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“Katsuma Drum Clinic”@神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校【Report】

  • Text & Photo:Isao Nishimoto

世界最高峰の名門バークリー音楽大学提携校で、世界的なミュージシャンを輩出してきた神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校と、リズム&ドラム・マガジンによるコラボレーション第二弾として、去る8月4日にKatsuma[coldrain]のドラム・クリニックを開催! 学校内のイベントだが誰でも参加でき、coldrainの熱心なファンも多く駆けつけた。“ロック・ドラミングの真髄に触れる”というテーマで激アツの内容となったこの日の模様をレポートしよう!

ライヴで実際に使われているセットを
至近距離かつ生音で体感できる貴重な機会

クリニックの会場となったアンサンブル・ルームは、観客を入れて小規模なライヴも行えるほどの広さを持つスペース。その一角にKatsumaのドラム・セットが置かれ、参加者を出迎えた。当初は学校の常設楽器を使う予定だったそうだが、前々日に福岡でPaleduskのライヴにcoldrainが対バン出演した流れで、そのまま機材と一緒に会場入り。ライヴで実際に使われているDW+ジルジャンのセットを、至近距離かつ生音で体感できる貴重な機会となった。

4月の『BOBOオンライン オフ会』に続いて今回もリズム&ドラム・マガジンとのコラボ・イベントということで、北野編集長がMCを担当。「ライヴ・モードで仕上がっています!」と紹介されたKatsumaがドラム・セットに座ると、「ENVY」のデモンストレーション演奏でクリニックがスタートした。ヘヴィかつアグレッシヴなプレイをライヴさながらに披露したKatsumaは、演奏後に「耳栓渡しておいた方がよかったんじゃない?(笑)」と和ませる。

続いて、インタビュー形式のトーク・コーナーへ。ドラムを始めたきっかけや音楽的ルーツについて話し、学生時代にやっていたというボクシングの話題になると、「ドラムを始めたときは何からやればいいかわからなくて、とりあえずボクシングのパッドとグローブを並べてポコポコ叩いていました(笑)」と回想。「わりと最初からできたんです。今になって思うと、ボクシングにも身体の中心を軸に四肢を動かすみたいな身体の使い方があって、それができていたからなのかも」と振り返った。

効果的だと思う練習方法について尋ねると、「例えばクリックに合わせてルーディメンツを練習するみたいなやり方は、YouTubeとかにいくらでも転がっているのでそういうのを観ながらやればいいと思います」と前置きしつつ、「でも俺としては、クリックの“ピピピピ”っていう無機的な音に合わせて練習するより、EDMみたいに一定のパルスが鳴っているような音楽を聴きながら、その音に身体を乗せて練習するのが結構大事かな」とアドバイス。そう話すKatsuma自身も、十数年前はクリックに合わせて基礎練習をやっていたそうで、「これからドラムを始める人は基礎練をすっ飛ばさない方がいいです、マジで」と力説した。

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使用楽器の解説にもしっかりと時間が割かれ、「10年くらい使っている」というDWのコレクターズ・メイプルについては「最近クロームカバリングに替えました。DWはドラムを始めたころからずっと憧れで、このセットはワイドに広がるアメリカンな音という印象」と紹介。1個ずつ単体で叩いてみせながら「チューニングはかなり低めです」と説明すると、編集長が「“悪い音”がしますよね」と返し、「そう、“悪い音”(笑)」と笑うKatsumaだった。

シンバルに関しては、薄めのモデル(ジルジャンのハイブリッド・シリーズなど)を中心に選んでいる理由を説明したところで、今度は編集長が「Katsumaさんは、クラッシュでビートを刻むときの力の逃し具合いがすごく上手」と指摘。それに対しては「PAの人に“シンバルがうるさすぎる”と言われて、力を抜くようにしています。ただ、おとなしく叩いている感じに見えないように、大きな動きに反して実は力が抜けているという叩き方を模索中です」と答えていた。この“力を抜く”については、後ほど別の角度から触れることになる。

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