NOTES
日本では苦手意識を持つ人が多いハネたリズム=シャッフル。その極意を日本が誇るグルーヴ・メイカー、沼澤 尚が“音源つき”でレクチャーする本企画。先日アップした基礎編に続いて、今回はスウィング表現に磨きをかける応用編を公開!
音で聴く!黄金のシャッフル・グルーヴ基礎編はこちら
Shine Your Swing〜スウィング表現に磨きをかける〜
Ex-25〜28はバック・ビートのアクセントを1拍ずつズラしたパターン。アクセントは2、4拍だけじゃなくて、1拍目にアクセントが来るパターンも実際にあります。こういうことに慣れておくと、自分の回りに起こるいろいろが理由で好みのアクセントを表現したいときに、身体のバランスを失うことなくスムーズに対応できたりします。
Ex-29〜36は、右手と左足だけで、これだけ“感じ”が変わるっていう例としてやってみました。具体的には右手をライドで刻んでいるときの左足の踏み方と開き具合いで、踏み方について、今回は2&4、4分音符、8分ウラっていうベーシックなことしかやっていないですけど、もっといろんな表現ができます。例えばライドとスネアとバスドラがタイトで、左足のコントロールでダイナミクスをつけて盛り上げたり、ライドとスネアとバスドラがイーヴンで、左足だけスウィングしてシャッフルを表現することもできますし。音の長さで“シャッフル感”を表現できるバリエーションは本当にたくさんありますから。驚異的なのは、誰に教わったわけでも、分析したり、こんなコンセプトがあったわけでもないのに、これを始めた真のオリジネーター・ドラマー達はこういった繊細なコントロールを感覚だけで成し遂げて数々の歴史的な名演を残してきた、ということなのです。
Ex-37〜38のスウィングとストレートのパターンは、実際の演奏で、ギターやベースでこういうリフが出てくることが多いので、アンサンブルの例としてやってみました。ハウリン・ウルフやソニーボーイやリトル・ウォルターでのフレッド・ビロウのドラム・トラックはその宝庫で1小節の中でスウィングとイーヴンが行ったり来たり、スウィングとストレートが一緒に聴こえたり。本人が意識しているかどうかはまったくわからないですけど、そのコントロールがものすごい。ジェームス・ギャドソンはもちろんこの帝王だし、リッチー・ヘイワードも見事に、手がストレートで足が平気でスウィングしてるグルーヴをやっていたり。
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