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神保 彰 meets Bose L1 Pro16

  • 企画&制作:リズム&ドラム・マガジン編集部
  • 写真撮影:八島 崇 動画撮影・編集:熊谷和樹 
  • 録音:嵩井翔平/天王洲アイル KIWA

Boseが新たに発表したポータブルPA=L1 Proシリーズ。幅広い音域を出力し、さらに水平180度をカヴァーするラインアレイ・システムを採用しながらも、コンパクトで持ち運び可能なPAスピーカーとして、大ヒットを記録したL1シリーズの次世代モデル。その実力をドラム視点で検証すべく、日本が世界に誇るドラマー、神保 彰に“L1 Pro16”をチェックしてもらった。

神保 彰 × Bose L1 Pro16

Bose L1 Pro16

Bose L1 Pro16 / 価格:233,200円(税込)

“持ち運び可能”というコンセプトはそのまま
音質と機能が格段に進化した次世代モデル

スタイリッシュなデザインと幅広い音域をカヴァーする持ち運び可能なPAシステムとして、2003年(国内は2008年)に発表され、大ヒットを記録したBoseのL1シリーズ。その後継モデルとして、2月に発売されたのが今回フォーカスするL1 Proシリーズ。

中高域をカヴァーする2インチ・ネオジム・ドライバーを配列したラインアレイ・システムが、水平180度をカヴァーし、会場の隅々までクリアで解像度の高いサウンドを提供。パワースタンドには豊かな低域を誇るサブウーファーが組み込まれ、PAスピーカーとしてはもちろん、演奏者用のモニター・スピーカーとしても迫力のサウンドを再生する。パワースタンドの背面には、3チャンネルのミキサーを搭載し、さらにBluetoothにも対応している。“持ち運び可能”というコンセプトはそのまま、音質と機能が格段に進化した、まさに次世代モデル! ラインナップはL1 Pro8、L1 Pro16、L1 Pro32の 3種類に、Sub1、Sub2というウーファーが2台用意され、目的に合わせて選択できるようになっている。

この注目のPAスピーカーをドラム視点で検証するに当たり、ご協力をお願いしたのが、日本が世界に誇るトップ・ドラマー、神保 彰。氏はトリガーを装着したタイコ、パッドにアサインされたサンプリング音源を鳴らし、メロディやアンサンブルも1人で奏でる“ワンマンオーケストラ”と呼ばれる独自のスタイルを展開し、ドラム1台で全国ツアーを開催。音源を鳴らすワンマンオーケストラのライヴでは、スピーカーは必要不可欠なのである。 

今回チェックしたのは、迫力とポータビリティを両立したL1 Pro16。神保には、10月10日のドラムの日に行われた本誌主催のイベント「Bose Presents 誌上ドラム・コンテスト2021」にて、プレイヤー/リスナーの両面からそのサウンドを体感してもらった。当日のPAを担当した音響会社オアシス代表の金森祥之氏も「L1 Proが加わると音に迫力が増す」と太鼓判を押し、アコースティック・ギターやベースでも高いパフォーマンスを発揮したL1 Proは、ドラムでもその真価を発揮したと言える。加えてモニター・スピーカーとしての実力を試してもらうべく、神保の自宅スタジオ=バナナスタジオにL1 Pro16を持ち込んで試奏。レコーディングはサンプリング音源をL1 Proから再生しそれをエアーで集音したものとラインをミックス、生ドラムはマイクで集音しミキサーからインターフェースに入力し、ミックスした。神保も絶賛した臨場感溢れるドラム・サウンドを、動画で確認してほしい。

Jimbo’s Impression

ドラムはすべての音域をカヴァーしないと
再生しきれないダイナミック・レンジの広い楽器
L1 Proはそれらの要求に余裕を持って対応できる

Profile●じんぼあきら:1959年生まれ。1980年、カシオペアでプロ・デビューして以来、四半世紀に渡り、音楽シーンの最先端を走り続けるトップ・ドラマー。現在はソロ活動を中心に、CASIOPEA 3rdのスペシャル・サポートとしても活躍。11年からは国立音楽大学ジャズ専修客員教授として、後進の指導も精力的に行っている。12月22日にソロ・アルバム『SORA』と『アメアガリ』を同時リリースした。

