キーボード奏者、アレンジャー、ソングライターとして1970年代から音楽活動を続ける井上 鑑。ソロとしても数多くの作品を発表している彼は、1986年にリリースしたアルバム『TOKYO INSTALLATION』が復刻された。

本作は、当初アートブックつきのCDとして発売されたもので、当時としてはめずらしくアナログやカセットテープでの発売はなく、また、長らく廃盤状態になっていたため、ファンの間では再発が熱望されていた、いわば幻の作品として知られている。今回は、アートブックは復刻されていないが、待望のリイシューと言えるだろう。

録音は東京とロンドンで敢行。日本と英国のミュージシャンを招き、当時、エレクトロニック・ドラムの代名詞的な存在だったシモンズ・ドラムから琴などの和楽器を盛り込み、テクノからプログレッシヴ・ロック、邦楽までを横断する独創的なサウンドを作り上げた。また、尾崎 豊と浜田省吾が2曲ずつ楽曲を提供していることも話題となった。

ドラムは、パーカッションとして山木秀夫が、シモンズとしてビル・ブルーフォードがクレジットされている。日英のトップ・ドラマーの“競演”にも、あらためて注目したい。

なお、本作を井上自身が語る映像配信『井上 鑑 TOKYO INSTALLATION TV』も開設。第1回目の配信では、はタイトル曲「TOKYO INSTALLATION」を、 演奏を交えながら解説している。こちらは、今後も順次配信していく予定だ。

『TOKYO INSTALLATION』
井上 鑑
ソニー MHCL30712
3,300円（税込）

●収録曲
第1の庭: 樹 (Front Yard: Dendrology)
01. TOKYO INSTALLATION
02. 不連続性の歴史 (Uncontinuous History)
03. 遠い波 (The Beach Is Far)
04. Tick It, Tock It, Turn It True
第2の庭: 石 (Court Yard: Petrology)
05. 石と樹 (Stone And Tree)
06. 失われた枝 (Lost Branch)
07. NEGRITA
08. 滑走路夕景 (Runway Lights) *
第3の庭: 水 (Back Yard: Hydroxide)
09. 点描の都市 (Pointille’City)
10. 水辺にて (On The Shore) *
11. 歩き出すまえの少年 (Boy About To Talk) **
12. たった独りのための駅 (Station Only For Myself) **

作曲：井上鑑　浜田省吾(*)　尾崎豊(**)

AKIRA INOUE : Keyboards
HIDEO YAMAKI : Percussions
MASAKO KAWAMURA : Koto
HIDEAKI KURIBAYASHI : 17-strings koto
BILL BRUFORD : Simmons
MARK SMITH : Bass
ALAN MURPHY : Guitar
NICO RAMSDEN : Guitar
TSUYOSHI KON : Guitar
MASAHARU KANDA : Cello
MOMO : Chorus
RIMI SHIONOYA : QX 1 Operation

Produced by AKIRA INOUE

＊1986年発売時に添付されていたアートブックはついておりません。