PLAYER
環境に応じた機材を使って
それに適したプレイを
しないといけない
●アルバムを聴くと、アドレナリン・モブやフライング・カラーズでのドラミングよりも、プレイがシンプルになった印象で、あなたのロック・グルーヴや音の迫力がストレートに感じられます。
マイク そうだね。この機会に僕は自分のクラシック・ロック的なルーツを引き出してプレイしたいと思ったんだよ。僕自身もよくそういう話をするし、僕のことをよく知っている人は、僕がビートルズ、レッド・ツェッペリン、ザ・フーの大ファンであることをご存知だと思う。僕はこういう音楽が本当に好きなんだ! 僕とポール・ギルバートで、それらのトリビュート・バンドをやったりもしたけど、オリジナル・バンドとして(こういうサウンド・スタイルの音楽を)やったことはなかった。これまでずっとプログレやメタルのバンドばかりやっていたからね。だから、こういうオリジナルのクラシック・パワー・トリオをやることは今までにない経験だった。ついにこのバンドでそういう音楽ができるって感じかな。
子供の頃から僕はこういう音楽から多大な影響を受けていて、自分の音楽的背景の中でもすごく大きい存在だったんだよ。だから使用するドラム・キットも小さめのクラシック・ロック的になっているよ。ドリーム・シアターのときの巨大なドラム・セットとはまったく違う。ドリーム・シアターでやるときは、ああいうセットが適切だったけど、このバンドではもっと削ぎ落としてシンプルな、オールドスクールのセットが必要になる。
●アルバムで聴けるドラミングの多くがスネア・ドラム+バス・ドラム+シンバル類だけによるプレイなので、“基本セットだけでロックする”のが今回のコンセプトかと思いました。
マイク その通り。もともと自分のバンドで小さめのキットを使ってみたいとは考えていたんだ。先も言ったように僕とポール・ギルバートはトリビュート・バンドをやっていて、そのときには小さいキットでプレイしていたけど、自分のオリジナルの音楽でそういうキットを使ったことはなかったから。このバンドはそれにぴったりだったね。
●セット構成が変わったことで、ドラミングに変化を感じますか?
マイク もちろんだよ! こういうキットでプレイするときは違うスタイルでやらざるを得なくなる。環境に応じた機材を使って、それに適したプレイをしないといけない。だからドラミングも当然変わってくるんだ。フィルにしても他のプログレッシヴなアルバムでやったものとは全然違う。発想やアプローチも変えて取り組まないといけないのさ。
●ザ・ワイナリー・ドッグスでプレイしたことで、音楽的な発見や得るものはありましたか?
マイク こういうキットでやったことによってキック、スネア、ハイハットの重要性を再確認したね。ジョン・ボーナムのプレイを分析したときもそう思ったよ。それに尽きるんだ……とにかくキック、スネア、ハイハットが大切なのさ。これら3つの要素を使って、グルーヴを作り、スウィングさせるんだ。僕がザ・ワイナリー・ドッグスでやっているプレイのポイントもそこだね。キック、スネア、ハイハットにこだわっている。
実際にメンバー3人で作曲を始めたときも、リッチーがスタジオに持っていたドラム……キック、スネア、ハイハットくらいしかないものを使ったんだ! ラック・タムなんてなくってさ。だから僕らがこのバンドの音楽に取りかかった、いわば曲の原形となるものを作っていたときに、それら(キック、スネア、ハイハット)だけで作業することを強いられていたのさ。フロア・タムもあったかもしれないけど、どちらにしても(作曲時から)すごく“必要最小限”的な思考アプローチを取ることになったんだ。
●最後に読者に何かメッセージをお願いします!
マイク 僕は日本のファンが大好きだ! 僕の人生やキャリアを通してこれからも新しいバンドやプロジェクトで来日したいと思っているから、ぜひよろしくね!!