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    【Report】SONOR 150 in JAPAN「THE BEAT OF LIFE.」Day 1:山木秀夫 feat. LINK & SONOR Drummers

    • Special Thanks:SONOR/KOMAKI TSU-SHO Co., Ltd.
    • Report:Seiji Murata/Photo:Akito Takegawa

    SONOR 150周年を記念して、国内のSONORアーティストだけでなく、ドイツ本国からのゲストも招いて、SONORブランド“名門”の歴史とその製品ポリシーにも触れることができる“THE BEAT OF LIFE. -SONOR 150 in JAPAN-”が、去る11月29日〜30日の2日間に渡って行われた。ここでは前編として11月29日=Day1の“JAPAN STAGE”の模様を中心に紹介していこう。

    8名のSONORドラマーたちが
    こだわりのSQ2キットで繰り広げた
    身体の芯まで震わせる音圧!

    会場となった新宿LUMINE 0に入るとホワイエには、クリス・コールマンのSQ1シリーズや、Day 2でも出演を控えるベニー・グレブのVintageシリーズ、さらにレミオロメンの神宮司 治のSQ2、白根佳尚が手に入れた復刻版のSignature Heritage など国内外SONORアーティスト達の機材や、150周年記念で復刻した往年の名器=SONOR LITEなどがズラりとセットアップされている。

    • クリス・コールマンが来日時に使用したSQ1シリーズ。

    各々のセットを全方位からじっくり観察できるのもこのイベントの醍醐味だが、定刻になり“Special Session”の会場に入ると、目の前には何と8アーティストもの実に個性的なSQ2が、コの字を描いて並んでいる。これだけのSQ2が一堂に会す画はまさに壮観。さらにそのすべてが、ステージ上ではなく手を伸ばせば触れられる近さにある。程なく、イベント全体のMCを務める山木コハルの呼び込みによって8名が目の前に現れ、各々の“my gear”に就いた。

    点数やセットアップはもちろん、シェル材からフィニッシュ、パーツ・カラー、ヘッドまでが異なるそれぞれのセット、まずは単体でのサウンドを聴かせてくれたが、ハイからローまでまさに歌のサポートに抜群な濱田尚哉、パーカッションとのハイブリッドでブライトな音色の玉木正昭、太いローを締まった音像にまとめ上げた前田遊野、スッキリ太いアクリル・シェルにスーパー・ロー・ピッチのスネアを合わせた外薗雄一、深胴キックをボトムに4.25″の浅胴スネアまで幅広いレンジでド迫力の渡辺 豊、現代的なデッドなスーパー・ローのグルーヴがこちらもド迫力の白根佳尚、野太さ満点の江川ゲンタ、そして音程感に富んだYUKKY、と、実にカラフルで個性溢れる生のドラム・サウンドを、観客の中には、“コの字”のど真ん中に体育座りをしながらバス・ドラム目線で体感している人もいた。この後の全員によるセッションでは、身体の芯まで震えるような音圧に浸り、続く2人ずつによるセッションでは、完全即興もあり、前日に譜面を共有した構築グルーヴもありで、各々の個性が光った。

    濱田尚哉
    玉木正昭
    前田遊野
    外薗雄一
    渡辺 豊
    白根佳尚
    江川ゲンタ
    YUKKY
    山木コハル

    SONOR歴40年の山木秀夫が
    LINKを率いてパフォーマンス!
    自身の名演を語るトーク・コーナーも!!

    17時になりメイン・ホールに移ると、ステージには、前方に3セット、背後センターに漆黒のSQ2という4セットが並んでいる。今年SONOR歴40周年を迎えた山木秀夫が、現在多方面のセッションで活躍する番田渚奈子、田中匠郎、そしてPlastic Treeの佐藤ケンケンという“LINK”所属の要注目ドラマーを率いる“山木秀夫 feat. LINK”の幕開けだ。山木が背後で温かい眼差しを向ける中、3人は各々が作成したトラックに合わせて持ち味を活かしたソロ・パフォーマンスを展開すると、山木も「みんな、本番がいいね」と笑顔で声をかける。そしてバトンは山木へと渡された。

    山木秀夫
    番田渚奈子
    田中匠郎
    佐藤ケンケン

    この日、通常のドラム・イベントと違ったのが、山木がこれまでスタジオ・ミュージシャンとして携わった楽曲について山木自身が解説するという、本誌人気連載『STUDIO GREAT』担当の筆者としては垂涎のトーク・コーナーだ。中村あゆみ「翼の折れたエンジェル」では、この日も左手側で使用した、当時特注してできたばかりの16”スネアを使ったこと、TMネットワーク「GET WILD」では1曲通してスネアが入っていないアイディアのこと、今井美樹「プラスα」での青山純とのダブル・ドラム、山崎まさよし「One More Time One More Chance」では山崎のギター弾き語りに後からドラムをダビングしたこと、中島みゆき「地上の星」ではヴィニー・カリウタのトラックにタムだけを重ねたこと、後藤次利との『Q』での打ち込みに対して6分間ひたすら叩きまくる「HAMMER」では、“フレーズを組み立てたりせず、長時間対峙しているうちに自意識がなくなってトラックに同化していく感覚”……などなど、実に興味深い話を聞くことができた。

    会場からの質疑応答を挟んで、最後の山木のソロ・パフォーマンスは、パッド的なシーケンスの上で、まさにフレーズを組み立てずに瞬間瞬間を生み出していく、そのうねりとダイナミクス、身体全体から迸るグルーヴに、心を大きく揺さぶられた人も多かったはず。演奏後、そんな集中力と密度の濃いパフォーマンスに対して、今回のテーマは“うろこ雲”だと言う、そのギャップも実に山木さんらしい。

    3時間にもおよんだ”Day 1″は、楽器とアーティストの両側面からSONOR 150年の深みと実力をまさに体感することができた充実の内容だった。