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  • NOTES

    1992年に急逝した伝説のドラマー、ジェフ・ポーカロ。その死から28年経った現在も不動の人気を誇っている。ここではそんなジェフの代名詞とも言えるリズム=“ハーフタイム・シャッフル”にフォーカス! その締め括りとなる第三弾では、ハーフタイム・シャッフルそのものに焦点を当て、「ロザーナ」以外の名演を紹介していきます! 

    ①「Home at Last」/スティーリー・ダン
    Drums:バーナード・パーディ

    スティーリー・ダンが1977年に発表した代表作『Aja』に収録された「Home at Last(安らぎの家)」。ハーフ・タイム・シャッフルの代名詞にもなっている“パーディ・シャッフル”の、元祖とも言える歴史的な名演だ。ジェフ・ポーカロが「このグルーヴを手に入れたら死んでもいい」と語っていたエピソードもファンの間では有名。ゆったりしたハーフタイムの流れと、小気味良い1拍ずつの脈動。タメの効いた3連ウラのキックが生み出すプッシュ感や、ウラ拍のハイハット・オープンを用いた抑揚変化など、ドラマー目線での聴きどころが満載となっている。

    「Fool in the Rain」/レッド・ツェッペリン
    Drums:ジョン・ボーナム

    1979年に発売されたレッド・ツェッペリンの8作目『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』に収録された「フール・イン・ザ・レイン」。バイタリティ溢れるドラミングが、圧倒的な勢いで迫ってくるジョン・ボーナムのハーフタイム・シャッフル。リズムのポケットに深く吸い込まれるようなグルーヴ感や、爆発力のあるスネアやキックの音色が、聴き手の心を鼓舞する。特に1拍目のウラをえぐるようにシンコペーションするハイハット・オープンの、厚みのあるタッチは印象的。展開部分はライドを2拍3連で刻んで変化をつけているが、ハーフタイム・シャッフルのフィールは、変わらずに維持されているのもポイント。

    ③「Chuck E’s in Love」/リッキー・リー・ジョーンズ
    Drums:スティーヴ・ガッド

    1979年に発表されたリッキー・リー・ジョーンズのデビュー・アルバム『Chuck E’s In Love』のタイトル曲。ブルージィなテイストを含む、表現力の豊かなスティーヴ・ガッドによるハーフタイム・シャッフルだ。バズ・ロールやハイハット・オープンなどの、伸びる音を巧みに織り混ぜつつ、1つ1つの音に抜群のキレと味わいを感じさせるプレイが秀逸。ハーフタイムのAメロと、通常タイムのサビをリズム・チェンジする構成となっているが、レイド・バックしたスネアの心地良さが一貫しているのも素晴らしい。ファンの間では伝説的なフレーズとして語られる、ブレイク後のハイハットとスネアのフィルも聴きどころだ。

    ④「Babylon Sisters」/スティーリー・ダン
    Drums:バーナード・パーディ

    今年で発売40周年を迎えるスティーリー・ダンの『Gaucho』。そのオープニングを飾る「Babylon Sisters」は、「Home at Last」より少しゆったりしたテンポなので、うねりの効いたグルーヴ感が一層強調された演奏になっている。音質もクリアで、ハイハットの強弱のニュアンスや、3連符の2打目に含まれるゴースト・ノートの繊細な抑揚操作が聴き取りやすいのもポイント。6/8拍子のノリを含む2拍3連系のフィルの間合い。そしてウラ拍からの2連打でリズムを勢いよく循環させるキックの心地良さも特筆ものだ。

    ⑤「Virtual Insanity」/ジャミロクワイ
    Drums:デリック・マッケンジー

    ハーフタイム・シャッフルの曲で最も耳馴染みのある楽曲の1つが、ジャミロクワイの大ヒット曲「Virtual Insanity」だろう。このファンキーなダンス・ビートを叩いているのは、サウスポー・ドラマーのデリック・マッケンジー。ハイハットは8分を主とした刻みの中に、部分的にハネた音符を絡めて躍動を加えていくが、音価が短めで弾力の効いたバウンス感が、リズムを小気味よく牽引する。バス・ドラムの切れ味も特徴的で、特にウラ拍の突き上げるようなニュアンスのプッシュ感は強烈。これが瞬発力に溢れたシャープなフィールに大きく貢献している。

    次ページでは2000年以降のハーフタイム・シャッフルを紹介!