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    たたきびと ♯6 大切だからこだわる“イス”

    • Photo:Takashi Yashima

    2014〜16年にお届けした玉田豊夢と朝倉真司による連載セミナー=“たたきびと”をドラマガWebに転載! 打楽器の魅力、楽しさを伝えることを主軸に置いており、ドラム&パーカッションを初めてみようという方に最適な内容です。今回のテーマは、ドラマーの身体を支える重要なパーツ=イス。2人がイス選びへのこだわり、セッティングのポイントなどについて、ディープに語り合います。

    これからドラムを始めてみたいという方は「ビギナーお助け記事まとめ」をチェック!

    高さやシートの形、硬さも含めて
    今使っているイスに決めて
    それを基本に今の叩き方があるので
    ないと集中できない (朝倉)

    イスで演奏が変わってしまうので
    ハードウェアの中でも
    特に重要だと思う (玉田)

    ●ドラムはイスに座って演奏する点が特徴だと思います。だからこそイスに関しては、それぞれこだわりがあるんじゃないですか?

    玉田 そうですね。僕はスタジオに行くときに、他のどの機材よりもイスを持っていきたいくらい、大事だと思っています。おっしゃる通りドラムは座って演奏するので、イスに身体を預けるわけじゃないですか。そこの安定感が悪いと集中できなくて、もうすべてがダメになるというか。

    形や硬さも重要で、自分に合わないイスを使うと、身体……特に腰や背中が痛くなっちゃうんですよね。個人的に極端に柔らかいイスだと、腰が落ち着かない感じがして演奏も変わってしまうので、ハードウェアの中でも特に重要だと思いますね。

    朝倉 私は今、イスをかなり低くしていて、普通のイスだとそこまで低くならないものもあるので、自分のものを持ち込むのは必須ですね。高さやシートの形、硬さも含めて今使っているイスに決めて、それを基本に今の叩き方があるので、それがないと集中できない。

    ●それぞれ決まったイスがあるわけですね。

    玉田 僕はロックンソックのサドル型を使っているんですけど、あれに慣れちゃうと他のイスには自然な感じで座れないですね。そもそもクッション性があるシートが苦手で、かなり硬めのイスを高校生の頃からずっと使っていたんですけど、仕事で長時間のリハをやるようになると、そのイスだとお尻がすごい痛くなって(笑)。

    そこからいろんなイスを試して、数年前から今のイスを使うようになったんですけど、長時間演奏をすると違いがわかるというか。疲れにくいし、腰への負担もすごく軽減されているように感じますね。シートに関しては、僕はサドル型の方が好きで、“ここに座るんですよ。イヤモニつけるのもここですよ”みたいな感じで、決められてる方が楽だったりします。暗いステージに出る場合にもそのへんがわかりやすいので助かります。

    朝倉 私は逆に “ここに座りなさい”って決められているみたいでサドル型がちょっと苦手で(笑)。今はTAMAの3本脚で一番低くなるイスを使っています。その前はロックンソックの油圧式の丸いシートのイスを使っていて、それはすごく良かったんですけど、ある一定以上は低くならなかったんです。

    今は低くなっちゃっている時期なので、そのイスよりも低くなるということでTAMAのイスを使っているんです。

    ●イスを低くした理由は何だったんですか?

    朝倉 やっぱりカースケさんの影響が大きいですね。一青窈さんの現場で、ドラムがカースケさんで、パーカッションが私っていう時期が続いたことがあったんです。最初は“この風呂のイスみたいな低さでよく叩けるな”とか思ってたんですけど(笑)、隣で見続けている間に合理的だなぁと思って、いつの間にか自分も徐々に。

    もともと細かいことをやるというよりは、シンプルなことをドッシリとやりたいというイメージもあって、それでどんどんイスが低くなっていったんだと思います。ただ今も日々悩みつつ、高くしたり低くしたり試したりしているので、しばらくしたらまた変わってくるかもしれませんね。

    ●玉田さんも比較的低めだと思うのですが、どうやって今の高さに決めたんですか?

    玉田 僕の場合、いろいろやりたい感じがあって。朝倉さんが今言ったみたいな、重心が低くてシンプルにいきたいときは、もっと低くしたいんですけど、細かいことや、ちょっとファンキーなことをやりたいときは、ちょっと高くして、セットを見下ろし、制するような雰囲気の方がそういう気持ちになりやすいんで、その間を取ったのが今の高さなんです。

    カースケさんや朝倉さんを見ていると、カッコいいなと思いますね。重心が低くて、“点”ではなく“面”で音を押し出しているような、あのスタイルには憧れます。たまにイスに座らせてもらったりすると、あまりの低さにびっくりしますね(笑)。

    ●イスの高さに悩む初心者もいるかと思いますが、どうアドバイスしますか?

    朝倉 まずは普通くらいにしとくのが良いんじゃないですかね、やっぱり(笑)。

    玉田 例えば家でご飯を食べるとき、不安定なところには座らないじゃないですか。何も気にせず自然な状態でいられる高さや形のイスに座ると思うんですけど、その感覚で良いと思います。

    朝倉 そうそう。安定したところにイスを置くとか、不安定に感じる位置に腰かけないとか、本当に普通のこと。

    たたきびとの“イス”の座り方

    ここでは玉田&朝倉がそれぞれ愛用しているイスと、その座り方をチェックしていこう。高さやシートに腰かける位置はもちろん、イスとキットの距離感や、脚周りのセッティング方法など、自分のやり方と見比べてみてほしい。 

    玉田の“イス”

    • 1:玉田が愛用するロックンソックのサドル型。安定感があり、長時間座っても身体への負担が少ないという。

    朝倉の“イス”

    • 1:朝倉が愛用するのはTAMAの丸型。一番低くできるということで選んだそうだ。

    ※本記事は2015年2月号の連載セミナーを転載した内容となります。

    朝倉真司●音楽家、ドラマー、パーカッショニスト 。1996年にLOVE CIRCUSのメンバーとしてデビュー。その後、ヨシンバ、パーカッショングループ ”Asoviva!”のメンバーとして活動しながら、森山直太朗、一青窈、くるり、秦基博、あいみょん、Superfly、ONE OK ROCK、岸谷香、いきものがかり、レキシなどのさまざまなアーティストのライヴ/レコーディングに参加している。
    2017年9月には森山直太朗劇場公演「あの城」(本多劇場・2018年3月映像作品化)、2019年7月には20th century(V6) TWENTIETH TRIANGLE TOUR「カノトイハナサガモノラ」
    (グローブ座、北九州劇場、梅田芸術劇場・2020年3月映像作品化)にそれぞれ役者としても出演している。
    玉田豊夢●1975年生まれ。20歳の頃からサポート活動をスタート。100s、C.C.KINGのメンバーとしても活躍。これまでに中村一義、小谷美紗子、斉藤和義、レキシ、いきものがかり、Superfly、フジファブリック、ポルノグラフィティ、宮本浩次など数多くのアーティストのライヴ/レコーディングに参加。13年には自身のシグネチャー・スネアを発表した(生産完了)。

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