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    Drummer’s Disc Guide – May 2020

    – May 2020 –

    【A】=アルバム 【M】=ミニ・アルバム 【E】=EP 【V】=DVD、Blu-ray


    【E】ネイト・スミス「ライト・アンド・シャドウ」

    d:ネイト・スミス

    たとえパターンをトレースできても
    ネイトのように“歌う”ことは至難の業

    驚異的な身体性をアクロバティックに発揮するドラマーが耳目を集めやすい現代において、ネイト・スミスの端正なプレイは一聴地味に聴こえるかもしれない。しかしここで聴けるドラミングこそ、真に最上級の演奏だと言えるだろう。タイトかつ人間味溢れるバック・ビートとゴーストの見事な対比を筆頭に、音価と拍位置による各楽器の音色変化など、細かく言及すれば枚挙に暇がない職人芸に溢れている。たとえパターンをトレースできても、彼のように“歌う”ことは至難の業だ。卓越したリズム感(リンク参照)に裏づけられたM4のグルーヴ、シネマティックなM5でのブラシ使いなど、その絶妙なドラミングは各楽曲の骨格をしなやかに支え彩りながら、時間芸術としての音楽の起承転結の鍵をしっかりと担っている。いやーすごいっす。(木暮栄一/the band apart)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】ネイト・スミス(d、p、etc.)、ジェイムズ・フランシーズ(syn) 、ジュリエット・ジョーンズ/モニーク・ブルックス・ロバーツ(vln) 、ジャーヴィス・ベンソン(viola) 、マルコム・パーソン(cello) 、ヴァン・ハント(vo、g)、ジャーメイン・ホルムズ(vo)

    配信限定 発売元:Waterbaby Music 本体価格:¥917(iTunes) 発売日:2020.4.20

    ◎Special
    木暮栄一お勧め、ネイトの“卓越したリズム感”を味わえる動画『POCKET CHANGE』
    →映像はこちら(YouTube)

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    【A】トム・ミッシュ&ユセフ・デイズ『ホワット・カインダ・ミュージック』

    d:ユセフ・デイズ

    ドリーミーな空間の中で
    クリスピーに鳴り響くビートが心地良い

    南ロンドンの多彩な音楽シーンで活躍する気鋭の技巧派ドラマー、ユセフ・デイズが、新世代のギター・ヒーロー=トム・ミッシュの新作でコラボを果たした。陽気でソウル味の溢れる前作とは打って変わって、今作はダークで温かみのあるムードをまといながらも、トムらしいメロウな音楽世界は健在。そのドリーミーな空間の中で、クリスピーに鳴り響くユセフのビートが心地良い。セット全体で鳴らされる独特なアタックやピッチ感から生まれるパーカッシヴなサウンドが、楽曲に繊細さや高揚感をもたらす。ベースにロッコ・パラディーノが参加し、即興演奏で完成したM10「Kyiv」は、彼らのグルーヴが絶妙に絡み合う実験的なナンバーで特に聴きごたえがあるが、アルバム全体を通して聴けば、2人の共作が奇跡の賜物だと実感できる。(錦織文子/編集部)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】ユセフ・デイズ(d、per、syn)、トム・ミッシュ(b、g、p、syn、vo)、トム・ドライスラー/ロッコ・パラディーノ(b)、マイルス・ジェームズ(g)、トビー・トリップ(strings、vln)、カイディ・アキニビ(sax)、ジョエル・カルペッパー/ジョーダン・ラカイ/ヴーラ(cho)、フレディ・ギブス(vo)

    発売元:ユニバーサル/Caroline 品番:UICB-1008 本体価格:¥2,500 発売日:2020.4.24

    ◎Special Interview
    ユセフが、自らのルーツから本作『ホワット・カインダ・ミュージック』までを存分に語る! コラボしたトムとの対談も必見
    →インタビュー記事はコチラ

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    【V】the HIATUS 『10th Anniversary Show at Tokyo International Forum』

    d:柏倉隆史/一瀬正和

    初期〜最新曲まで抑揚豊かなフレージングを堪能
    当時の雰囲気を感じさせながら楽曲に新たな側面を与える

    結成10周年を迎えたthe HIATUSが昨秋開催した、東京・国際フォーラムでの記念公演の映像作品。すべてのアルバムから満遍なくセットリストが組まれ、メンバー全員が1曲1曲を噛みしめるように演奏する姿が印象的だ。抑揚豊かなフレージングを生み出す柏倉のプレイも存分に捉えており、熱情的に展開をまくし立てる初期曲から、金モノと皮モノを別録りしていたという最新ナンバーまで一気に堪能できる。叩き始めた瞬間に当時の空気感を醸し出すグルーヴながら、確実に進化(深化)しているアプローチが、楽曲に新たな側面を与えているのではないだろうか。途中2曲は一瀬とのツイン・ドラムも披露し、「Antibiotic」では原曲のタッグが実現。ユニゾンするメイン・パターンは一寸の狂いもないと言えるくらいぴったり。バンドによりいっそう奥行きが生まれていたように思う。(笹 京佑/編集部)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】柏倉隆史/一瀬正和(d)、ウエノコウジ/徳澤青弦(b)、masasucks(g、cho)、伊澤一葉(key)、細美武士(vo、g)

    発売元:ユニバーサル 品番:UPBH-20264 本体価格:¥3,400 発売日:2020.4.15

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    【A】ゲスの極み乙女。 『ストリーミング、CD、レコード』

    d:ほな・いこか

    華やかなバンド・サウンドを仕上げる
    耳残りの良いリズムと変幻自在のドラミング

    ゲスの極み乙女。の、2年ぶり5作目となるニュー・アルバム。今作には、ブラック・ミュージックのエッセンスがふんだんに盛り込まれ、心地良い隙間感と共に、一皮むけた大人の味わいを感じさせるムーディーな楽曲が揃っている。聴く人の情感を刺激するようなメロディ、軽やかに駆け回る鍵盤の音色、歌うようにウネるベース……ほな・いこかの叩くドラムもまた、耳残りの良いリズム・パターンで楽曲を彩っており、浮遊感のあるヴォーカルと美しいピアノの旋律が印象的なM1では、繊細なビートで機微を表現している。対して、バンド全体がユニゾンしながら展開するM9では、密度が高くワイルドなドラミングでドライヴ感を加えるなど、そのプレイは変幻自在。華やかに仕上げられたバンド・サウンドを、贅沢に楽しめる良作だ。(高橋里沙/編集部)

    ◎Disc Information
    【参加ミュージシャン】ほな・いこか(d、vo、cho)、休日課長(b、cho)、ちゃんMARI(key、vo、cho)、川谷絵音(vo、g、programming)、吉田篤貴/梶谷裕子 (vln、viola)、中島優紀/田島華乃/地行美穂/大嶋世菜/石亀協子/河邊佑里(vln)、松本有理/坂口弦太郎(viola)、関口将史/徳澤青弦 (cello)、永田こーせー(sax)、織田祐亮(tp)、前田大輔(tb)、えつこ/佐々木みお(cho)

    先行配信 発売元:ワーナー 本体価格:¥2,241(iTunes) 発売日:2020.5.1

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