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    ドラムが叩ける!お宅訪問[Webオリジナル番外編]#7 埼玉県在住 鈴木秀典さん 宅スタジオ<後編>

    “いつでも好きなときに、自分のドラムを思い切り叩きたい”、そんな夢を叶えてくれるのが、プロ用のスタジオやライヴ・ハウスなどの防音/音響工事を多く手がける専門業者、アコースティックエンジニアリングが作るドラム用防音室だ。番外編の後半では、前回に続いて、埼玉県に住む鈴木秀典さんが新たに開業するスタジオ、creative space Joinをレポートする。

    デッド過ぎず、不自然な反響もない
    バランスの良いサウンド

    creative space Joinは、リハーサルやレコーディング、動画撮影、配信ライヴなどに対応した商用スタジオ。それらに求められる要素をもれなく整えたこのスタジオには、いくつもの特徴がある。中でも鈴木さんが太鼓判を押すのが、スタジオの生命線である“音”だ。

    「サウンド的にはナチュラルな音場にしたいと思っていて、ねらいどおりに仕上げてもらえました。余分な澱みがないというか。ドラムをレコーディングすると、録ったまま何も加工しない状態でとても良い音だと自信を持って言えます。もちろんマイキングのテクニックは必要ですけどね。いろんなスタジオの音を知っている人たちに聴いてもらっても、皆さん“良い音だ”と言ってくれます」

    前回の記事と同じ構図の写真を、タイトル部分の写真と同様に天井のライトを消して撮影。動画撮影や配信ライヴにはうってつけの環境だ。床はコンクリートではなく乾式を採用しているが、乾式床に多い低音の膨満感が抑えられ、タイトな鳴りを実現している。エアコンもダクト式ではなく壁掛け式だが、「エアコン・ノイズは無視できるくらい小さく、どうしても気になるときもDAW上で消せるレベルです」とのこと。
    ギター・アンプなどの機材を最高のクオリティで使えるように、電源コンセントは3種類を用意。左からノイズカットトランス経由の100V、同117V、通常の100Vコンセント。これも良い音のための工夫だ。
    スタジオに隣接する3.7畳のコントロール・ルーム。Yamahaの定番モニター・スピーカーや、各種コントローラー、ワイド・ディスプレイなどを揃えて使い勝手の良いDAW環境を構築している。さらに注目は、左に見えるSTUDERのアナログ・テープ・レコーダー。音響機器の会社に勤める知り合いから借りているものだそうだが、これが使えるとなればレコーディング・スタジオとして大きな売りになるだろう。

    このようにナチュラルな響きのスタジオになったのは、豊富な知見に基づく設計があればこそ。既存の建物に作るスタジオならではの制約も多い中、前回触れた天井高の確保を含めた適切な形状設計がここでも基本となった。例えば、出入り口とコントロール・ルーム周りの壁が斜めになっているのは、レイアウト上の必然性と、室内の平行面から生まれる定在波の影響を抑える両方の意味がある。

    「ヴォーカリストも“ここだと楽に歌える”と言いますね。デッド過ぎると喉がやられてしまうし、かといって不自然な反響もない。ちょうど良いバランスが実現できていると思います。大きな鏡のところのロール・スクリーンでもかなり響きが変わるので、ドラムを録るときは上げておいて、歌のときは下げたりと、用途に合わせてコントロールしています」

    3つの部屋を、それぞれのドアが機能する範囲でなるべく広くなるようにレイアウトした結果、ドア周りの壁が斜めになって定在波の影響を抑えている。ドラムの背面の壁も、平行面が生まれるのを防ぐために吸音パネルの奥が“く”の字型になっているのがわかる。

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