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ビリー・コブハムの名を冠した SABIAN 23″ Spectral Rideのサウンドを検証|博士 山本拓矢が試した【2025年7月号】のNEW PRODUCTS

  • Photo:Takashi Yashima Review:Takuya Yamamoto[bohemianvoodoo]

SABIAN
Billy Cobham Spectral Ride〜Limited Edition〜

セイビアンのビリー・コブハム・ライドは、23″の大口径とロー・プロファイルが特徴的な、HHならではのハンド・ハンマード・シンバル。全体的にダーク寄りなサウンドながら、煌びやかな成分も兼ね備えているといい、丁寧にハンマードされたベルからはクリアで力強い音色が得られるという。エッジは薄めに加工することでクラッシュへの移行もスムーズで、まさにビリー・コブハムの音楽的表現を支えるにふさわしい仕上がり。本人の直筆サイン入り証明書と24″シンバル・ケースが付属する。

一言で“ダーク”と表現しきれない複雑さ
どんな状況でもビートやリズムを出せる特別な1枚

23″というサイズから想像した以上に、強烈なロー・ピッチです。フラットな形状によるものでしょうか。ピッチの低さは音色のダークさを感じさせますが、多様化するフィニッシュによって開拓されたダークの領域が存在する現代においては、トラディショナルなレイジングに由来する高域の存在感が、一言でダークと表現することを阻みます。

シンバルのサウンドの表現に、“シマー(shimmer)”というものがあります。そのシマーがいるおかげか、厚みのわりに小音量でも反応が早く、重さによって抑制された、広がりすぎないウォッシュが、大口径特有の下支え感と調和しています。ベルは鮮明です。1枚で何でもこなすというよりは、どんな状況でもビートやリズムを出せる特別な1枚、といった方向性を感じました。