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    フジロック初日のトリを飾るザ・キラーズの屋台骨=ロニー・ヴァヌッチィのドラム哲学【Archive Interview】

    • Photo:Todd Weaver

    いよいよ今週金曜からスタートするFUJI ROCK FESTIVAL ’24。夏フェスの代表格であり、今年も世界中から個性豊かなアーティスト達が集結する。その初日となる7月26日にメイン・ステージ=GREEN STAGEの大トリを飾るのがザ・キラーズ。数々のフェスでヘッドライナーを務める屈指のライヴ・バンドだ。ここでは屋台骨を支えるドラマー、ロニー・ヴァヌッチィのドラマガ初インタビューを抜粋して掲載する!

    曲に命を授けるために
    曲の中に脈を打ち込む
    それがドラマーの役割なんだ!

    ●ドラムを始めたきっかけから教えていただけますか?
    ロニー
     両親が言ってたけど、僕が赤ん坊だったときはステレオから音楽を聴かせて寝かしつけていたそうだ。小さい頃、超デカいヘッドホンをつけている写真もあるよ。だから小さい頃から本当に音楽が自分の生活の一部のようだった。

    最初はヒット・ソングが好きで聴いていたけど、そのうちガレージにある洗濯機と乾燥機、それとスペアとして置いてあった冷蔵庫をたたいて、自分1人のコンサートを何時間もするようになった。そして確か僕が7歳の頃、両親がドラム・キットを買ってくれたと思う。もう即座に気に入ってプレイするようになったよ。すごく自然にやれたね。当時のことはよく覚えているんだ。すごく気持ち良かったな……大したサウンドでプレイできていなかったと思うけど。

    ●特に興味を持ってコピーしたバンドやドラマーはいますか?
    ロニー
     祖母がジーン・クルーパやバディ・リッチの映像を見せてくれたので、そういうショウ・ドラマー達に関心を持っていたよ。ラスベガスのラウンジでプレイしていた年配のジャズ・プレイヤーからレッスンを受けたこともある。彼らの流麗なプレイを聴いて、自分もあんなふうになりたいと思ったね。

    ドラムというのはとてもフィジカルでヴィジュアルな楽器だと思う。僕自身、ヴィジュアル的に“見て学ぶ”タイプなんだ。ルイ・ベルソンがラスベガスに数回来たことがあるんだけど、その度に観に行ってたね。子供の頃に一度、ルイとステージに上がったこともあるよ。あとはスチュワート・コープランドも好きだったね。両親はビートルズやスティーリー・ダンなんかもすごく聴いていた。だから小さかった僕はリック・マロッタやジェフ・ポーカロなんかのサウンドにも接していたよ。あとはZZ TOP。彼らはロック史上最高のロック・シャッフルをやっていると思う。

    ●レッスンを受けたことがあるという話をされましたが、大学ではクラシック・パーカッションを専攻していたそうですね?
    ロニー
     そうだよ。鍵盤打楽器を勉強したり、リズムの読譜なんかもやったね。低音と高音の授業もあった。音楽教育学も同時に専攻していたので、セオリーなんかもいろいろ勉強しないといけなかった。今振り返ってみると、すべてが本当に貴重な経験だったと思う。(そういう勉強のおかげで)伝統的なピッチで楽器を演奏する人ともスムーズなコミュニケーションが取れるようになったしね。

    昨年のReading Festivalでも圧巻のパフォーマンスを展開!

    ●ジャズ・ドラマーから強い影響を受け、クラシック・パーカッションを学んでいたあなたがキラーズのようなロック・バンドに加入することになった理由は?
    ロニー
     12〜13歳のときって自分自身の音楽を発掘するようになるものだろう? 僕のその頃、スケート・ボードをするようになり、パンク・ロックを聴いていた。キュアーやスミスが大好きだったね。“これが自分の音楽だ!”と実感しながら聴いていた。そう思えたのはあれが初めてだった。それまで聴いていたスティーリー・ダンなんかは両親が聴いていたバンドであって……その影響で僕も一緒に聴いていたようなものだから。

    キラーズは自分達が初めて影響を受けた音楽テイストを反映させているバンドだと思うんだ。もちろん僕がミュージシャンとして成長するにつれ、さらに多くの影響がキラーズの音楽に反映されるようになると思うし、それを楽しみにしているよ。

    ●バンドの中での自分の役割についてはどのように思っていますか?
    ロニー
     どのグループも違うと思うけど、通常ドラマーの役割は……音楽的であることだと思います。もちろんタイム・キープ云々もあるけれど、何より音楽的に豊かな感受性が要求されると思うんだ。バンドの他のメンバーがプレイしているものに対し、音楽的に敏感に反応しないといけないと思う。

    (スティーヴ・ジョーダンらが表紙を飾った2007年2月号を見ながら……)スティーヴ・ジョーダンはそういうプレイをしているよね。彼は“曲に対して”プレイをしていると思う。とても音楽的なプレイをしているよ。そのようにドラマーは曲の中にハート・ビートを持ち込むのさ。曲に命を授けるために、曲の中に脈を打ち込む……それがドラマーの役割なのさ。たとえ眠っていても人間は脈を打っているよね。静かに脈を打っているのさ……生きているんだからね。そしてマラソンで走ったりしたら、脈は大きく打つ。そういうふうに曲に命を感じさせるハート・ビートのような存在なのかな、と思うね。

    *本記事は2007年3月号掲載の内容に再編集を加えたものとなります

    FUJI ROCK FESTIVAL’24