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    同期と共生する“現代”のドラマーたち #2 山本真央樹【Archive Interview】

    • Interview & Text:Rhythm & Drums Magazine、Isao Nishimoto(equipment)

    どっちを信じようと思うぐらいなら
    まずはクリックを愛した方がいい

    リズム&ドラム・マガジン2024年4月号掲載の特集「同期と共生する“現代”のドラマーたち」では、“クリックとの関係性”をテーマとして、モダン・ミュージックを支える6名のドラマーにインタビューを実施した。ここでは、フュージョン・バンド、DEZOLVEでドラマー/コンポーザーとして活動し、ハイパー・テクニカルなプレイと、DAWを使った曲作りの両方を行き来する山本真央樹へのインタビューをお届けしよう。

    クリックに沿った演奏をして
    その上でみんながどう遊ぶか

    山本 取り入れたきっかけは、DEZOLVEですね。DTM などで曲を作っている中で、生演奏だけではまかなえない音を出すにはどうすればいいんだろうと調べたときに、シーケンスとの同期演奏をするという方法を知ったんです。それが2012年とかですかね。当時はZoomのR8というMTRでシーケンスと共に演奏していたと思います。で、そこから1 年も経たないうちにツアー・サポートをやっていったら、意外とどの現場も同期演奏が多くて。そこからずっとクリックとは仲良くやってる感じですね。

    山本 僕のキャリア的にも、当時は20歳そこそこだったので右も左もわからなかったですし、それ以前は吹奏楽部でやっていたくらいなので、もともと指揮かメトロノームに合わせてやる音楽が多かったんですね。そこからプロとして活動するようになるのと同時に、クリックに合わせて演奏するというのが始まっただけなので、そんなに抵抗はなかったです。

    ただ、演奏しているとき、それ以外のことにストレスを感じたくないタイプなので、あまり自分でシーケンスを出すということはしたくなくて……基本的にはマニピュレーターの方がいらっしゃる現場に参加させていただいてます。ちなみに、DEZOLVE ではキーボードの友田(ジュン)君がありがたくも担当してくれているので、ストレスなくできています。彼は大変だと思うんですけど(苦笑)。

    山本 例えばバラードのときに、「8 分のウラにハイハットの音を入れておいてほしい」とか、そういうウラの感じ方に余白を作るか、もしくはカチッとグリッドに沿って演奏するか、みたいなところをリクエストしたりしますね。「この曲は、“カッカッカッカッ”よりも“カッツッカッツッカッツッカッツッ”って聴こえていた方がリズムにノりやすいので、ちょっとこの“ツ” の音をしっかり鳴らしておいてもらえますか?」とか、もしくは「“ツ” の音をちょっと後ろに下げて、ちょっとハネたいんです」とか、そういうことをマニピュレーターさんにお願いしたりもします。

    山本 そうですね。ウラ拍の有無とかは変えていたりします。あと、めずらしいケースかもしれないですけど、アップ・テンポの曲のときと、バラードのときでヴォイス・カウントの声色を変えている現場もありますね。例えば元気な声で「1、2、3、4 !」と発声する感じの音色は、テンポが遅いバラードになると雰囲気が馴染まないので、ちょっと渋い感じの声にしてもらった現場もありました。やっぱり演奏者のマインドに直結する部分なので、そういうところはちょっとシビアにお願いしたりはしてますね。

    山本 僕はカウベルが一番好きですね。ハイとミッド・ローくらいの音が鳴ってるものだと、オケとの帯域の分別がつきやすいのと、カチッという音と、クリックのみの部分みたいなものが両方あるカウベルの音が、一番脳にピシッと届く気がして好きです。

    山本 はい。なるべく未来を予測して“ここにクリックの音が来るだろう” っていうところにピッタリはめるようにしています。ドラマーは、バンドの中ではクリックのようなものなので、あまり逸脱せずしっかりクリックに沿った演奏をして、その上でみんながどう遊ぶかっていうところを意識した方がいいのかなと思っています。もし、そうじゃない揺らぎを求めるのであれば、その曲ではクリックを使わない方がいいんじゃないかっていう気持ちが強くて。

    山本 そうですね。レコーディング現場ではなるべくグリッドにピッタリ入るようにしています。特に4分音符はですね。8分ウラとか16分ウラをどう濁らすかっていうのは曲によるとは思うんですけど、なるべくアタマの音とかはジャストに持っていけるようにします。僕のレッスンではレコーディングしたりもするんですけど、そういうときも生徒と一緒に波形を見ながら、やっぱり“ジャストをねらうように”って教えることが多いです。クリックと一緒に演奏することにマイナス・ポイントはないので、将来的にも絶対に身につけておいて損はないと思っています。

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