PLAYER
9月30日はドラムの歴史を変えた巨人、バディ・リッチの生誕記念日。圧倒的なスピードと切れ味、そしてダイナミクスを駆使したスネア・ワークは、今を生きるドラマーにも影響を与えており、「史上最高のテクニカル・ドラマー」をアンケートで選ぶ2025年7月号の特集でも4位にランクインしている。今回は彼の生誕109年に合わせて、そのスネア・テクニックを解説した1995年2月号掲載のアーカイヴ記事を紹介。シングル・ストロークやアクセント、サイド・スティック、バズ・ロールなど、7つのエクササイズを通して、その驚異的なスティック・ワークに迫っていこう。
バディ・リッチのドラム・テクニックを
支えた驚異的なスネア・ワーク
このコーナーでは、バディ・リッチのテクニックをお手本にして,彼の域に少しでも近づくためのトレーニング方法を挙げていくことにしよう。まずは何をおいてもスネア・テクニックである。バディのスネア・テクニックはヘッドのバウンドを100%利用したもので、それがあの驚異的なスピードを生み出しているのだ。
*バディ・リッチ(1917〜1987)は、ジャズ黄金期を支えたアメリカを代表するレジェンド・ドラマー。そのキャリアやプレイ・スタイルについては、[Archive Contents ドラムの歴史を変えた天才=バディ・リッチ]で詳しく紹介している。
Ex-1:基本にして最重要「シングル・ストローク」

Ex-1は基本中の基本だが最も大切なシングル・ストロークのトレーニング方法で、右手および左手を8分音符で叩きつつ、間に反対の手をはさみ込んで16分音符にするもので、片手のときと、両手のときのバランスが崩れないよう注意しよう。特に左手先行の練習は徹底的にやった方がいいだろう。両足を譜例のように踏みながら叩き、手のテンションを極力なくすようにして、♩=190以上でできればかなり成果が上がったことになる。
Ex-2:テンションをコントロールする「アクセント」

Ex-2はこれにアクセントを加えた形になっていて、アクセントの後、力を抜かない手にテンションがかかり続けてしまうので注意しよう。
Ex-3:手順の柔軟性を養う「バリエーション」

続くEx-3はアクセントに至る前の音符の数を1つずつ増やしていく練習。それぞれの手順のバリエーションを考えつつやってみよう。こうした音符はフレーズのつなぎ的役割を持つもので、状況に応じて手順を柔軟に変えられた方が利用度が高いと思う。特に3連系の3a、3dはフィルやソロにおいて重要な意味を持つ音符なので,均一に叩けるように、あらゆる手順で練習してほしい。
Ex-4:表現の要「サイド・スティック」

Ex-4はバディ・リッチの持つテクニックの中でもちょっと特殊な部類に入るのだが、表現の要でもあるサイド・スティックの練習だ。サイド・スティックの後のフレーズをそれぞれ変えたもので、どちらの手順でもできるようにしたいものだ。その際に気をつけるのは左手をしっかりヘッドにつけることで、こうしないとスティックを叩く音だけになってしまう。
Ex-5:音量バランスを整える「アクセント移動」

Ex-5はアクセント移動の練習で、5aは16分音符のバリエーション。シングル・ストロークのものとパラディドルに応用したものがあるが、どちらの手順でも同じ音量のバランスになるように気をつけよう。シングルとダブルのストロークの音量が変わってしまうときには、先ほどのEx-3の手順のバリエーションを利用して練習するのもいいだろう。5b、5cの3連系のアクセントも同様で、さらにアクセントの部分をタムやクラッシュに置き換えて練習してみよう。
Ex-6:美しくつなげる「バズ・ロール」

Ex-6はバズ・ロールのトレーニングで、ロールの部分がRLおよびLRになっているが、この2つの音が完璧につながるようにしよう。左右ともグリップの位置に気をつけ、しっかりバウンドさせて “ザー” となるところに支点を持ってくるように。左手がレギュラー・グリップの場合は、人差し指と中指をあまりスティックの上に押しつけないようにする。親指のつけ根でバウンドをコントロールすることが必要だ。またその際スティックのチップの位置を、シングル・ストロークのときよりも少し前方にするといいかもしれない。
Ex-7:総合練習「8小節のドラム・ソロ」


Ex-7は以上述べたようなスネア・テクニックを総合した練習法の一例で、8小節のドラム・ソロにしたものだ。一応基本となる手順は示してあるが、譜例に示したバリエーションも使える。しかしこの際、次に続くフレーズの手順が逆転する場合もあるので、その場合は次の手順も合わせて考えてみた方がいいと思う。この譜例をやってみるとEx-6までの練習が実際にはどのように使われるのか多少がわかってくると思う。また、バスドラを4分で踏みつつ練習するのもいいだろう。
*本記事は『リズム&ドラム・マガジン』1995年2月号「スティックの描く芸術|バディ・リッチ」の一部を転載したものです。
