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    Ultimate Drum Technique #1-Modern Foot Work

    • Text & Score & Video:Hiroshi Matsuo

    CHAPTER 1:モダン・フット・ワーク

    みなさんこんにちは、松尾啓史です。今回より“Ultimate Drum Tehnique”セミナーが始まりました。YouTubeの登場以降、ドラムの技術は目覚ましく進化を遂げていますが、このセミナーではそんな最新のテクニックをピックアップして、“一歩先を行くドラマー”を目指すのがテーマです(編集部からの指令です汗)。その記念すべき第一弾は、ドラマーの命題=“フット・ワーク”にフォーカスしていきます。

    フット・ワークの伝統と革新

    ドラム・セットが誕生した19世紀末より、時代の変化と音楽のニーズに合わせて我々ドラマーは常にテクニックを磨き進化し続けてきました。ペダル・ワークもそれに呼応するような形でブラッシュ・アップされ続け、みなさんが現在使用している奏法というのは、間違いなく古き良き技術の上に成り立っているものといえます。

    今回はそんな伝統的な奏法を踏まえつつ、今、押さえておくべき最新のフット・ワーク・アプローチについて解説させていただきます。みなさんもよくご存知の基本的な奏法については、“Basic”と題して動画にまとめておきましたので、ぜひチェックしてみてください。

    フット・ワーク・ベーシック編の映像はこちら

    【スライディング・ヒール&トゥ・テクニック】

    “ヒール&トゥ”とはその名称通り、カカトとつま先を交互に踏み分けるテクニックですが、そこへ前後のスライドの動きを加えることで、片足で高速連打を可能とするハイブリッドなフット・アプローチをご紹介したいと思います。

    この奏法は2段階の動きの組み合わせでできており、まずカカトでフット・ペダルのヒンジ部分よりも前方を踏み鳴らします。踏んだ瞬間につま先を上げて、ビーターがオープンに返る状態を作り出します。この状態から足を自分側へ少し引くようなイメージで動かしつつ、今度はつま先の方で踏み鳴らします。このとき、足はペダルから完全に離れてしまわないようにすることがポイントで、ヒタヒタとペダルの上を撫でるようなイメージで演奏します。

    スライディング・ヒール&トゥは、シンプルな8ビートはもちろん、バウンス・ビートや16ビート、ハーフ・タイム・シャッフルなど、さまざまな音楽スタイルのドラミングへ応用することが可能です。ここではいくつかのエクササイズ・パターンを紹介するので、動画を確認しながらぜひチャレンジしてみてください。

    “カカト”と“つま先”は、どちらから先行してスタートしても構いませんが、例えば僕の場合、奇数打数の連打は“カカト”から、偶数の場合は“つま先”からスタートして、最後の踏み込みを“カカト”で終わらせ、演奏時の体幹が崩れないように工夫しております。まずは自分の演奏しやすい足順を探してみてください。

    【スニーク・アタック・アプローチ】

    続いては“スニーク・アタック”というアプローチを紹介します。聴き慣れないワードかと思いますが、簡単に言ってしまえばスライド奏法を高速化してねじ込んだアプローチです。リズム・パターンへの応用の仕方が通常のダブルとは一味違っており、2打踏み鳴らすというよりは、足で瞬間的なドラッグを行っているようなイメージと言えばわかりやすいでしょう。

    通常はNGとされるようなキックのブレを、あえて音楽的に体現しているところがポイントです。さらにはそのキックにスネアのゴースト・ノートを重ねることで、また一味違うグルーヴを生み出すこともできますし、使用用途は限定されますが、新時代のアプローチとして会得しておいて損はないでしょう。

    まとめ

    フット・ワーク・テクニックは時代と共にこれからも進化し続けますが、常に新しい奏法やスタイルを自分の中に柔軟に取り入れることで、ドラミングの可能性は無限に広がっていくことでしょう。

    ◎Profile
    まつおひろし:豊富なドラム知識を生かし、リットーミュージックより自身の執筆する教則本『究極のドラム・トレーニング・バイブル』をリリース。現在はリズム&ドラム・マガジンでプレイ分析や執筆を担当している他、ドラム・セット・プレイヤーとしてのみならず、ドラム・スティックを投げたり回したりと視覚的に楽しませるパフォーマーとして、東京ディズニーシーや打楽器アンサンブル・チームでの公演の経歴もある。また、サウンド制作スタジオ「INSPION」のメンバーでもあり、ゲーム音楽を中心としたレコーディングは多岐に渡る。20歳の頃より音楽教室でのレッスンなど、クリニシャンとして後世のドラマーの育成にも積極的に取り組み、吹奏楽からプログレまでジャンルを問わずさまざまなバンドでのライヴ・セッション活動を行っている。

    ◎Information
    松尾啓史 HP Twitter YouTube