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    Interview – ユセフ・デイズ[Tom Misch & Yussef Dayes]

    • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine
    • Interpretation & Translation:Akira Sakamoto

    型にはまったドラミングとは異なる
    さまざまなサウンドを見つけたよ

    今や世界で注目を集めるシンガー・ソングライター/ギタリストのトム・ミッシュ。最新作『What Kinda Music』でタッグを組んだのが、UK音楽シーンを中心に頭角を現す気鋭の技巧派ドラマー=ユセフ・デイズだ。Yussef Kamaalで話題をさらい、自身の兄弟達を中心としたアフロ・ジャズ・カルテット=United Vibrationsで活躍する傍ら、カマシ・ワシントン、ヌビア・ガルシアなど多くの有名アーティストと共演を重ねてきた。今回は、2人が新作でコラボレーションしたきっかけや楽曲の魅力、自身のプレイ・スタイルにおけるルーツに迫った。さらに、トムとユセフの対談の一部も特別公開!

    Interview

    子供の頃から鍋やフライパンなどの
    家中のあらゆる物を叩いていたよ

    ●ドラムを始めたのはいつですか?

    Yussef 3歳のときから叩き始めたよ。

    ●きっかけは何だったのでしょうか?

    Yussef 子供の頃に鍋やフライパンで練習したり、家中のあらゆる物を叩いていたから、(ドラムを始めるのは)自然な流れだったよ。リズムは自分の中にあるものなんだ。これが僕のしたいことだってことは知っていたし、ドラムを演奏することが僕の使命だってこともわかっていたよ。

    ●ドラムをどのように習得していきましたか? 師事した方はいますか?

    Yussef 家族や、兄弟達と一緒に遊んだり演奏したりしていろんなことを学んだよ。父がかけたレコードに合わせて演奏するというのも、よくやったね。

    それとレジェンドのビリー・コブハムからも学んで、二度のサマーキャンプで彼のマスター・クラスに参加したんだ。 ドミニク・ピッツィナートやトム・スキナーにも習ったよ。

    ●近年、ロンドンのジャズ・シーンが多くの注目を集めていますが、あなたが属するそういった音楽環境について教えていただけますか?

    Yussef “ジャズ・リフレッシュド”、“スチーム・ダウン”、“チャーチ・オブ・サウンド”、さらにずっと前の“スティーズ”のようなムーヴメントがある。これらはすべて、連携して一緒にスキルを披露するイベントや場所なんだ。そこでは情報交換も盛んで、学ぶ機会もたくさんあって、雰囲気も良かったおかげで、僕らのやっているような音楽が発展した。

    2008~2009年にかけては、僕ら兄弟で組んだUnited Vibrationsというグループで、ロンドン界隈のストリートで演奏したり、12 Toneという夜のイベントを主催したりしていた。12 Toneは他のミュージシャン達をみんなに紹介したり、インストのライブをやったりする場になっていたんだ。みんなの間で噂になっていても実際の目には触れないところで、地道な準備をたくさんやっている感じだった。より広い観客の目に触れるようになるためには、それなりのものを揃えておく必要があるんだ。

    ドラムというものの核心を確かめることは
    僕にとって大事なことだったんだ

    ●トム・ミッシュとはどのように出会いましたか? 一緒に音楽を作ろうと思ったきっかけは?

    Yussef 以前一緒に仕事をしたことがあるアルファ・ミストやジョーダン・ラカイを通してトムの音楽を知ったんだ。僕達はお互い同じ目標を持っていて、プレイヤーであり、プロデューサーでもある。ただ一緒にやろうと決めて、それからごく自然とフル・アルバムを作ることになっていったんだ。

    ●新作『What Kinda Music』の音楽性はジャンルの枠を超えていて、それにあなたのドラムが大きく貢献していると感じます。実際にアルバムでのプレイはどのように取り組みましたか? また、アルバムのドラムに特有のコンセプトはありましたか?

    Yussef 僕がいつも音楽の中で耳を傾けているものをただ演奏しているよ。それで、僕が聴いてきたり影響を受けてきた音楽に自然と聴こえるんだと思う。僕らはドラムをどのように加工するか何度か実験して、型にはまったドラミングとは異なるさまざまなサウンドを見つけたよ。

    『What Kinda Music』
    Tom Misch & Yussef Dayes
    Caroline International UICB-1008

    ●M10「Kyiv」はセッションでの即興演奏で作られたんですよね。ドラムを叩いているときのイメージはどのようなものでしたか?

    Yussef キエフは凍えるほどの寒さだけど、トラックを作っているセットの中では大きな太陽が僕達の周りを回っていたんだ。だから、その暗闇にいくらか太陽の光と暖かさをもたらすような感じをちょうどイメージしていたよ。

    ●ピッチ感をなくすことなく、ドラム・キット全体でクリスピーな感触のアタックを保っていますよね。そのような音を出す上で最も重要なポイントは何でしたか? 

    Yussef ドラムはメロディックな楽器だから、ドラム・キットのそういう側面−−ドラムをチューニングしたり、作っている音楽に音が合っているか確かめたりすること−−を理解するのは大事だと思う。何か特定の音程を選んでいるわけではないけれど、個々のドラムには固有の響きがあるから、その響きに合ったチューニングになっているかどうかを確認しているんだ。

    ●M1「What Kinda Music」の冒頭でタムをチューニングしているところがそのまま音源に入っているのも気になりました。そのとき、どんな音を目指していましたか?

    Yussef スネア・ドラムのチューニングにしても、(良いサウンドになったら)そのままにしておくようにした。良いサウンドにしたいなら、そうするべきだからね。それがサウンド作りの過程の一部でもあるということを、知っておく必要があるよ。

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