Boseの製品は、ノイズキャンセリング・イヤホンやリビングのオーディオなど、普段から愛用しているんですけど、コンパクトなボディから信じられない音がするという印象を持っていたのですが、それは今回試したL1 Pro16も同じでした。

先日のドラムの日に初めて使わせてもらったのですが、まずスタイリッシュなルックスに非常に惹きつけられました。音色に関しても見た目通りのシャープさで、何よりダイナミック・レンジが非常に広いと思いました。ドラムというのはいろいろな楽器の中でも最もダイナミック・レンジの広い楽器なんですね。高い音が出るシンバルから、低い音で鳴るベース・ドラム、その中間も含めて、すべての音域をカヴァーしないと、ドラムの音は再生しきれない。しかも自分の場合は、パッドなどにサンプリング音源をアサインしているんですけど、最近は音源のクオリティも非常に上がっているので、それをちゃんと出力するには、スピーカーの精度も求められると思うんです。このL1 Proはコンパクトなのに、それらの要求にも余裕を持って対応できる、素晴らしいポテンシャルを持ったスピーカーだと思いましたね。すごくクリアな音質で、どの音域もバランス良く鳴っていたと思います

L1 ProはPAスピーカー、つまりお客様側と、モニター・スピーカーとして演奏者側、1台で二役両方を兼ねることができる点も魅力ですね。ラインアレイというスピーカーユニットを縦に並べる方式で遠くまで音が届きますし、180度の幅で音がカヴァーできる。ドラム・セットの後ろにセットした状態でも遠くのお客様にも音が届いて、しかもドラムに座っていても決してうるさくない。今日はモニター・スピーカーとしても試させていただきましたが、気持ちの良い音に包まれるような感覚になりました。ウーファーの効果なのか、身体を揺さぶられるような低音の心地良さも感じましたね。

僕はワンマンオーケストラで全国をドラム1台で回るツアーを毎年のように行なっているのですが、さまざまな会場があって、音響設備が整っているところもあれば、ちょっと寂しいなと感じるところもあるんですけど、L1 Proを1台車に積んでおくだけで、どういうシチュエーションでもお客様に最高の音質で自分のパフォーマンスを楽しんでもらえるんではないかと思っています。今は予備として機材車にパワード・スピーカーを積んでありますが、大きいので嵩張るのと、運んでスタンドにセットするのも大変なんです。それを考えると、L1 Proはコンパクトで、やはりデザインが良いのでステージとの馴染みが良いですよね。僕のドラム・セットとの見た目の相性も良いように思いました。

L1 Proは、これからの新しい“旅の友”になってくれるんじゃないかという、そんな予感も感じさせてくれました。

バナナ・スタジオでの試奏ではL1 Pro16を神保のセット左側に配置
さまざまなサンプリング音がアサインされた電子パッド
トリガー類はすべてYamahaの音源モジュールDTX900に接続
録音はミキサーを介したラインの音とエアーの音をミックス
神保と相談し、L1 Pro搭載のTone EQで少しハイとローを持ち上げた

Specification
● 定格出力:1250W
● 再生周波数帯域(±3dB):42Hz-16kHz
● 最大音圧レベル:124dB SPL
● 指向特性:水平180°×垂直0~30 °
● ユニット:2インチ・ネオジム・ドライバー×16、
10×18インチ・ウーファー(ハイエクスカーション・レーストラック型)
● 入力端子:XLR、フォーン・コンボ端子×2、フォーン、
3.5mmステレオ・ミニ(CH3のみ Bluetooth 対応)
● 出力端子:XLR
● 外形寸法:355(W)×2011(H)×456(D)mm
● 質量:22.9kg

製品ホームページ→Bose L1 Pro16

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