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【2003年11月号特集『3連〜最大の弱点はこれで攻略?〜』より】 <Part.1> 3連苦手を克服するために

  • 講師:山本雄一(RCCドラムスクール)

第3章
実践フレーズに応用する

“スロー・ブルース”系

呼び方は“スロー・ブルース”だったり、“スロー・ロック”だったり、単にブルースだったりとさまざまですが、要するに3連のフィーリングを常に感じさせるバラード・タイプのスタイルです。

このリズムの“難しさ”を自覚している人なら、恐らくけっこう叩ける人でしょうね。ここではEx‐8の例を用いて、叩くときに意識したいポイントを挙げてみましょう。

Check Point①:1打目

これは第1章のバック・スイングと関連しますが、1打目を叩く前に、“3連のウラで振りかぶる”という動きから入ってみましょう。そうすることによって、 1打目を叩いた瞬間に自分の中ではテンポを感じられるはずです。

Check Point②:2打目

実際の音としてテンポが決まるのは、この2打目を打った瞬間です。 1打目と2打目との間隔が、このリズムのテンポを決定するのです。ハイハット1発という存在感の薄い音(!?)ですが、この2打目に対しては相当な集中力を注ぎましょう。

Check Point③:3打目

2拍目の両手打ちに向かう1つ手前です。したがって、右手のストローク・タイミングに合わせて左手もフワッとバック・スイングに入るイメージを持ちましょう。

Check Point④:2拍目アタマ

ここで左手が入り、2拍目のアクセントを刻みます。しかし、大きな音を出すのは左手だけ。右手のシンバルを刻む手はこれまでと同じ振り幅で淡々と刻んでいきましょう。

右手の振り上げが若干大きくなってしまう可能性もありますが、意識的なアクセントはつけません。右手は常に均等な3連符を刻み続けるイメージです。

Check Point⑤:2拍目2打目

両手打ちをした後の音というのは、左手の大きな動きの反動で体のバランスが崩れ、タイミングが雑になりがちです。この音はハイハット1発の地味な1打ですが、音符1つの存在価値は他の音とまったく同じ。

小さい音だからこそ、決して雑なタイミングにならないように。また、この音を打った瞬間に、右足は次の音に向けたバック・スイングの頂点に達します。

Check Point⑥:2拍目ウラ

ここから3拍目にかけてバス・ドラムの連打となるわけですが、2つの音量は、この2拍目ウラをやや弱く。そして次の音を強めにというのが基本です。ここではキック1打で全力を使わないように。

Check Point⑦:3拍目アタマ

ここで、ハイハットとバス・ドラムがビシッと決まると、リズムの大きなヤマが一段落します。

しかし、実際にはこの3拍目アタマを焦ってしまうばかりに、2拍目ウラとの間隔が狭くなってしまいがち。決して焦らずに、ユッタリと叩きましよう。バス・ドラムの音量は1つ前よりも“強く”です。

Check Point⑧:フィルイン寸前

①〜⑦までの点を意識することができると、リズムは心地良い流れに乗るはず(?)ですが、“さて、いよいよフィルイン!”となる寸前は、どうしても気が焦り、その寸前の音符が短くなったり雑になってしまいがちです。

この⑧の部分、特に最後の4拍目ウラのタイミングが決して曖昧にならないように気をつけましょう。

Check Point⑨:フィルインの抜け口からリズムへの戻り

フィルインが終わってから、次の小節のリズムヘと戻る部分……ここも、並々ならぬ集中力が必要です。

譜面中の⑨のカッコで括ったように、フィルインは4小節目いっぱいで終わるのではなく、“次のクラッシュ・シンバルまで歌いきる”というイメージを持つと、つながりは俄然、良くなってきます。そして2打目からは再び②の注意事項に戻ればいいのです。

すべての曲やパターンに、ここに記した事項が当てはまるわけではありませんが、まず一度、ここに記した通りの細かい点に留意してトライしてみてください。人によっては簡単に叩けたであろうEx-8が、実はいかに難しいか? そして、とことん突き詰めて練習したときの完成度が、いかに高いものになるか?──がわかってもらえると思います。

以上のチェック・ポイントを踏まえて Ex-8をおさらい!