で頑張ろう」という話をしたわけではないんですが、念頭にあったのが、解散する気がないっていうことと、彼の曲を残せる形をいつでも用意できるために解散はしないということでしたね。でも極端な話、解散しないっていう形だけを取るなら別に何もしなくてもいいわけですけど、何かしてないと、やっぱりwowakaの曲を聴かせることができないというか。

    俺達がこれから健康的に音楽活動を続けたり彼の曲と向き合うためにも、おのずとこうやってアルバムを作ったり、ライヴをしていくということが必要不可欠なんじゃないかっていうことを感じながらここまできたって感じです。

    2019年はそういったものを何となく、でもすごく予感しながら2020年になって、周年イベントを3人でやったり、ベスト・アルバムも出るということだったのでツアーも控えてましたし、そんな感じで構えてたんですけど、コロナのせいで延期になったり中止になったりで家にいる時間が増えたんですよね。アルバムもいずれは作るわけだから、今やってみるかって。毎月10曲、デモを3人で出し合って、そこが始まりですね。シノダが8曲作って、俺とイガラシ(b)が1曲ずつ作るっていう、そういう1ヵ月のノルマです(笑)。

    『REAMP』ヒトリエ
    ソニー AICL-4012

    1. curved edge
    2. ハイゲイン
    3. dirty
    4. faceless enemy
    5. tat
    6. うつつ
    7. bouquet
    8. Marshall A
    9. イメージ
    10. YUBIKIRI

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    ●ゆーまおさんもイガラシさんも作曲に参加するというのは自然な流れで?

    ゆーまお そうですね。シノダ1人に、彼の世界観でこのバンドを継続させよう、彼に頼ろうみたいな気はなかったです。ただ、いざこうなってみると“本当に作るのかぁ”とは思いましたけどね(笑)。戸惑いはありましたけど、それはメンバーみんな一緒だから。

    ●作曲に関しては初めてだったんですか?

    ゆーまお ほとんど作曲経験はないに等しかったんですけど、もともとヒトリエをやる前に自分のバンドを長いことやっていて、そこは自分の曲だったんですよ。だから一応下地はありましたね。

    ●去年の11月に発売されたRain Dropsのアルバム『オントロジー』には、演奏の他、「白と嘘」の作曲でも参加されていましたが、それは今回の制作過程にも関係してくるんですか?

    ゆーまお ドラマーとして頑張って仕事を重ねてたら担当の方々が気に入ってくださって、「作りましょうよ」って言ってくれて。ヒトリエで曲を作るという話もしてたので、「何かトリガーになれるような、きっかけの1つにでもなってもらえたらいいなって思って。作ってもらえませんか」ってまで言ってもらって。それはもう「作ります!!」という感じでしたね。

    ●ゆーまおさんといえば、ボカロ曲やアニソンというイメージが強いですが、今作の作曲もそういったジャンルがルーツになっているんですか?

    ゆーまお 作ってみたらそんな気がしましたね。意識していることは全然別のところにあるんですけど、やっぱり(ボカロやアニソンを)知っているので、そういうふうになっちゃいますね。

    ●具体的な作曲方法みたいなものは固まりつつあるんですか?

    ゆーまお まったくないんです。まだ模索中ですね。リズムから曲を作ったこともまだなくて。昔から、ギターは弾けるコードだけ、あとはピアノで進行とかリズムを作って、最後にドラムですね。なので、ベースとキーボードとドラムと歌が入っているデモを作って渡してます。ギターは、シノダに「こういうの入れてほしいんだけど」みたいなイメージだけ伝えてお任せするという形を取っています。

    ●“ドラムでこういうことをしたい”というよりはメロディ先行なんですね。

    ゆーまお そうですね。歌を聴かせたいっていう方が意識としては強いですね。なんか恥ずかしいですけど、綺麗な和音とか音とかメロディだとか、もしかしたらそういう方が大事かもです。

    ●ギターのフレーズは具体的に伝えることも?

    ゆーまお めっちゃ細かいところを伝えるときもあります。「YUBIKIRI」のギター・ソロ前の2拍で“ジャガジャガジャン”ってあるんですけど、それはマストで、とか。

    ●基本的には、シノダさんとイガラシさんに好きなように弾いてもらう?

    ゆーまお 「YUBIKIRI」という曲に関してはそうですね。好きなようにというよりは、らしく弾いてほしいと伝えました。

    ヒトリエ(L→R)
    イガラシ(b)、シノダ(vo、g)、ゆーまお(d)

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